ある日彼氏がTSして女の子になっていたらどうする?
TS百合が読みたくなったので自分で書きました。
【登場人物紹介】
松澤咲希 彼女
ゆう君のことが大好き。彼くんがTSしたことに驚きはするけどこれはこれでなんならむしろ……とまで思っている。
石橋優斗 彼氏
TSし小動物系の守ってあげたくなる感じの華奢で儚そうなか弱い美少女へとTS。
咲希のことが大好きな一方で自分が女の子になったことによって捨てられてしまうのではないかと不安になっている。
「大変なんだ!すぐに来てくれ!!(><)」
朝、私――松澤咲希――が起きて、最初に目に飛び込んできたのは、私の彼氏である石橋優斗からの切実なメッセージだった。
……こんな朝っぱらからどうしたんだろう。
私はふと時計を見る。
……まだ6時だよ?
「とにかく大変なんだよ!」
それじゃあ何があったのかわからないって。
まぁ、何かが起こると焦っててんやわんやしてしまうところもゆう君らしいが。
「俺、、、朝起きたら女の子になってた」
…………………………は?
◇
「ゆう君来たよ!」
そう言いながらゆう君の家の玄関のドアを合鍵で蹴破るようにして開けると、ゆう君の部屋のある2階に続く階段を駆け上がる。
「大丈夫!?」
そう言ってゆう君の部屋のドアを勢いよく開けると――――
「あ……さきぃ……」
半泣きの小柄で華奢な女の子が、だぼだぼのTシャツを着ながら、半泣きでこちらに近づいてきた。……ということは。
「ゆう……君……なの?」
正直似ても似つかない。170センチをこえていたゆう君に比べて、目の前のゆう君(暫定)は身長150センチほど。
今まで10センチくらい見上げてたのが、今度は見下ろすカタチになっていた。
「うん……俺だよ。信じられないかもだけど」
私の問いに、目の前の暫定ゆう君が答える。
その声もめちゃくちゃかわいくて、それでいて透き通るような可憐な声。
……これがゆう君……?
……ちょっとにわかには信じられない。
「じゃあさ、ゆう君しか知らないことを言ってよ。うーん、例えば私のこととか?」
そう言うと目の前の暫定ゆう君は少し目を閉じて考えるような仕草をし、かと思えば少しニヤッとして語り始める。
「松澤咲希。好きな食べ物はスイーツ全般。中でもシュークリームが大好き。17歳。身長162センチ。体重53キロ。最近少しお腹周りが気になっていて、ダイエットを決意するも筋肉痛により3日で諦める。あとは……右のおしりにホクロgいったぁっ!?!?!?」
「乙女の秘密っ!!あと余計なことまで言わんでもいいわっ!」
顔を真っ赤にした私の渾身のチョップが炸裂し頭を抱えてうずくまるゆう君。
うん。たぶんこれ間違いなくゆう君だわ。
若干のデリカシーのなさも含めて。
……ていうかおしりのホクロとかいつ知ったのよ……。
「俺だって、信じてくれた……?」
そう不安げにこちらを見あげてくるゆう君。
その声も姿もめちゃくちゃかわいくて庇護欲を唆られる。
あのゆう君がこんなにかわいくなっちゃっただなんて信じられない。
……今すぐ食べちゃいたい。
……いやいや、それはだめでしょ私。
それはともかく。
「それで、なんでゆう君がこんなにかわいい女の子になっているわけ?」
「それが……俺にもわからないんだ……昨日の夜は普通だったのに、朝起きたらいきなりこうなってて……」
……なるほど、「朝おん」、ね……
「え?」
「いや、こっちの話」
私は創作としてのTSFにおいては割と造詣が深いのだ。
「なぁ……」
そこまで話したところで、ゆう君は表情に影を落とす。不安げで、なにかに怯えているような。
……正直めっちゃ唆られる。写真に撮って永久保存しておきたい。
……待て待て私。さっきからちょっと暴走気味だよ?すてい。
「……俺、こんなんになっちゃったじゃん?……そしたら誰も俺だって信じてくれないんじゃ、って、思って」
「このままじゃ高校にも行けないしっ、咲希だって!信じてくれはしたけど、男じゃなくなってっ、こんな姿じゃ、俺のことが嫌いにっ
………………さき?」
気がつけば私はゆう君を抱き締めていた。
いつもの、がっしりしてて、私より大きな身体じゃなくて、華奢で小柄で、今にも潰れてしまいそうな小さな身体をめいっぱい抱き締めて、私は告げる。
「まったく、ゆう君はばかだなぁ……。たとえどんな姿になろうとも、ゆう君がゆう君である以上は私の想いは変わらないよ」
ゆっくりと、はっきりと、私は言葉を紡ぐ。
私の胸元に埋まるゆう君は、目に涙を浮かべて、男の子らしく堪えようとして、それが出来なくて涙が頬を伝わせていた。
きっと怖かったんだろう。突然身体が変化して、今までの自分と似ても似つかない姿になってしまったら。私は果たしてそのとき耐えられるのだろうか。
「大丈夫。私がいるからね」
「……うん」
私たちは、ゆう君が恥ずかしくなって離れるまでのしばらくの間、くっついたそのままの体勢で時を過ごすのだった。
◇
「それにしてもまぁゆう君、ずいぶんとかわいらしくなっちゃって」
そう言いながらゆう君の身体を舐め回すように観察する私。
「あ、あんまじろじろみんなよぉ……?恥ずかしいだろ?」
ゆう君はそう言って抗議するけど、やめない。
ふむふむ。今のゆう君を改めてみると、とてもかわいい。なんなら私よりかわいい。美少女と言ってもいいと思う。なんかむかつく。
小柄で華奢な体型に、背中まですらりと伸びた黒のきれいな髪。
「うおっ!?な、なにすんだっ!?」
胸は貧乳……っと。AかBくらいだろうか?
私はDだから勝ったな(?)。
貧乳……とはいえど、それでも今までのゆう君の厚い胸板からは考えられないほどに細い胴体。そして慎ましくも柔らかな2つの膨らみ。
それらがゆう君が本当に女の子になってしまったことを実感させる。
……ということは、下はどうなってるんだろう?……ちょいと失礼して。
「ひゃ、ひゃいっ!?」
私はゆう君のだぼだぼになっていたズボンとパンツを一気にずり下げる。
ほう……
「つるつる」
「つるつる!?」
女の子になったゆう君はパ○パンでした。
当然昨日までそこにあったであろう「ブツ」は消え失せて、すっきりとした股間がそこにはあった。
「さっ……さきっ……?」
少し下に潜り込んで確認してみると、そこにはひとすじの割れ目。
ほんとに女の子になっちゃったんだなぁ……。
……やってることを俯瞰して見たらかなりやばいやつだけど、今は緊急事態だからね。仕方ないね。それに私はゆう君の彼女なんだからね!
「うん。確認おわりっ。ゆう君は完全に女の子になってました」
「そ、そうなんだ……もうちょっとやり方があった気もするんだけど……」
まぁまぁ。細かいことは気にしない気にしない。
そうだ。
「ゆう君ちょっとまってて」
◇
「なんで俺がこんな格好を……」
「さっきの格好じゃどう考えたって悪目立ちするでしょ。それにゆう君今女の子なんだからさ。ゆう君かわいいよ〜」
「うぅ……ひらひらしてて落ち着かない……」
1回家に帰った私は、自分の服を持って再びゆう君の家に向かい、抵抗するゆう君に無理やり私の服を着せた。
少し前に買ったワンピース。私が着ると脚が出過ぎちゃうけど、今のゆう君にはぴったりだ。
……それでもちょっと袖がぶかぶかあたり、今のゆう君がちんまいんだけどね。
「で、でもさぁ、こ、これは要らないんじゃないかなぁ……?」
そう言ってスカートの裾をたくしあげるゆう君。指さしたのはその身に装着された黄色の布。それから胸元の膨らみに触れるゆう君。
ブラジャーと、ショーツ。
「だめだよーちゃんとつけてないと」
「で、でもぉ……ほら、そこにあるトランクスでもいいじゃんっ……」
「だーめ。女の子なんだからきちんと女の子用の下着つけないと。だいたいサイズあってなくてだぼだぼでしょうが」
「そ、そうだけどさぁ……男の威厳……というかさ……」
「そんなにかわいいのに男の威厳とか言われてもねぇウケる」
「ウケるなぁっ!……ていうかこれ、どうしたの?まさか、咲希の?」
「ち、違うからっ!サイズ間違えてワンサイズ下で買っちゃってて使ってなかったやつ!だから未使用!」
「そ、そうなんだ」
そうしてゆう君を着替えさせたところで、私はゆう君にこう告げる。
「とりあえず、病院行こっか」
◇
「突発性後天性性転換症ですね」
近くの大学病院に行き、様々な科をたらい回しにされ、数時間後。
目の前の医師から診断が下りた。
突発性後天性性転換症……?なにそれ。
「そ、そんなのあるんですか?」
「えぇ。もっとも、発症確率は100万人に1人と言われている、珍しい病気です。私も自分の担当の患者さんとしては初めて見ました」
「はぁ……」
「この病気に罹ると、石橋さんのように、ある日突然性別が変わってしまいます。それでも、身体の随所に元の性別だった痕跡が残っているため、本人だということについては間違いないでしょう。ただ……あまりにも症例が少なく、また非科学的なため何故そうなるのかは現代医学では解明できていません」
「なるほど……」
私の隣で静かに話を聞いていた、いや、怯えていたのだろうか、震えた声のゆう君がお医者さんに聞く。
「それは……戻るんですか?」
「私からは、なんとも。「戻った」という症例も1例だけですが報告されています。ただ、あまり期待はしない方がいいでしょう……。
「戻らない」ことを前提として、今後の生活について考えていくのがよろしいかと。」
「そう……ですか」
お医者さんの説明を聞いたゆう君は、何処か心ここに在らず、と言った感じで、そのあとの手続きをするときも、家に帰るときも、ずっと何かを考えている様子だった。
◇
ゆう君の家に着き、部屋まで送ったふと窓の外を眺める。
日はだいぶ傾き、空は茜色に染まり、もう夜が近いことを示していた。
「じゃあ、私、そろそろ帰るね?また明日来るからさ」
そう言ってドアを開け、帰ろうとする私。
そこを、ゆう君に掴まれる。
「いか……ないで……一緒にいて……」
半泣きでかわいい顔をぐしゃぐしゃにしながら私に縋るゆう君。
どこか壊れかかったような、これを放置して帰ったらなにか取り返しのつかないことが起きるんじゃないか、そんなことを思わせる表情で、ゆう君は私の袖を掴んで離さない。
もう……そんな顔されたら帰ろうにも帰れないじゃん。
「わかった。今日はずっとここにいるよ」
スマートフォンのメッセージアプリを開き、親に「ゆう君のところにいる」とだけ残して閉じる。明日も休みだし、今までも度々泊まることはあったから不審には思われないだろう。
ベッドに並んで腰掛け、手を繋ぎ、「私はどこにも行かないよ」というアピールをすると、ゆう君も手をぎゅっと握り返してきた。
夕暮れの西日が差し込み、どこかを飛んでいるカラスの鳴き声が聞こえる。
しんとした部屋の中で、私とゆう君の鼓動だけが響く。
思い詰めたような顔をしたまま、ゆう君はなかなか話してくれない。
それでも、私は待ち続ける。
数十分、いや、1時間ほど経ってからだろうか。体感はそんな感じだった。外はもう暗い。
ゆう君がぽつぽつと口を開く。
「俺、こんなになっちゃったじゃん……?」
「朝起きたら、世界が変わってた。……そんな気がしてさ」
「今まで過ごしてきたものが崩れ去って、ぜんぶなかったことになるんじゃないかって」
「また明日の朝にはまた世界は変わってて、あったはずのものがなくなって、なかったはずのものがあって、もしそうなってたらと思うと、怖くて……」
そう言ってゆう君はえぐえぐ泣き出してしまう。よく見れば身体もがたがたと震えていた。
この姿になってからのゆう君はよく泣いている。
女の子になったから、というのもあるのかもしれないけど、それだけ今日1日たくさんつらい、こわい思いをしてきたからなんだろう。
私はゆう君の華奢になってしまった身体をそっと抱き寄せて
「さき……?」
ゆう君の耳元で囁く。
「私はどこにも行かない。そりゃ明日がどうなるかは私にはわからないけど、たとえ世界がどうなっても、私はゆう君のそばに居たいな」
ゆう君の震えが止まる。涙で濡れたその目を見開いて、私のことをまっすぐに見つめてくる。
「ゆう君がどうなろうと、私はゆう君のことが好きだよ。」
最後の方は、私もゆう君の目をまっすぐ見て伝えた。その想いはちゃんと伝わった様で
「さき…………ありがと。好き」
そう言うとゆう君はまた私に抱きついてくる。私たちはそれからしばらくの間、お互いを抱き合って離さなかった。
◇
そうして、しばらく経った頃。
「そういえばさ」
ゆう君が切り出す。
「どうしたの?」
「俺って女の子になっちゃった訳じゃん……?」
「うん」
「咲希は今の俺でも愛せるのかなぁって、思っちゃって」
そんなの愚問だ。私がゆう君を嫌いになったことなんてないしなるわけがないのに。
ていうかそれ、さっきも伝えたし。
それより私は――――
「そっちこそどうなの?女の子になって、私のこと恋愛対象として見れる?」
ゆう君が女の子になってしまった以上、恋愛対象までもが変化してしまっていてもおかしくは無い、そう思っていたけど。
「うん。俺は今でも咲希のことが大好きだし、それは恋愛的な意味でも変わらないから」
さも当然と言わんばかりに、そう返ってきた。ふふふ……嬉しいなぁ。
「私もだよ。相手がゆう君なら、身体が男の子だろうが女の子だろうが関係ないよ。」
「ほんと……?」
信じないやつ。私がそうだと言ったらそうに決まってるのに。
「ほんとだよ。もしかしたら私バイなのかもね?」
「ほんとのほんと……?俺のこと嫌いにならない?」
なんかちょっとムカついてきた。
ゆう君は私に何度も何度も確認してくる。そんなに不安なら、カラダに覚えさせちゃえばいいよね。
「じゃあ、なんなら今、試してみる?」
そう言って私はゆう君を下にしてベットに押し倒す。
そして困惑しているゆう君の唇を奪うと、濃密な口付けをした。
ゆう君の目が見開き、そして快楽の渦によって蕩ける。
そういえばゆう君、男の子だったときから、キス大好きだったもんね。
沢山してあげるよ。辛いこと、ぜんぶぜんぶ忘れるぐらい。幸せに溶かしてあげる。
「あの、さき、さん……?」
「ゆう君が私の愛を舐めてそうだったから、ちょっと理解らせてあげようと思って」
「え、あっ、あの」
「ちなみに拒否権はないよー。
ゆう君は私が美味しく頂くからねー」
そう言って舌なめずりをする私。
「え、俺が下なの……!?」
「だから言ってんじゃん。理解らせてあげるって。
それに今のゆう君どうみてもネコだし」
「で、でも……俺は男で……」
「今のゆう君はかわいい女の子だよ。安心して、痛くしないからさ、
女の子の快感、覚えさせてあげるね」
◇
そうして、ゆう君はゆうちゃんとなった。
最初のうちは「俺は……男で……」なんて無駄な抵抗していたけど、何回かイかせてあげて、女の子の快感を覚え込ませ、抵抗をしなくなったゆうちゃんのの甘えっぷりはすごかった。
こういうのを「堕ちた」っていうのかな。
にゃんにゃんにゃんにゃん。
とろりとした甘い声で私の名前を呼んで、大好きっ♡と言ってくるゆうちゃんに、私は我慢が効かず結局朝までシてしまった。
これほどまでに女の子同士でのそういうことができるとは私自身も思ってなかったけども。
これもそれも、ゆうちゃんがかわいすぎるのが悪いんだからね。
そのゆうちゃんは今は疲れ果てて私の隣で寝ている。そのあどけない姿もかわいくて、ついつい襲ってしまいそうになる。
これからいろいろしなきゃいけないことはあるけど、とりあえず今はこの余韻を味わっておこうかな。
カタチは変わってしまったけど、私とゆう君の想いが変わらない以上、私達はこれからもお互いを愛するのだろう。
いつの間にか空はしらみ始め、また鳥の鳴き声が聞こえてくる。
「ちゃんと朝は来たよ」
そう言ってゆうちゃんの頬を撫でると、くすぐったそうに身体を少しよじらせ、口元を緩ませた。
そのうち続編的なものを書くかもしれない。