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新たな来客



「お待たせしましたー!」



千夏さんが我先にと1人で湊のいるリビングに姿を現した

しかも頭に注射器の刺さったナース姿で



「似合いますか?」


「その注射器重くないの?」


「へっ?あー、重くないですよ。全く」


「そうなんだ」


「で、で?似合いますか?」


「注射器リアルだなぁ。自作?」


「これはそういうコスプレグッズを販売してるところで買って……って湊さん⁉︎はぐらかすのやめてくださいよ!」


「……まー似合ってると思うぞ」


「あ……ありがとうございます……」



トマト並みに赤くなった千夏さん。こういうちょっとしたギャップ萌えがたまらん……



「ったく……()()。抜け駆けは無しって言ったのに」



カラオケの時は、さん付けで呼んでいたはずだが、この短い期間の間にまた距離が縮まったのか、呼び捨てになっていた



「ごめんごめん!」


「……それで湊さん。私達のコスプレ衣装に何かコメントはありますか?」



初芽はウィッチ。三角錐の形をした帽子と竹箒を持った魔女のコスプレだ



初芽の後ろにいる蘭さんは、メイドのコスプレをしていた



初芽は私に似ているのだから、可愛いのは当然として。

スタイルの良い蘭さんの着るメイドコスは可愛さもあるが、それ以上にカッコいいという印象を受けた



どちらにしても眼福。私がオスの獣なら、3人共抱いている



「2人共似合ってると思う」


「可愛いですか?」


「うん。可愛い」



2人共千夏さん同様に顔を赤くした



「ちょっと湊さん⁉︎私と2人で扱い違いませんか⁉︎」


「何言ってるの千夏。違うに決まってるでしょ。湊さんは若い女の子が好きなんだから」


「4歳だけじゃん!」


「4歳の差は大きいです。千夏さんは諦めてください」


「今日全然口を開かないと思ったら、こんなこと時に限って急に喋るのね⁉︎」



千夏さんは蘭から手厳しい一言を受ける



「てか、湊さんって若い女の子が好きなんですか⁉︎初耳ですけど⁉︎」


「騙されてるぞ。初芽に」


「なっ‼︎また騙したのね初芽!」


「いやいや、湊さんが騙してるんです」


「そうなの湊さん⁉︎」


「……永遠ループするぞこれ」


「そうですね。千夏さん。ウソですよ」


「やっぱり初芽が騙してたのね‼︎」



千夏さんは初芽に翻弄されっぱなしだ



ピンポーン



騒ぐ千夏さんを抑止するためだと思わせるようなタイミングで、家のチャイムが鳴った



「もしかして……由布子さんですか?」


「多分……一応先に確認しとこう」



私は桑名の可能性も考慮して、先に玄関をすり抜けた



「本当にこの格好で来た……」



残念ながら私の提案したバニーコスではない。バニーコスで湊にインパクトを与えるのが良いと思っていたけど、違う意味でインパクトがある



残念な子……だけどそれが私にとってはかなりの加点だ



と、ここで玄関の扉が開いた



「はい……誰?」



湊でさえ、困惑した表情を浮かべた。あまり湊のこういう表情はみられない



「あ、わ、私です。東雲です」


「ゆ、由布子さん?」



声がないと判断が出来ない。なぜなら由布子さんは……()()()()()()()()をしているのだから



コスプレではなく、着ぐるみの由布子さん。私の求めた身体の露出は皆無。全身着ぐるみで覆われているので、肌が1%も出ていない



「と、とりあえず入ってください」


「お、お邪魔します……」



ガタンッ ガタンッ ガタンッ



由布子さんは顔を扉に何度も当てながら、なんとか入ることが出来た



そして前に歩を進める由布子さんだったが、視界不良で気が付かなかったのか、段差で足を引っ掛けてしまった



「危ない!」



湊は咄嗟に着ぐるみの由布子さんを支える形を取った



「あ、ありがとうございます」



由布子さん。多分顔真っ赤だろうなぁ……今めっちゃ良い雰囲気なのに……着ぐるみのせいでその雰囲気も台無しだ



「もしかして視界悪いですか?」


「そ、そうですね。目の位置が若干高くて、下はほぼ何にも……」


「じゃあ手を貸しますね」


「あ、はい……ありがとうございます」



着ぐるみの由布子さんの手を取って、ゆっくりとリビングへ案内する湊。やはり私の元夫は気が効く良い男だ



「遅かったですね。湊さーー」



由布子さんの着ぐるみを見た3人は同時に固まった



「ち、千夏!豆投げて!」


「わ、分かった!」


「落ち着いて2人共!今日は節分じゃないんだから!」



あまりに想定外な物が来たせいで、3人共困惑した様子だった



♢ ♢ ♢



「それでそんな格好をしてたのね」


「……はい」


「いやー!由布子さんって案外バカなんだね!」


「はぅ……うぅ……」



千夏さんの無垢な言葉が、由布子さんの心を貫いた



「あー!千夏が由布子さんを泣かせた!」


「千夏さん……いくら由布子さんが可愛くて妬ましいからって、そこまで酷いことを言う人だとは思わなかったわ」


「ええっ⁉︎ご、ごめん‼︎まさか泣くとは思ってなくて……」



千夏さんは被り物だけ外した由布子さんの背中を摩りながら慰めた



「まあどうせ……あの()()が変な入れ知恵したんでしょうけど」



やっぱりバレてた……でも着ぐるみのアドバイスはしてないからね⁉︎



「あのバカって誰のこと?」


「……私と由布子さんの共通の知り合い。言っても誰か分からないわよ」


「へぇ。でもその人相当バカだね」



千夏さんの言葉は私の心をも貫いた。違うの……私だって着ぐるみ着てこいなんて言ってないんです……



「まあ千夏と同等くらいよ」


「うおい‼︎」


「さて由布子さん。さすがにその衣装は動き辛いし、私達が薄着で寒いせいで暖房をつけてる。そんな中で着ぐるみは暑いと思うから、私が予備で持ってきた衣装を貸してあげる」


「い、いいんですか?」


「ええ。大丈夫よ」


「初芽。アンタ予備なんて持ってきてたの?」


「結構持ってきたよ?1着だと飽きられちゃう可能性もあるから、何度も色んな衣装に着替えようってね」


「狡賢さだけは一丁前ね……」


「そりゃどうも。というわけで、2階の一室に紙袋置いてあるから、その中の衣装ならどれでもいいから着てきなよ」


「……分かりました」



由布子さんは被り物の頭を手に抱えて、2階へと上がった

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