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ハロウィン当日



ハロウィン当日



仕事を終えた湊は、晩御飯の支度をしていた。私の予想通り、誰も家に誘うことはなかったし、今日がハロウィンだってことを知らないレベルで、要素が全くない料理を作っていた



「結局また誰も来ないのかー」



あの日以降、由布子さんの様子は見ていない。いつでも見ることは出来るんだけど、由布子さんにもプライベートがある



……何回も見ておいて何言ってんだ……とは思うけどね



「まあハロウィンですし、付き合ってない男女が一緒に過ごす日なのかって言われると、うーん……って感じがしなくもないですけど」


「それはそうだけどさぁ……」



私の残された時間的に、1つでも多くイベント事は大事にしておきたい。女の子達のいつもと違う姿を見せたら、湊もドキッとしてくれると思ってたんだけど……



ピンポーン



湊の家のチャイムが鳴った



「キタコレ‼︎絶対由布子さんでしょ⁉︎」


「まさか本当に……?」



私は湊の後ろで、インターホンのカメラを見た



「はい」


「あ、お届けものでーす」


「はーい。……なんか買ったっけな」



……私の希望はあっけなく壊されてしまった



湊は荷物の受け取りをするために玄関へと向かった



「ま、まだ分かりませんよ?もしかしたら千夏さん辺りが宅配業者のフリをして家に押しかけてきた可能性も……」


「わざわざフリをする理由ないもーん……」



湊のストーカーで、接近禁止令が出されているならまだしも、その他以外でわざわざ変装する意味はない



「……違う。マズい‼︎」



私はふと2週間ほど前のことを思い出した



♢ ♢ ♢



「いいか⁉︎私の大事な男の邪魔。そして私の大切な妹を傷つけたアンタを私は許すつもりはない!これ以上、湊とその他周りの人間に迷惑かけるようなら私はアンタを殺してやる‼︎もう絶対に近づくな‼︎」



♢ ♢ ♢



「ちょっと李華さん⁉︎」



私は急いで湊の方へと向かった



私をも欺くために変装をした……これなら変装する理由にもなる。おそらくだけど、湊が出た瞬間に湊を刃物でお腹を突こうとしてる。絶対にそんなことさせない‼︎



湊は玄関の扉を開けてしまった……まだ湊まで少し距離がある。このままじゃ間に合わない……!



扉を開けた先に、3人の人影が見えた



3人……⁉︎自分が止められても、他の2人で湊をっ⁉︎



3人を同時に止める術は持っていない。桑名の方が一枚上手だった



「み、湊ぉぉぉ‼︎」


「ハッピーハロウィーーン‼︎」



私は浮遊しているにも関わらず、地面に顔を擦りながらずっこけた。もちろんダメージはないけど



「湊さん!ハッピーハロウィンですよ!」



私が桑名とその連れだと思っていた3人は、実際は千夏さんと蘭さん。そして初芽の3人だった



初芽は私が顔を擦りながら外に出てきた姿を見て、何やってんだコイツ……みたいな蔑む様子で見ていた



「ああ……今日ハロウィンか」



私の考察通り、湊はハロウィンだということを忘れていた



「というか、何でわざわざ宅配業者のフリなんてしたんだ?」


「お茶目ですよ!お茶目!実際驚いたでしょ?」


「まあ多少はな……それより3人で来たのか?」


「私は1人で来たんですけど、ちょうどばったり初芽と蘭に会ったんだー」


「ちっ……邪魔者が増えた……」



この言動から察するに、初芽は元々1人で押しかける気満々だったのだろう。だが、同居する蘭さんに見つかり、挙句千夏さんともばったり会ってしまったということだろう



「というわけでお邪魔しまーす!」



湊がまだ許可を出していないにも関わらず、3人は家へと入った



「あ、湊さん。バカ姉の部屋を貸してくれませんか?」


「別にいいけど……何するんだ?」


「着替えるんですよ。コスプレ衣装に」



神は私を見捨ててはいなかった。本命の由布子さんではないけど、候補者の2人+α がコスプレ衣装に着替えてくれる!



「あ、でも千夏さんはもう既にコスプレしてるから、私と蘭だけね」


「これは変装であってコスプレじゃない‼︎」



千夏さんは自分の持ってきた紙袋を指差しながら言った



「……みたいですから、3人で着替えてきます」


「分かった」


「あ、覗いても良いですよ?」


「横で蘭さんが首を横に振ってるぞ」



緊張しているのか、悪態をつかないようにするためにしているのかは分からないが、今日一度も声を出していない蘭さんが、二重に見えるんじゃないかという勢いで顔を振っていた



「あらら残念……とりあえず着替えてきますね」



3人は2階の私の部屋へと上がった



「良かったですね。由布子さんは来てませんけど、3人が来てくれたなら大勝利では?」


「確かにそうなんだけど……でも……どうしても諦められない!」



私は隣に住む由布子さんの様子を見るべく、一枚の壁をすり抜けた



「ええっ⁉︎あ……ええ……あ……う?」



私は日本語に形容されていない言葉を発しながら、湊の部屋へと戻った



「あれ?随分早かったですね?」


「……うん」


「なんですか……その見てはいけない物を見てしまったみたいな表情して」


「うーん……まあある意味正解……かな?」



由布子さんの天然っぷりには驚かされるわぁ……

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