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再び



父と釣りに出かけた次の日。湊は仕事に復帰していた



元気になった訳ではない。実際いつもよりは暗い。それでも好きでなった仕事をしていれば、多少気も和らぐだろう



相変わらずボイスレコーダーも聞けなくなったまま。このまま都合良く忘れてくれないかなぁ?



「無理でしょ」


「また樹里は特殊能力を発揮するー!」



樹里はたまに私の考えていることを覗いてくる



「たまたまですよ」


「私が知らない間にナトちゃんから能力貰ったでしょ?」


「貰ってません。しかもそれは出来ないって聞きましたし」


「聞いたんだ……」



一体なぜ()()()()()を欲しがったんだろう?



「あ、そういえば昨日初芽さんから聞いたんですが、今日4人がカラオケに集まるそうですよ?」


「4人って……あの4人?」


「はい。あの4人です」


「湊に関しての相談会的なやつ?」


「的なやつです」


「何時から?」


「15分前からです」


「は⁉︎」



なんてことだ……こんな大事な事に私抜きで始められては困る



「どこの店⁉︎」


「駅前の商店街入り口のところです」


「駅前のね!分かった!」



私は急いで4人のいるカラオケ店へ向けて幽体を飛ばした



「……さて、私も行きますか」



♢ ♢ ♢



カラオケ店に着いた。何番に入ったか分からないため、一部屋ずつ壁をすり抜けて確認していく。そして4人の入った部屋を見つけた



相変わらず歌を歌っておらず、カラオケ本来の役目は果たしていない。4人共ジュースと食べ物を食べながら、何やら神妙な面持ちで作戦会議をしていた



「もういっそのことさ?4人で湊を押し倒すってのはどう?」



入って早々、千夏さんがヤバいことを言い出した



「さすがにそれはどうなのよ……」


「なんでよ?元気になるじゃん?」


「そりゃ違う意味で元気になるでしょうけど」


「こ、こら初芽‼︎下ネタ言わないの‼︎」


「あれあれー?なーんも下ネタ言ったつもりないんだけどなー?蘭は何を想像したのかなー?」


「な、なんでもないわよ‼︎」



ふむふむ……蘭さんはムッツリと。いい情報が手に入った



その会話をニヤニヤしながら聞く千夏さんと、顔を赤くしながら聞く由布子さん。全員意味はちゃんと理解しているようだ



「……とりあえずその案は却下。他に案のある人?」


「はい」


「お。じゃあ蘭さん」


「任せてほしいわ。妙案を思いついたの」



自信満々な様子の蘭さん。一体どんな案を出してくれるのか



「カニの食べ放題に行きましょう!」



自信満々に公表した蘭さんとは裏腹に全員黙り込んでいた



「あ、あら?なんでこんなに静かになるの?」



自身の発言の不備が分からず、戸惑う様子の蘭さん



「蘭さ。もしかしなくても近くのビルの屋上にある店の話してるよね?」


「そうですわね。そこ以外にこの辺りでカニの食べ放題をやっている店はありませんから」


「そこ。いくらするか知ってる?」


「知りませんわ。親がいつも払ってくれていたので」


「あそこね……120分で6万するの」


「ろ、6万⁉︎」



最近、初芽と暮らすようになって、庶民の感覚が板についてきた蘭さん。住み始めてすぐの頃は、カップラーメンの安さに驚き、うまい棒の10円というリーズナブルさ。そして値段に見合わない美味しさに絶句していたという



モデルで得たお給料も今のところはサラリーマンの平均月収よりちょい高いぐらいらしい。そのおかげで金銭感覚も相当庶民に寄ってきている



「そんなにするんですのね……」



芸能人だったり、政治家だったり、資産家御用達のお店だ。庶民が入るにはお金も高いし敷居も高い



「さすがに一食に6万飛ばせないよ……」



私用に買った対幽霊用ブレスレットで300万近く飛ばしてるくせに……



「私も無理ー。そもそもそんなにカニ好きじゃないしー。好きじゃない物に6万円払うのはなー」


「わ、私も……そんな余裕は……」


「そ、そうね……この案は無かったことにしましょうか」



全員からこの案は否決された。だがまあ案としては悪くはないと思う。美味しいものを食べることは幸せなことだし、湊は食べることが好きな人間だから



「あと案を挙げてないのは由布子さんだけね」



私が聞いた案は2つだけだったが、私が来るまでの15分の間に、初芽は案を挙げていたっぽい



「わ、私ですか?」


「そうよ。もしかして何もないわけ?」


「ないことは……ないです。たださっき挙げた食べ放題並みの金額はかかっちゃいますし……」


「言ってみなさい」


「えっと……お、温泉旅行とかどうですか?」



……誰かはその提案するとは思ってたけど、まさかほぼ家から出ない引きこもりのインドア女子の由布子さんから出るとは思わなかった



「旅行か……確かに傷心旅行とかあるもんね」


「旅行なら6万ぐらい必要経費だよね。この6万の使い方ならまあ納得は出来るかなー」


「そうね。あとは日程とか場所選びも重要になるわね」



……ということで



「由布子さんの案。可決‼︎」



由布子さんに向けて、3人から拍手が送られた



「あ、ありがとうございます……」


「ということで場所選び、日程決め、湊さんを誘う。全部由布子さんに任せるわ」


「ええっ⁉︎」



……まあ発案者に全て任されることはよくあることだ



「そうね。日程とか早めに言ってくれれば調整するから」


「私も有給使うから。あ……でも1泊か2泊にしてね?あんまり有給残ってないから」


「何でそんなに使ったのよ」


「初芽の理不尽な罰のせいだろ‼︎」



前回カラオケに来た際に、千夏さんは有給を5日も消費させられていた。しかも特に予定があった訳でも無かったというのに



「……分かりました。た、ただし文句はい、言わないでくださいね?」


「大丈夫大丈夫。文句言った奴、全員ヤスリで肌削るから」


「過激すぎでしょ……」


「文句言わなければいいだけなんだからいいじゃん」



湊を癒すために4人が集まって出した案は、旅行に決まった



ただし……



「癒やしとかなら……田舎の趣のある旅館とかの方がいいのかな……それともいっそ海外に……」



由布子さん1人で行き先を決めさせるのは不安だ……



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