第2話「朝の洗面所は戦場で!?――夫婦のすれ違いと、夜は嫉妬とキスでとろける新婚生活」
結婚から二日目の朝。
6時15分、アラームの音。
ふたり同時に起きて、同時に洗面所へ向かった――
……その瞬間。
「ちょっ、ちょっと悠真、ドライヤーは後で!」
「え、俺先使ってるし!」
「私、今日会議あるの。顔つくる時間もいるの!」
「俺も今日プレゼンなんだけど!」
ふたりで並ぶ鏡の前。
歯磨きと整髪剤とドライヤーと……大渋滞。
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◆ 【朝のすれ違い、それでも笑える】
「ねえ悠真、洗顔料、また俺の使ったでしょ?」
「んー? 同じに見えるから」
「これは敏感肌用! あなたのじゃないの!」
「そんなに怒る? 夫婦だし、分け合ってよ」
「分け合うには成分が合わなすぎるの!」
――結果、悠真はボディソープで顔を洗った。
(男って、なんでこう……)
そんな小さなことが、
“ふたりの生活”を積み重ねていく。
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◆ 【新婚あるある:冷蔵庫にキムチとヨーグルトしかない】
夜、仕事から帰ると、真希が冷蔵庫を開けて言った。
「ねぇ、悠真。冷蔵庫が“男子大学生の一人暮らし”状態よ……」
「俺、昨日買い物行こうとしたら寝落ちして……」
「もう! 夫婦になったら、冷蔵庫ってけっこう大事なのよ!」
でも、その怒りも
「ね、明日一緒に行こう?」
と言われたら、すぐに和らぐ。
(――こういうのが、“夫婦”なんだろうな)
真希はそう思って、笑った。
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◆ 【職場では“距離感MAX”演技中】
一方その頃――職場では。
「春日井先輩、これ資料なんですけど……」
「ああ、高槻くん、そこ置いといて」
声のトーンは落ち着き、表情も真顔。
(……さすがに冷たすぎない?)
と、同期の桐谷が横からじっと見ていた。
「……なあ、マジでお前ら、なんにもないの?」
「ないってば」
「春日井先輩、マジで“素”が出てない? あれ完全に“わかってる距離”じゃん」
「お前の妄想力、どうなってんの」
バレてはいけない。
でも、隠しすぎても不自然になる。
そんな“秘密の壁”の前で、ふたりはギリギリの攻防を続けていた。
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◆ 【夜、ベッドの中でのご褒美】
「今日の職場、ちょっとドキドキしたよね」
「桐谷くん、鋭すぎるのよ……」
布団の中。
ぴたりと寄り添うふたり。
「……でもさ、こうして帰ってきて、
“真希”に戻れる時間があるのが救いだよ」
「悠真……」
軽くキスをして、
そのまま何度も唇を重ねる。
言葉ではなく、体温で“安心”を確かめ合うように。
「明日も、また秘密を守ろうね」
「うん。俺たちの幸せは、ふたりで守るものだから」
抱き合ったまま、
静かに眠る。
恋人で、夫婦で、
でも誰にも言えない関係。
それでも、
ふたりの心は、誰よりも強く結ばれていた。
◆ 【夜、ふたりの帰宅】
「ただいまー……あっ、重!」
玄関を開けた悠真の両手には、仕事帰りに立ち寄ったスーパーの袋。
冷蔵庫を満たすミッション、遂行完了。
「おかえり。ほんとに買ってきてくれたんだ。えらい」
エプロン姿の真希が、
やわらかく笑って迎える。
「夕飯、煮物にしようかと思ったけど……がっつり系がいい?」
「がっつり希望です。愛情たっぷりで」
「はいはい、うちの旦那さま」
「その呼び方、ちょっと照れる」
「ふふっ、私も」
どこまでも他愛ない会話。
でもそれが、たまらなく心地よかった。
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◆ 【夕食のひとときと、わずかな火種】
食卓には肉じゃが、味噌汁、ほうれん草のおひたし。
いかにも“家庭のごはん”。
「やっぱ真希のごはん、世界一うまい」
「付き合いはじめの頃より、褒め方うまくなったわね」
「経験値積んでるからね。夫としてのスキルも地道にレベルアップ中」
ところが――
ふと、真希のスマホに通知が入る。
「……ん? 誰から?」
悠真が何気なく聞くと、
真希は少しだけ言いづらそうに答える。
「えっと……部下の子。新入社員の子ね。明日の会議資料の件」
「へぇ。あの、髪短くて笑顔がやたら多い人?」
「そうそう、えらくフレンドリーな子」
「……その子、真希のこと、完全に“狙ってる”と思う」
「は?」
「だってこの前、やたら距離近かったよ。俺の前で」
真希は思わず吹き出した。
「まさか、悠真がやきもち?」
「やきもちくらい焼くでしょ、夫だもん。しかも年下夫」
「……可愛いこと言うじゃない」
笑いながら、真希は皿を下げ、
そしてキッチンで背を向けたまま言う。
「じゃあ……ちゃんと“私のもの”って、今夜も証明して?」
「もちろん、するに決まってる」
悠真の目が、ほんの少し鋭くなった。
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◆ 【お風呂上がりと、愛の時間】
「ふぅ……」
湯上がり、バスタオルを巻いた真希がリビングに戻ると、
悠真が柔らかなバスローブ姿で待っていた。
「真希。こっち来て」
言われるがままに、ソファへ。
その瞬間、彼の手が背中にまわり、ぐっと引き寄せられる。
「……俺、今夜は真希を離したくない」
「……今日は、甘えたい気分なの?」
「ううん、逆。俺の番。
ちゃんと、“妻”を抱きしめたい」
ゆっくりと唇が重なる。
何度も、何度も。
深く、熱く、
そして心を確かめるように。
•
◆ 【ベッドの中、ふたりきりの世界】
ベッドに移動してからは、
もう言葉はいらなかった。
手と手、唇と唇、
温もりだけで想いが伝わる時間。
「……悠真、ありがとう。
こうして一緒に眠れるだけで、毎日が贅沢に感じるの」
「俺の方こそ。
真希が“妻”でいてくれることが、俺の幸せだから」
キスはゆっくり、
そして自然と、身体を重ねていく。
新婚らしい、
けれど“秘密”だからこそより濃く、
甘く、静かな夜だった。
【第2話・完】
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