表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
37/83

第1話「ふたりだけのはじまり朝――秘密の誓いと、夫婦という名前の恋」


《社会人2年目編 & 秘密の同棲&結婚生活編》



今日、ふたりは結婚した。


籍を入れたことを、誰にも知られないように。

でも、確かに“夫婦”になった。


朝焼けの光が、カーテン越しに差し込むリビング。

静かに炊けるごはんの匂いと、味噌汁の湯気。

テーブルの上には、区役所帰りにもらったばかりの

「婚姻届受理証明書」。


「……これで、俺たち、夫婦なんだな」


悠真がそう呟くと、

真希は笑って、彼の隣に腰を下ろした。


「実感、まだちょっとないけど……でも、うれしいわね」


白い湯のみから立ち上る湯気の向こう、

彼女の横顔は、いつもより少し照れて見えた。


◆ 「夫婦」だけど、「秘密」


ただし、社内には“ナイショ”。


結婚したことを知っているのは――

ただひとり、春日井真希の直属の上司・柳瀬部長だけ。


「……あなたたちの関係は把握しています。

しかし社内には、当面、公表しないほうがいいでしょうね」


柳瀬はそう言って、

静かにふたりの背中を押してくれた。


(ありがたい人だな……)


悠真は心の中で深く頭を下げた。

けれど、同時に覚悟も決めていた。


――“秘密の夫婦生活”を、きちんと守る。


職場ではただの後輩と先輩。

帰宅すれば、夫と妻。

誰にも気づかれないように。

誰にも笑われないように。


でも、

“誰よりも幸せだと胸を張れるように”。


◆ 家の鍵と、左手の薬指


「……鍵、ちゃんと持った?」


「持ったってば。あとで新しい表札も見に行こうよ、“高槻”って」


「やめてよ、そんなに堂々と……」


「だって、俺たちもう夫婦だし」


にやっと笑って、

悠真が彼女の左手を取る。


その薬指には、

まだ“結婚指輪”はない。


でも、代わりに――

彼女の指を、そっと口づけで包んだ。


「……俺、これから毎日、

真希の帰りを“夫”として待ってる」


「……バカね」


嬉しそうに笑って、

真希も彼の頬に口づけを返した。


まだ若くて、

まだ拙い“夫婦”だけど。


たしかにここに、

ふたりだけの未来がはじまった。


◆ ふたりだけの家、ふたりだけの朝


「いってらっしゃい、悠真」

「行ってきます、真希」


毎朝交わす“夫婦の挨拶”。

でもそれは、職場の誰にも知られない秘密。


それでもふたりは、

今日も明日も、

静かに愛を育てていく。


“好き”を選んだ結果が、

“夫婦”という形になった。


そしてこれから、

どんな困難があろうとも――


「ふたりなら、大丈夫」


その言葉だけを信じて。



夜になって、

家の中は静まり返っていた。


結婚初日の夜――と言っても、

豪華なディナーもなければ、

特別な記念日用の飾りつけもない。


ただ、静かに並ぶ食器。

ふたりで作ったハンバーグとサラダ。

コンロの火を見ながら、お互いの顔を何度も見て笑って。


「……ねえ、なんか変だね」


「何が?」


「籍、入れたのに……“何も変わってない”のに、“全部変わった”って感じ」


「……分かるかも」


指先が、そっと触れる。

それだけで、胸の奥があたたかくなる。


◆ 【一緒に暮らす、という現実】


夕食後、ふたりで皿を洗って、

真希は洗面所で髪を乾かしていた。

隣の部屋からは、悠真のシャワーの音。


(もう、毎日がこうなるのね)


どこか夢みたいで、でも現実で。

ひとりで生きてきた時間が長かった分、

誰かと空間を共有することが、まだ少しくすぐったい。


◆ 【静かな寝室、ふたりの距離】


寝室に入ると、

悠真はTシャツ姿でベッドに腰を下ろしていた。


「……真希」


呼ばれて、真希はそっとベッドの隣に座る。


「今日から、毎日こうやって眠るんだね。

隣に、真希がいてくれるんだなって思うと……ちょっと泣きそう」


「泣かないで。……私が泣いちゃう」


そう言って、彼女はそっとシーツを引き、

布団の中に潜り込んだ。


悠真の腕が、彼女の背中を包む。


「……幸せだなって思うの。

でも、やっぱりちょっと怖いの。

“いつか終わるんじゃないか”って、ふと考えちゃう」


彼女の声が震えた。


「真希、終わらせないよ。

俺、ぜったいに。

ずっと真希を、大切にするから」


彼の言葉は、

あたたかくて、まっすぐで――

真希の心を、優しく包み込んだ。


◆ 【静かに、甘く、ふたりで眠る】


キスは、

ひどく優しくて、泣きたくなるほど甘かった。


恋人でも、母でもない。

“妻”として、

“ひとりの女”として、

抱きしめられることが、こんなにも幸せだなんて。


「……おやすみ、悠真」


「おやすみ、真希」


その夜、

ふたりは何度もキスを交わして、

ようやく眠りについた。


大人と大人。

でも、まだ少し不器用な新婚夫婦の、

“はじまりの夜”。


【第1話・完】



最後まで読んでくださり、ありがとうございます!

もしこの物語に少しでも「面白い!」と感じていただけたなら——


ブックマーク & 評価★5 をぜひお願いします!


その一つひとつが、次の章を書き進める力になります。

読者の皆さまの応援が、物語の未来を動かします。


「続きが気になる!」と思った方は、ぜひ、見逃さないようブックマークを!

皆さまの応援がある限り、次の物語はまだまだ紡がれていきます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ