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クリスマスデート 初芽の場合 ②



「お待たせ致しました。特製の動物パンケーキでございます」



先に届けられた紅茶とコーヒーの3分後にパンケーキは出された



「……デカいですね」


「想像の2倍ぐらいデカいな」



1人でペロッと平らげられる量だと思っていたが、成人女性が満腹状態でギリギリ全てを胃袋に収められるかどうかレベルのパンケーキが出てきた



特に熊の形をしたパンケーキがデカい。代わりにウサギの形をしたパンケーキは一口サイズだった



「あ、これ2〜3人前って書いてますね」


「ならこの量なのも納得だな」



メニュー表の下側に小さく書かれているタイプのせいで量を見誤った2人



「食べ切れるか?」


「うーん……ギリギリ入るかなぁぐらいですね」



♢ ♢ ♢



「全然余裕で入りました」



湊に少し分けたとはいえ、ケロッとしている初芽。甘いものは別腹という言葉は本当かもしれない



「まだ時間あるけどどうする?」



時刻は11時を回る頃。由布子さんの約束場所までここから20分程。あと30分は余裕がある



「そうですねー……動物は全部見たし……寒いので少しお話したのちにお土産見ましょうか」


「やっぱり寒かったんだ」


「……はい。上が暖かいのに下は寒くて、なんか感覚が狂いそうでしたね」



オシャレのためとはいえ、真冬の生脚は自殺行為だった



「お話しね。その前にトイレ行ってくるから待ってて」


「分かりました」



湊はそのまま席を立って、トイレへと向かった



「……はぁ」


「元気ないじゃん」


「あんまり話しかけないでよ。周りからは独り言が大きい変な子に見えるんだから」


「小声でいいから」


「……で?なんか用?」


「いや?元気ないなーって」


「そりゃあ無くなるよ。特に何も進展ないんだから」



初芽は大きなため息をついた



「楽しそうにしてると思うけど?」


「……今日はクリスマスだよ?ちょっとでも進展したいじゃん?私まだ手も繋いだことがないんだよ?」


「……確かに」



今日一日振り返ってみると、手を繋いでいなかった



「じゃあ初芽から手に抱きついたら?」


「そ、そんな恥ずかしいこと人前で出来ないよ!」



……今日の動物園はカップルか子供のいる家族達以外に訪れている人はいない。そんな中で手を繋いだり抱きついたりするぐらい別に人目を引くような行為じゃない



「そんなこと言ってたら何も出来ないよ?そんなため息つくくらいならせめて手でも繋げるように努力しろ!」


「で、でも急に手を繋ぐなんて……」



ウブな反応を見せる初芽。それもそのはず。初芽の初恋は湊で、彼氏いない歴=年齢の女の子だからだ



容姿は私に似てるので、もちろん超モテモテだ。学校でもマドンナ扱いを受けていたと聞いている。作ろうと思えばいつでも作れたはずだ



それでも作ってこなかったのは、単純に初芽が男性を苦手としているから。初芽のこんな姿を見られるのは湊の前でだけだろう



「そんなことも出来ないようじゃ、結婚なんて無理無理。まだ由布子さんの方が積極的だわ」


「……」



私は咄嗟に距離を取った。これだけ煽ったのだから、怒りの電撃攻撃が来る!



「……そうよ。今日ぐらい気合い入れないとよね‼︎」



私の予想とは裏腹に、気合が入った模様。頬を2回ペチペチと叩いた



「痛い……」


「暖かい部屋に入ったとはいえ、さっきまで寒いところで頬冷えてるんだから、そりゃあ痛いよ」



私は初芽の頬を撫でてあげた



「私の妹なら、手を繋ぐぐらいビシッとやってのけなさい」



そして頬からスッと手を離した



「バカ姉の妹とか関係ないじゃん」


「私の積極性を見習いなさいという意味よ」


「積極性ねぇ……」



こんな発言をしているが、私も湊以外と付き合ったどころか手も繋いだことはないんだけど……



「……じゃあさ。たまには姉らしく、妹の背中を押してよ」



私にこんな懇願をする妹はいつぶりだろうか?



「思い出すなぁ。こんな風に甘えてた時代を」


「うるさいなぁ。とっとと死んじゃえ」


「とっくに死んでるんだよ!」



昔はこんなツンではなかったけど



「あと1時間……頑張るぞ」



初芽は改めて気合を入れ直すために頬をパシパシと叩いた



「……痛い」


「もしかして知能下がった?」



恋のせいでバカになったのかな?

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