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第8話「あなただけには伝えたくて――社長の秘密と、私たちの覚悟。 そして、秘密の夫婦は同期だった――驚きと静かな共犯」


『交際0日婚ですが、結婚相手は18歳の新入社員でした――「僕でよければ、夫になります。」それは、35歳の女社長と部下が一目惚れから始めた“秘密の夫婦生活”』にて

氷の帝王である氷室結衣社長と総務部で高槻悠真の同期である瀬川陽翔が結婚している。しかも秘密の結婚していた事を知る。


◆ 【氷室結衣社長からの“呼び出し”】


ある朝、春日井真希のもとに1通の社内メールが届いた。


件名:お時間いただけますか?

差出人:氷室結衣(社長)


(……社長、直々に?)


「緊張するなぁ……なにかミスでもした?」

つぶやきながら役員フロアへ。


ノックのあと、社長室のドアが開くと、そこには

いつも冷静で美しい――氷室結衣の姿があった。


◆ 【「実は、私も結婚しています」】


「春日井さん。突然でごめんなさいね」

「いえ、あの……何かありましたか?」


「少しだけ、個人的な話をさせてほしくて」

そう前置きしてから、結衣は静かに続けた。


「……私、結婚しています。極秘ですが」


「えっ……」

思わず、真希の表情が強張る。


「相手は、ルクシアの社員よ。総務部所属――瀬川陽翔くん」


「……陽翔くん!?」


◆ 【「彼、悠真くんと同期なの」】


「ええ、高槻悠真くんとは、入社年次が一緒よね」


「……はい。そうです」


言葉を飲み込む真希。


(社内にもう一組、秘密の夫婦がいたなんて――しかも、同期同士!?)


「お互い、社内では知られないように努力してるわ。

あなたの気持ち、少しだけ分かるつもりよ」


結衣の声は、どこか穏やかで、

“同じ立場の女”としての共感が滲んでいた。


「春日井さん。あなたが誰を愛そうと、私は何も言わない。

でも、もし今後、何かあったときは……私を頼って」


真希は、ほんのわずかに息を詰めたあと、深くお辞儀をした。


「……ありがとうございます。社長。

……いえ、“結衣さん”」


◆ 【「真希が社長室に呼ばれたらしい」】


その日の午後。

悠真がデスクに戻ると、桐谷がひそひそ声で話していた。


「春日井課長、さっき社長室に呼ばれてたよな。

なにか、あったのか?」


「いや……知らない。何も聞いてないけど……」


(まさか、バレた……?)


心配を胸に帰宅すると――


◆ 【夜、“守るための嘘”を交わす】


「ただいま」

「おかえり。……あのね、悠真」


食事後、ソファに並んで座りながら、真希はゆっくりと話す。


「今日、社長に呼ばれて……結婚してるって、聞かされたの」


「えっ!? 社長が!?」


「相手は、瀬川陽翔くん……あなたの同期」


「……嘘……まさか、あの人が……」


「ね。驚いたよね。でも、同じだったの。“誰にも言えない夫婦”ってとこも」


しばしの沈黙のあと、

悠真が小さくつぶやいた。


「……俺たちも、これからもバレないようにしよう。

真希を守るための嘘なら、何度でもつける」


「……悠真」


そっと、真希の肩が彼の胸に寄りかかる。


「あと少しだけ……秘密でいさせてね」


「うん。“そのとき”が来るまで」


ふたりは、静かに背中で抱き合うように、

ぬくもりを重ねた。


“誰にも知られないように”

でも、“確かに愛し合っている”と伝えるように――


◆ 【社食にて――偶然の再会】


昼休み。

社内カフェテリアで悠真がひとりで昼食をとっていると、背後から声がかかった。


「おっ、久しぶりじゃん、高槻」

「……瀬川?」


振り返れば、ルクシア総務部の瀬川陽翔。

同期の中でも温和で、人懐っこく、社内でも人気者のひとりだ。


「珍しいな、お前がこっちに来るの」

「ちょっと用事があってね。たまには顔出さないと」


ふたりはトレーを並べ、適当なテーブルへ。


◆ 【会話の流れで“それ”は始まる】


「最近、どう? 彼女とかできた?」

陽翔の問いに、悠真は少しだけ表情を曇らせた。


「……まあ、ぼちぼち。

っていうか、俺……結婚してる」


「えっ!?」


トン、と陽翔の手が止まる。


「マジで? 全然聞いてなかったぞ!? 相手って……誰?」


「……社内の人。課長職の人なんだけど」


「社内!? え、それ大丈夫かよ!?」


悠真は少し周囲を気にしながら、

スプーンを止めてぽつりと言った。


「……春日井真希さん」


「………………」


陽翔は、一瞬言葉を失った。


「……ま、まさか、春日井“課長”って、あの真希課長……!?」


「うん。そう。俺の、妻」


◆ 【今度は、悠真の番だった】


「おまえ……すげぇな……。いや、正直びっくりだわ。

めちゃくちゃ綺麗だし、厳しそうなのに、あんな美人と――」


「おい、褒めるな。……っていうか、お前だって」


「……ん?」


「お前も結婚してるって、今日知ったぞ。相手って、誰なんだよ?」


「……ああ、それなんだけど――」


陽翔は、なぜか急に声を潜めた。


「……実は、うちの“社長”」


「……は?」


「氷室結衣社長。俺の、妻」


今度は悠真がスプーンを落とした。


「え、ちょ、待て待て……結衣社長って、あの氷室結衣社長? 氷の女帝って言われてる……?」


「……あの呼び方、地味に傷つくからやめてほしい。

でも、そう。結婚してる。俺ら夫婦。マジで内緒な」


◆ 【同期、静かな共犯関係へ】


しばらく沈黙。

ふたりはそれぞれ、お互いの顔を見てから、同時に苦笑した。


「……お互い、隠してること、多いな」

「なあ、これってもう“戦友”だよな」

「間違いない」


「で、どう? “年上の奥さん”って」

「……最高に甘いし、たまに怖いし、なにより……人生を変えた人だ」


「同じだな。お互い、いい女に拾われて良かったよな」


そう言ってふたりは、拳を軽く合わせた。

誰にも言えない“夫婦生活”。

でも、ここにだけは、通じ合える“同志”がいた。


◆ 【夜、“それ”を伝える】


帰宅後。

悠真は真希に、陽翔との会話を話した。


「……そっか、陽翔くんも社内婚だったんだ」


「しかも相手は、結衣社長。びっくりだよ」


「結衣さん……あの人、昔から自分の気持ちは絶対見せなかった。

……でも、愛されたかったんだろうな」


悠真は、真希の手をそっと握った。


「……真希は、今は幸せ?」


「……あなたが隣にいるから、私はちゃんと幸せよ」


ふたりは、言葉少なに見つめ合い、

背中で静かに寄り添った。


【第8話・完】



最後まで読んでくださり、ありがとうございます!

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