第4話「その感情は、恋よりも強く――夫婦の“嫉妬”と秘密のキス」
◆ 【月曜・社内にて】
「春日井さん、先週のプレゼン資料、ほんとに参考になりました!」
昼休み、給湯室。
若手の営業社員・佐伯優斗が、妙にテンション高く真希に話しかけていた。
「そう? お役に立てたならよかった」
「はい! あの、よかったら今度、食事でもお礼に――」
「……佐伯くん」
不意に、後ろから悠真の声。
「この資料、急ぎなんで至急確認お願いできますか」
「あっ、はいっ! すみません、高槻先輩!」
どこか、空気が凍る。
佐伯が去ってから――
「悠真……ちょっと怖かったよ」
「……ああいうの、嫌なんだ」
「でも彼、私が上司だし、単に憧れてるだけかも」
「……それが一番、やっかいなんだよ」
悠真は冷静を装いながら、
内心では火が点いたようにモヤモヤしていた。
(俺の“妻”に、よくも堂々と……!)
•
◆ 【その夜・真希の同期と飲み会】
「今日は帰り遅くなるわね」
「……誰と?」
「昔の同期。女性も多いし、安心してよ。会社の人は誰もいないし」
(……本当に?)
悠真は言いたい気持ちを飲み込み、笑顔を作った。
「分かった。……迎えに行こうか?」
「大丈夫。タクシーで帰るから。
……ありがとうね、心配してくれて」
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◆ 【SNSに浮上した“集合写真”】
21時過ぎ。
悠真は帰宅後、スマホで何気なくSNSを見ていた。
すると――
(……え?)
そこには、真希が同期たちと肩を並べて笑っている写真。
しかも、隣にいたのは――
一人の“男性”。
(……これ、誰?)
キャプションは【#久々の再会 #某社の女王 #変わらなすぎてヤバい】。
胸がざわつく。
理性が追いつかない。
“結婚してるのに、男の隣で無防備に笑うなよ”
そんな言葉が喉元までこみ上げた。
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◆ 【帰宅・ふたりの夜】
「ただいま……」
玄関のドアが開く。
真希は酔っていない。
むしろ、やや神妙な表情。
「……悠真、怒ってる?」
「……写真見た」
「ああ、やっぱり……。ごめん、公開されたの知らなくて。
その場で撮っただけで、すぐ削除してって言ったのに」
「……隣の男、誰?」
「大学の同期。私の初任時代、部下だった人」
「その人と、昔付き合ってたとか、ないよね?」
「……ないわよ。嫉妬?」
「……めちゃくちゃしてる」
正直すぎる言葉に、
真希の頬がふっとゆるむ。
「ふふ、可愛い」
「可愛くなんかない。……俺、真希の全部、欲しいんだよ。
過去の男とか、視線とか、隣で笑う相手も全部、俺であってほしい」
「……それ、妻としてはちょっと照れるわね」
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◆ 【ベッドの中での、仲直り】
「……私も、今日ちょっと嫉妬したのよ」
「え?」
「佐伯くんのこと。
私に話しかけてるのを悠真が割り込んだとき、ちょっと嬉しかった」
「……なら、おあいこか」
ふたりは見つめ合って、
そっと唇を重ねる。
軽いキス。
深いキス。
どちらも、本気の気持ち。
「……ねぇ、ちゃんと“私のもの”って、してよ」
「いいの? 今夜も」
「もう、止める気ないから……」
それ以上の言葉は、
キスと吐息に溶けていった。
熱く、甘く、
誰にも言えない“秘密の夫婦生活”は、
また一歩、絆を深めていく。
【第4話・完】
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