第10話「“母親”のフリは、もう終わり――卒業式と、君と歩く未来」
◆ 卒業式・当日
3月。まだ肌寒い春の朝。
悠真は、制服に袖を通し、
鏡の前で深呼吸していた。
「……やっと卒業か」
彼のそばには、春日井真希。
今日も、保護者として学校に同行する。
真希「……最後まで“母親役”、やり切るわよ」
悠真「もうその役、卒業してよ」
真希は、ちょっと寂しそうに微笑む。
「……そうね、今日で最後にしよっか」
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◆ 式後・教室にて
クラスメイトや先生たちと最後の挨拶を交わす悠真。
その後ろで、真希もまた保護者として花束を受け取る。
先生「高槻くん、お母さん、これからも頑張ってくださいね」
真希「……はい、“母親”としては、今日までですけどね」
心の中で、そっと呟いた。
(もう、悠真の“母親”じゃなくていい。
これからは――彼の、恋人として隣にいるから)
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◆ 卒業式・帰り道
学校を出たふたりは、静かな公園に寄り道する。
真希「……高校生、卒業おめでとう」
悠真「ありがと。……じゃあ、次は“俺の彼女”として祝ってよ」
真希「はいはい」
そう言って、
小さく唇を重ねる。
甘くて、少しだけ切ない、でも幸せなキスだった。
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◆ 夜・ふたりの家
卒業祝いのごちそうとケーキを食べ終わった後。
静かなリビングで、悠真がぽつりと言った。
「俺さ、将来ちゃんと働いて、結婚して――
今度こそ“本物の家族”になろうと思ってる」
真希は驚いて、それから少し照れて笑った。
「……そっか。じゃあ、その時は……
“妻”として、よろしくね」
悠真「うん、ずっと一緒にいてくれ」
またそっと、優しくキスを重ねる。
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◆ そして――
翌朝。
「あー終わった、さて、社会人として働きに行くか」
「“ママ”って呼ばれなくて済むわ……」
「でも、“真希”って呼ぶと、たまに母親感出るよな」
「それ、禁句」
――ふたりの、ちょっと変わった恋と人生は、
これからも続いていく。
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