第1話「前夜 ――高校卒業、そして、君と歩く“社会”へ」
シーズン2・社会人編
◆ 【高校卒業式・その翌日】
悠真は、高校生活の全てを終え、
静かな朝、ベッドの上で目を覚ました。
「……今日から俺、何者でもないんだな」
もう高校生じゃない。
でも、まだ“社会人”にもなれていない。
隣には――いない。
彼女、春日井真希は既に会社へ出勤していた。
40歳の大人として、社会で生きる人。
悠真は、
その背中にずっと憧れていた。
だから、追いかけたいと思った。
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◆ 【就職活動――孤独な戦い】
悠真は大学進学を選ばなかった。
真希との将来を考えて、早く働きたかったから。
周囲の友人たちが「大学楽しいよな~」なんて言ってる中、
彼はスーツに袖を通し、
一人で企業説明会に通い、履歴書を書き続けた。
世間は冷たかった。
「高卒ですか?」
「特別な資格も、スキルも、ないんですね」
「ご家庭の事情は?」
家族構成を書く欄に、
「母:春日井真希(事実上の恋人)」なんて書けるわけがない。
孤独だった。
でも、“あの人”のために、負けたくなかった。
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◆ 【真希の支え】
そんなある夜、
リビングで履歴書の山を前に、
悠真はぼそりとつぶやいた。
「俺、社会に認めてもらえんのかな」
すると、キッチンからエプロン姿の真希が、
優しく、でも強く言った。
「……私は、最初から認めてるよ。
あなたがどんな道を選んでも、私は味方だから」
その言葉に、
悠真の胸は熱くなった。
「じゃあ、俺、もうちょっと頑張ってみる」
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◆ 【内定――新たな一歩】
数ヶ月後――
一通のメールが、彼のスマホに届いた。
『内定通知:ルクシア株式会社』
悠真「……やった」
初めて、自分の名前で掴んだ未来。
親のコネでも、周囲の同情でもなく、
自分の力で勝ち取ったもの。
帰宅後、真希に報告する。
悠真「内定、出た。俺、社会人になるよ」
真希は驚いて、
次の瞬間、涙を浮かべて抱きしめた。
「……おめでとう。本当に、おめでとう」
ふたりは、ただ静かに寄り添った。
“母親”じゃなく、“彼女”として――
“守る側”じゃなく、“支え合う側”として。
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◆ 【前夜――社会人になる前の夜】
社会人になる前夜。
リビングでコーヒーを飲みながら、ふたりは語り合う。
悠真「明日から、俺も“社会の歯車”か」
真希「そんな風に言わないの。
あなたはあなたのままで、ちゃんと生きていけばいい」
悠真「……じゃあ、隣にいてくれよ」
真希「もちろん」
その夜、ふたりは
母親役も恋人役もやめて、
ただ“ひとりの男と女”として、
静かに唇を重ねた。
「いってらっしゃい、悠真」
「ただいま、ってすぐ帰ってくるよ」
社会の荒波に飛び込む彼と、
それを見送る彼女の、
新しい日常が始まる。
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