第4話「母親か、彼女か――クラスメイト襲来、バレたら人生終了!」
「なあ、悠真ー。お前ん家って、どこ住んでんの?」
放課後、クラスメイトの**佐伯 蓮**が、ニヤニヤと声をかけてきた。
「え、何で?」
「いや、明日さ、テスト前の勉強会やろーぜって。
どうせお前ん家、親御さんいないんだろ? 静かそうだし、快適そうじゃん?」
――終わった。
悠真の心は、その瞬間、静かに崩壊した。
家には、40歳の恋人――もとい、「母親役」をやっている真希がいる。
もし、ふたりの関係がバレたら……
高校生活も恋愛も人生も、全部終了。
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その夜。
帰宅した悠真は、真希に深刻な顔で告げた。
「真希、緊急事態発生だ。明日、俺の友達が家に来る」
「……は?」
「頼む……“母親”でいてくれ。絶対、彼女バレだけは避けてくれ……!」
真希は沈黙した後、深くため息をついた。
「……了解。“完璧な母親役”、やってあげるわ」
(その顔は、妙に楽しそうだった)
•
◆ 翌日・高槻家
ピンポーン、とチャイムが鳴る。
悠真が震える手でドアを開けると、
佐伯 蓮、そしてもう一人、
女子クラスメイトの**伊藤 咲良**が笑顔で立っていた。
「お邪魔しまーす! 悠真んち、初めて~!」
「ご飯とか出るんかな? 悠真ママ、超若いって噂だし~」
その言葉と同時に、エプロン姿で登場した真希。
「いらっしゃい、悠真のお友達。ご飯作ってあるから、よかったらどうぞ?」
佐伯・咲良「「…………マジで若ッ!!」」
その場が一瞬で静まり返る。
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◆ 勉強会スタート
和やかな雰囲気(に無理やり持っていこうとする悠真)
だが、ふとした瞬間――
真希「はい、悠真、これ宿題忘れないようにね」
悠真「ありがと――じゃなくて、あ、ありがと、お母さん……」
佐伯「今、“ありがと”って言いかけたよね?」
咲良「いや、距離感近くない? なんか怪しくない?」
――バレる! バレる!!!!
悠真(心の声)
――頼むから、これ以上ツッコむな! 空気読んでくれ!
その必死の祈りも虚しく――
佐伯「つーかさ、悠真んち、母子家庭なんだろ? なんでこんな若いの?」
咲良「再婚とか?」
真希は困ったように笑った。
「いろいろ事情があるのよ。でも、私は悠真のこと、大事に育ててきたから」
悠真はその言葉に、思わず胸が熱くなった。
(……本当は育ててもらってるわけじゃないけど、
俺のことを大事にしてくれてるのは、本当だから)
•
夜、ふたりきりになってから。
悠真「……ありがとな、完璧に“母親役”、やってくれて」
真希「ふふ、たまには役に立つでしょ、年上彼女」
悠真「いや、マジで助かった。でも俺的には――」
真希「ん?」
悠真「“彼女”の方でいてほしいけどな」
その言葉に、真希は優しく笑って、
そっとキスを落とした。
「じゃあ、今だけは“彼女”に戻ってあげる」
――ふたりだけの時間だけが、素直でいられる場所だった。
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