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第四十二話 後半戦開始

「さあ、前半戦も終了し、残り五種目。実況は引き続き私がやっていきます。今の赤チームと白チームのスコアは150対150と同点になっております。防衛作戦と決闘においては得点が倍の100ポイントな上に、二回戦もあります。最後までどっちが勝つか分からないこの勝負、一体どうなるのでしょうか?」

「後半戦の最初の種目は綱引きか。正直なところー、人選が一番気になる種目ではある。赤チームは和泉がいることが確定してんだろうがー、他のやつも出てくんのか気になる。白チームは和泉がいるのを見越してー、誰も上位者を出さないという選択を取ってくるかもしれねぇ。そもそも和泉に対してどう戦っていくのかが見ものだな」

「三枝先輩に選出がばれているということは、相手チームもこちらの選出を分かってるはずです。前に獅子王先輩も言ってましたが、相手は和泉先輩のスキルをなんとか攻略しないといけない。基本的にこちらに勝たれることを想定しながらも、一矢報いた策を考えているだろうと思います」 

「大丈夫ですよ。和泉先輩ならなんとかしてくださりますって。ほら、そろそろ始まりますよ」


 綱引きのフィールドはいたって簡単。何もない平面に長い綱がおいてあるだけ。普通なら小細工の仕様もないこの競技。だが、こちらは和泉先輩のスキルで綱を空中に固定することができる。このままいけば、こちらの勝ちは確実ではある。


「どうやら俺の予想通りー、赤チームは和泉だけで、白チームに上位者は誰もいねぇな。それでもー、白チームには力の強い奴が揃ってやがる。油断してっと巻き返せねぇぞこら」

「両チームとも、最適な人物を集めてきたということでしょうか。この一方的に見える綱引きどうなるのか気になるところです。ということで、それではやってまいりました。体育祭の第七種目、綱引き。今、審判がカウントダウンを開始……ピストルが鳴りました!! 綱引きスタート!! 後半戦開始です!!」

「先手必勝じゃけぇ!! 【鍵職人ロックスター】!!」


 和泉先輩のスキルで綱が空中に固定される。しかし、始まりと同時に発動したということは綱の印は中央。このままでは引き分けになってしまう。かといってタイミングはここしかない。万が一、印が相手陣地に入った状態で固定してしまえば、逆転できない可能性があるからだ。


「おーっと、これはどういうことでしょうか。両者、綱を持った状態で引かずに、待ちの状態が続く。綱は中央で固定されており、そこから両端へ向かって綱が垂れ下がっている状態だー!」

「綱が固定されている状態で引っ張っても意味がねぇ。疲れたところをやられるだけだ。だからー、両者ともに待っている。和泉がスキルを解除して、綱が一瞬でも引っ張れるその瞬間を」


 両チームとも綱を持った状態で動かない。風が流れる音が聞こえるほどに静寂に満ちていた。勝利への鍵を握っているのは和泉先輩。和泉先輩のスキルが解除され、固定されている部分の綱がしなったときに勝負は決まる。少しでも印を自分の陣地に持っていくことが出来れば、固定して終わりだ。静の状態が三十秒ほど続いた時、和泉先輩が動いた。


「解除!!」


 しなる綱。それを見た両者が動き出す。タイミングを読まれているのか引っ張る瞬間は同じ。しかも、力で負けているのか印が相手陣地に入る。このままでは負ける。そう思われたとき、綱がピーンと張った状態になる。予想だにしていなかった白チームは体勢が崩れた。


「解除! 今じゃ!!」


 相手の体勢が崩れた瞬間に思い切り引っ張る赤チーム。真ん中にあった印が赤チームの陣地に来る。ここで和泉先輩がもう一度【鍵職人ロックスター】を発動。勝敗は決したのであった。


「試合終了ー! 勝ったのは赤チーム、やはり和泉選手が強かった。しかし、スキルが解除され、白チームの流れに乗ったと思われたんですが、あれはどういう仕組み何ですかね?」

「おそらく最初の段階で、綱が浮いている中央と、綱が浮いていない後方の二か所を固定した。宙に浮いた綱を固定することでー、白チームの注目を真ん中に集めた。途中で解除と言って解除したのは真ん中の方だけだー。そうすっとー、相手は思い切り引っ張るが、後方の固定は解除していないために予期しないタイミングで突っかかる。赤チームはあまり力を入れずにわざと相手に引かせたんだろう。そうしてー、体勢が崩れたとこを一気に持っていったってわけだ」

「必ず勝てる策を練っておけと言う俺のオーダーに和泉は答えた。流石だな」

「これでこちらのチームが再び優位に立ちましたね。このままこちらのペースを保ちたいところです」

「ですが、次は妨害玉入れです。相手は上位者を綱引きに使わなかったということはここに人員を割いてくると思います。天岩サバイバーと言う不確定な要素に人員を大幅に割くとは考えにくいので。かなり厳しい戦いになるでしょうね」


 次の種目である妨害玉入れの準備が整う。映し出される映像には九頭竜先輩や烏丸、楠根と言った厄介な人物が揃っていた。ここで九頭竜先輩を使ってくるということは、三種目出場するのは九頭竜先輩で当たってそうだな。

 対するこちらの上位者は鏑木先輩と反町だけ。二人はどんな対策を練ったのか見ていくとしよう。妨害玉入れはのルールはいたって簡単。玉を一個入れると一ポイントで、相手チームはスキルや魔力弾を使って妨害する。これを自分側と相手側で行い、どちらがポイントが多いのかを競うゲームとなっている。

 こっちには玉入れにも妨害にも強い反町がいるが、鏑木先輩は何をされるんだろうか。いまいちその役割を分かっていない。相手は玉入れというよりは妨害に特化した編成だ。


「ということでやってまいりました妨害玉入れ。専攻は赤チームのようです。白チームには妨害をするのに特化した選手が揃っています。ここで赤チームに入れさせないことが、白チームの勝利へとつながることでしょう。それでは、体育祭の第八種目、妨害玉入れ。今、審判がカウントダウンを開始……ピストルが鳴りました!! 妨害玉入れスタート!!」

「俺の出番だな。【銃王無人バレットダンス】!!」


 九頭竜先輩の体の周りに複数の銃が展開する。そして、九頭竜先輩自身はガトリング砲を手にしていた。


「そう簡単にやれると思うなよー。【波瀾盤上ボードライフ】!! 【角換わり】! 俺の【角】の能力と引き換えに九頭竜も何か交換してもらうぜー」

「もちろん狙撃銃だ。このバトルでは必要ないからな」


 どうやら鏑木先輩は妨害をする九頭竜先輩を阻止するためにこの種目に出場しているようだ。だが、今のところ刺さっている様子はない。


「うおおおおおおおー!! 【消失点バニシングポイント】!! みんな、丁寧に狙う必要はない! かご周辺に投げ入れれば、かごの中に吸い込まれるようになっている! 適当にどんどん投げてくれ!」

「そうはさせないぜ! 【ちょっと一息コーヒーブレイク】!! お前のスキルを中断させてもらう!」


 楠根のスキルで反町のスキルが相殺される。畳み掛けるように九頭竜先輩のガトリング砲が火を噴こうとしていた。


「だからそうはさせねぇってよおー。【二歩】!! お前のガトリング砲は連続して撃てないぜ」

「くそ! ジャムった! しかし、切り替えればいい話だ」

「だからお前は自由にさせねぇっての、【王手】。これで、お前は逃げるかガードしかできなくなった。妨害はさせねぇよー」

「不味いな。烏丸、最後の手段だ。お前のスキルで全員の視点を入れ替えろ!」

「分かりました。【混ざり合う視点シャッフルウィンドウ】!!」


 途端に周りの選手がほとんどよろけて倒れ込む。自分のやっている行動と視点が合わなくなり、上手く体を動かせなくなっているみたいだ。


「お前ら全員目をつぶれ! そして、かごだと感じる方向に投げ込め! 反町! 誰かの視点でお前の居場所が分かった。目を閉じて、そのまま四メートル前の上空三メートル付近に【消失点バニシングポイント】を放ちやがれ!!」

「わっかりましたー! 【消失点バニシングポイント】!!」

「なんということだー! お互いの視点が入れ替わっているにも関わらず、赤チームのポイントがどんどん入っていくぞー!!」

「鏑木がつえーのはー、トリッキーな能力がたくさんあるからじゃねぇ。その機転の早さとどんな状態からでも打開に持っていける発想力が強みだ。能力を全て使いこなせるようになればー、すぐにでもシングルに行けるだろうよ」

「見切られているな。烏丸、スキルを解け! 視線が自分の者でない状態だと楠根が活躍できない。後は楠根に任せるしかない」

「了解しました! 解除!!」


 全員の視点が戻るも、突然のことに立てずにいる生徒が多い中、鏑木先輩と九頭竜先輩だけが速攻で立ち上がり、バトルを繰り広げる。反町のスキルも楠根のスキルで相殺されるようになったが、それは通常の玉入れに戻ったということ。妨害するものがほとんどいない赤チームの玉入れは高得点を稼ぐことに成功したのであった。


「先行の赤チーム、かなりの高得点を獲得したー! これをひっくり返すのは果たしてできるのかー?」

「まあー、厳しいだろうぜ。反町の【消失点バニシングポイント】で相手の玉入れを妨害する。それを楠根の【ちょっと一息コーヒーブレイク】で中断させる。だがー、鏑木の能力で【王手】をさせてしまえばー、楠根はスキルを発動できなくなる。二人で一人を見られたらまるで歯が立たんだろうぜ。九頭竜のスキルは意味がないし、烏丸のスキルは逆に不利になるだけ。ここで、こんだけ入れさせてしまった時点でー、白チームの負けだろうよ」


 三枝先輩の解説は見事に当たり、二回戦目の展開はその通りとなった。結果は、大差で玉を多く入れた赤チームの勝ち。これでスコアは150対250。ついに100点差をつけて、白チームを突き放した。次は俺の二回目の出番。帝人先輩には申し訳ないが、今回の任務は失敗で終わらさせてもらおう。 

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