第7話「夫婦で迎える“結翔の初旅行”と、社内偶然バレ危機!?」
──『お泊まり温泉と“パパとママ”という響き』
◆【はじめての“家族旅行”】
週末の午後、都内から少し離れた山間の温泉宿に、小さな家族が到着した。
「結翔、はじめての旅行だね。ドキドキする?」
チャイルドシートに乗った息子に、悠真がにこやかに声をかける。
真希はその横顔を見つめながら、心のどこかに、久々の“外の世界”に対する不安を抱えていた。
(この子と私たちが、今、外にいること。――ちゃんと守れるだろうか)
宿の入口に飾られた七夕飾りを見上げながら、そっと彼女は息を吐いた。
◆【社内旅行とバッティング!?】
チェックインを済ませ、部屋へと案内される途中――
「あれ? ……春日井課長、ですか?」
突然声をかけられ、ふたりが同時に振り返ると、そこには人事部の佐伯と総務の大川、さらに営業部の若手数人が。
「ルクシアの、社員旅行ですか?」と佐伯。
(しまった……! 同じ施設だったなんて)
一瞬の沈黙ののち、真希は咄嗟に微笑む。
「ちょっとした知人の家族旅行よ。偶然ね」
「えっ、ご家族と?」と尋ねられると、悠真が素早く間に入った。
「僕も……妹家族の付き添いで来てて。先に向こうの部屋行ってますね」
結翔を抱えて、その場をさりげなく離れる悠真。
真希も、社員たちに笑顔で会釈し、そのまま距離を取っていった。
◆【“家族”の湯けむり時間】
夜、露天風呂にふたりきりで入れる時間が訪れた。
「ねえ……悠真」
湯気の中、真希がぽつりとこぼす。
「私、ちゃんと“母”になれてるのかな。……女としても、変わっちゃった気がして……」
「変わったよ」
悠真の言葉に、一瞬彼女の肩が揺れる。
「でも、悪い意味じゃない。……真希さんは、“母になった女性”として、俺にとってもっと大切で、もっと愛おしくなった」
その言葉に、真希は涙ぐみながら微笑む。
「……うれしい。ありがとう」
悠真は、彼女の濡れた髪を指ですくい、そっとキスを落とす。
◆【深く、甘く、優しく――】
「……触れていい?」
「うん。全部、見てほしい……」
湯の中、ふたりはそっと身体を寄せ合う。
唇が触れ、次第に熱を帯び、
真希の不安も、母としての自信のなさも、悠真の優しさで溶かされていく。
「……真希さん、好きだよ。全部、俺の宝物だ」
「悠真……私も……好き。愛してる」
肩に、胸に、そっと手が触れ、
その夜、ふたりは静かに、そして深く、愛し合った。
◆【再会と、視線の交錯】
翌朝――朝食会場で偶然、村瀬翼と彼の双子の姉、そしてご両親と遭遇した。
翼が一瞬目を丸くしたが、すぐに頷き、そっと目線を逸らす。
(ありがとう……翼くん)
ふたりの秘密は、まだ守られていた。
でも――その絆は、秘密ではなく、もう確かに“家族”という形に変わっていた。
──『見つめ合ったのは、“愛と覚悟”の湯けむりの中で』
◆【静かな朝のはじまり】
朝食の時間、露天風呂付きの個室にふたりが戻ると、結翔はベビーベッドの中で小さく手足を動かしていた。
「ふふ、もう起きてたんだね。おはよう、結翔」
真希がそっと頬を寄せ、悠真も続いてほほ笑む。
湯けむりに包まれた昨夜の時間は、まるで夢のようで――でも、確かに心と心を繋いでくれた。
「ねぇ、真希さん」
「うん?」
「昨夜のこと、俺……絶対に忘れない。
不安も、涙も、全部“愛してる”で包み込めるような、そんな男になりたいって思った」
真希はゆっくりと頷き、微笑んだ。
「……なってるわよ、悠真。もう、なってるの」
◆【“家族”としての朝食】
家族3人でいただく、旅館の和朝食。
まだ離乳食が始まっていない結翔を中心に、目で笑い、手で笑い、幸せの“静けさ”が流れていた。
そこへ――
「あれ? 高槻さん……と、春日井課長?」
振り向くと、なんと村瀬翼と彼の双子の姉・村瀬すみれ、さらに両親が朝食会場に入ってくるところだった。
一瞬、互いに目が合い、空気が凍る。
しかし、翼がすっと視線を外し、ご両親の前では何も言わず、軽く微笑んで通り過ぎた。
(……気づいてる。でも、言わないでいてくれた)
真希は静かに胸を撫でおろす。
◆【“守られている”ということ】
部屋に戻る途中、悠真がそっと口を開いた。
「……翼って、ほんと頼れるよな。ああやって空気を読むというか、あえて何も言わない優しさって、貴重だと思う」
「……ええ。私たち、恵まれてるわね」
彼女がそうつぶやくと、悠真はふと立ち止まり、ベビーカーに眠る結翔を見つめる。
「……守りたいんだ。結翔も、真希さんも、俺たちの“今”も。
だからこそ、ちゃんと“選びながら”生きていきたい」
「……選ぶ?」
「“公表するか、しないか”じゃなくて――
どう生きたいか、誰といたいか、どう守っていくか。全部、自分たちの意思で決めていくってこと」
真希は頷きながら、彼の腕にそっと寄り添った。
「私も、あなたとならどこまでも歩いていける。
たとえバレそうになっても、守れるなら、それでいいの」
◆【“バレそうでバレない”、その狭間で】
チェックアウト直前――
ロビーでルクシア社員旅行組の20人と再び鉢合わせることになる。
その中には、氷室結衣社長、副社長の橘理沙、そして瀬川陽翔の姿まで。
悠真と真希はお互い目配せだけで瞬時に察し合い、
“偶然のすれ違い”を装うように、チェックアウトの列を変えて対応した。
「……相変わらずスリル満点だね」
「まるで社内ドラマよ、もう」
肩を揺らして笑うふたりの間に、静かに“絆”が深まっていく音が響いていた。
◆【湯上がりの静けさのなかで】
帰りの電車内。結翔は静かに眠っている。
窓の外を流れる風景に目を細めながら、真希がぽつりと呟いた。
「……不安もあったけど、来てよかった。
こうやって“パパとママ”として、一緒に過ごせる時間が、こんなに尊いなんて」
悠真はそっと彼女の手を握った。
「俺も思った。……この家族、何があっても守っていく。
どこにいても、誰に会っても、もう揺らがないって――そう思えたから」
ふたりは小さくキスを交わした。
そこにあったのは、“秘密の家族”じゃない。
“選んだ家族”の確かな愛だった。
──『選んだのは、家族を守るという日常』
◆【社長と副社長の視線の意味】
チェックアウト後、土産店で偶然――
氷室結衣社長と橘理沙副社長に再び鉢合わせた。
社長は一瞬、悠真と真希、そしてベビーカーに眠る結翔を見た。
だが何も言わず、ただ軽く微笑みを返す。
(……全部、分かってて、それでも黙ってくれている)
真希の心に、感謝とも言えない熱が込み上げる。
理沙副社長もまた、「気づいてるけど、見なかったフリ」をするようにそっと視線を逸らす。
それは、“信頼”という名の沈黙だった。
◆【ふたりで選んだ“今の形”】
帰りの車内、結翔は深く眠っていた。
「……ギリギリだったね」
悠真のつぶやきに、真希は苦笑いで頷く。
「でも、これが私たちの“選んだ今”なんだと思う」
「うん。堂々と隠す、って決めたんだから、もう怯えたり後ろ向きになったりする必要はないよな」
「ええ。それに……私たちはもう、“家族”なんだから」
静かに手を重ね、結翔の寝顔に目を細めるふたり。
社内にはまだ秘密。
でも――誰よりも深く、強く、ひとつになっている。
◆【“バレそう”なスリルも、家族の証】
すれ違った社員たち。
知っている者、気づきかけている者、見ぬふりをする者。
けれど、ふたりは今、そんな視線さえも乗り越えて歩いていける。
結翔の小さな手が、眠ったままふたりの指をつないでいた。
(この子がいる限り、私たちは強くなれる)
(守りたい人がいる。それが、いまの“強さ”)
窓の外に広がる夕陽の景色の中で――
ふたりの手と、ふたりの想いは、決してほどけることはなかった。
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