第5話「手を繋ぎたいのは“彼女”なのに――文化祭で母親バレ寸前!?」
文化祭シーズンがやってきた。
悠真たちのクラスは「お化け屋敷」を出し物にすることになり、
生徒も親も自由に参加OK。
悠真「……やっぱ来るよな、真希?」
真希「もちろん。“母親”として」
悠真「……やっぱそれか」
内心では「彼女」として来てほしいけど、
公的には“母親”しか許されない。
この気持ち、どうすりゃいいんだ――!
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◆ 文化祭当日
朝から校内は大盛り上がり。
悠真の友達、佐伯蓮もテンションMAX。
佐伯「悠真ー、ママ来るんだろ!? 俺、挨拶行くわ!」
悠真「やめろマジで! 俺の平穏が死ぬ!」
そこへ現れる、
私服姿の春日井真希――
大人っぽく落ち着いたニットにロングスカート。
どう見ても“母親”というより“美人のお姉さん”。
男子生徒たち「「え、あれが悠真ママ!? 若ッ!!」」
真希「悠真、お友達と仲良くしてる?」
悠真(心の声)
――無理すんな、俺の彼女……
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◆ お化け屋敷で事件発生
クラスのお化け屋敷に入ったふたり。
中は真っ暗、手を繋がないと迷子になるレベル。
真希「こ、こわ……! 悠真、ちょっと手、貸して……!」
悠真「……仕方ないな」
ぎゅっ、と恋人繋ぎしようとした、その瞬間――
「悠真ー! その人、ママなんだろ!? 手ぇ繋いでんのウケるー!!」
(佐伯の爆笑がこだまする)
悠真・真希「「――しまった!!」」
急いで手を離すふたり。
悠真「違う違う! 暗いから、仕方なく!!」
真希「そ、そうよ、母親としての責任よ!!」
佐伯「いや~、ラブラブ親子って最高だな! ほっこりするわー!」
――もうツッコミきれない。
バレてないけど、方向性が完全に間違っている。
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◆ 帰り道・ふたりきり
文化祭が終わり、帰り道。
真希がふっと言う。
「……私、母親役が板についてきたかも」
悠真「……それ、嬉しくない」
「私もよ。本当は……“彼女”として、デートしたかったわ。
あなたと、普通の高校生と大人の恋人として、文化祭を回ってみたかった」
その言葉に、悠真は立ち止まり、
そっと真希の手を取った。
「じゃあ、今だけ……デートしようぜ」
周囲に誰もいない路地裏で、
もう一度だけ、指を絡めて歩き出す。
――手を繋ぐ相手は、母親じゃない。
俺の、大好きな彼女なんだ。
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夜。
ソファで甘える悠真に、真希が微笑む。
「……今日は甘やかしてあげる。頑張ったもんね、私たち」
悠真「マジで甘え倒すわ」
そしてまた、ふたりだけの時間が流れていくのだった。
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