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お祓い



お坊さんに連れられる湊の後をついていく初芽と由布子さん



「は、初芽さん」



由布子さんは小声で話しかけた



「なに?」


「計り知れない力を持った霊って……由布子さんのことなんじゃ……」


「まあそれしかないでしょ。生者の身体を乗っ取れて、物に触れられて、声を届けられる。計り知れない力ってのはそのことだと思うよ」


「ど、どどどどうするんですか⁉︎このままじゃあ成仏させられちゃいますよ⁉︎」


「大丈夫だと思うよ。バカ姉は湊さんに取り憑いてるわけじゃないから。離れてれば影響受けないはずだから」


「そ、そうですか……良かった……」


「……まあバカだから湊さんの後ろについていってるんだけどね」


「ええええ⁉︎」



霊感の強い人が私の存在を感知する人はいた。多分姿までは見えてないと思うけど。ただお祓いが出来る人に直接会うのは初めて。私自身祓われるのはたまったものではないが、純粋に好奇心が勝ってしまった



本当に危ないと感じたら、一瞬で離脱しよう



「そこに座りなさい」



敷かれた一枚の座布団の上に正座する湊



「今からお祓いを始めるぞ。お主は儂が開けていいと言うまで目を瞑るのじゃ。決して開けてはならんぞ?」


「わ、分かりました」


「よし。では瞑るがよい」



湊は目を瞑った。初芽と由布子さんは少し心配そうに側から様子を見ていた



「……では始めようかの」



よくお祓いで見る白い紙が靡く棒を持つお坊さん。(ぬき)と呼ばれる物らしい。ただし……



「なにあれ……」


「あ、あんな大きいの初めて見ました……」



お坊さんの持つ弊は、人2人分ぐらいの長さをした物だった。足をプルプルと震えさせ、顔から火が出そうなほど赤くなっている。そんな状態で頑張って湊のお祓いの為、棒を左右に振った



だが、紙の部分が湊に直撃している。紙とはいえ、あの量を顔で喰らえば普通に痛そうだが……湊は律儀に目を閉じて正座の姿勢を崩さない



「¥$%°#×〒〒〆々::|^○*☆€」



何語かも聞き取れない言葉を言いながら弊を振り回して暴れていた。電球は割れ、襖は破れ、繊維と紙が上手く引っかかったのか、畳はひっくり返っていた



「だ、大丈夫なんでしょうか……」


「私はバカ姉よりあのお坊さんの方が心配だよ。特に、部屋の惨状を見た時が」



「きえええええええええええええええいいい‼︎」



最後に雄叫びを上げ、弊を引いた



「はぁ……はぁ……こ、これでお主から霊の気配が消えたぞ。安心せい」


「あ、ありがとうございます……」



まあそりゃあ消えるだろう。今は離れているのだから



正直、全くと言っていい。何も変化はなかった。ラ○ホテルや塩の前にいる方がダメージが圧倒的に大きい。だがあんなに必死に重いものを振り回す姿を見ていると、努力を無碍にするのは良くないと思った



……そもそもの話。祓う効果がないとはいえ、初芽の付けているブレスレットの効果に耐えられるのだから、その界隈に精通してる程度じゃ私は祓われないのかもしれない。



「また違和感を感じたら来るといい。儂が祓ってやるからのぉ」


「ははは……その時はお願いします」



湊は立ち上がり、そのまま2人を連れて外へと出た



私はお坊さんがこの部屋の惨状にどんな反応をするのか気になった為、少しこの場に残ることにした。ただし、距離はちゃんととった状態で



「……若いの。20前半といったところかの?」



私は咄嗟に身構えた。身構えたところで何も対抗手段はないというのに



「警戒せんでええ。悪霊の類でないことは分かった。無理に祓ったりはせんよ」


「……私が見えるの?」


「対話も出来るとは……‼︎これは珍しい霊じゃの」


「……見えてるの?」


「残念ながらハッキリとは見えておらんよ。オーラで生前の年齢、性別はある程度なら分かるからの」



……ふざけたお坊さんかと思ったが、私はみくびっていたようだ



「なんで話しかけてきたの?」


「ん?ああ……単なる興味じゃ。力を持った霊がおった。悪用しそうならば消そうと本気で思っておったが、杞憂だったようじゃな」



悪用は……まあ命に関わることに関して影響を与えてないからしてないことになるのかな?それ以外ならそれなりに悪用してるけど……



「それよりお主。霊になってから何年じゃ?」


「……7年よ」


「霊になった理由は?」


「……あの男が再婚するのを見届ける為」


「ほう。じゃあ生前はあのお方の妻の方でしたか」


「ええ。死ぬ前にちゃんと再婚するように約束したのだけど、中々守ってくれないからこんなにも長く霊をしてるけどね」


「ほうほう。それはそれは」



この後もただ質問されたことに答えるだけの会話が続いた



「あの。そろそろいいかな?私あの人達についていかないといけないからさ」


「次の行き先はお分かりで?」


「まあ一応」


「ならもう少しお話を続けましょうか」


「いや意味分からないんだけど⁉︎」


「まあまあ。ここからはあなたに()()()()()お話をしましょう」


「幽霊の私に利益?」



今の私の利益となるものは、せいぜい桑名とかいう男の居場所を突き止めることぐらいしか思いつかない



「利益というよりは……忠告じゃ」


「忠告?私に?」


「お主とあのお方にじゃ」



「あのお方に……死相が出とる」

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