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とある日の学校のお昼休みの屋上にて



()()くん……ずっと前から好きでした……付き合って下さい‼︎」



とある日の学校のお昼休みの屋上にて、俺は告白を受けた



告白を受けたのは、2年生になってから16度目。まだ4月下旬で、1ヶ月も経ってない



「……いいよ」



そして、その告白にOKを出すのも、これで16回目だ



「ほ、本当に⁉︎」


「……でも1日だけ。1日限定で付き合ってあげる」



この条件を出すのも、これで16回目だ



「な、なんで1日限定なの?」


「俺が君のことを全く知らないから。この1日で君のことが好きになったら……1日限定は撤回するから」



……これも毎回言ってる。俺からの無茶振りだ



「わ、分かった!好きになってもらえるように頑張るから!」


「……うん。あ、あともう2つ」


「な、なに?」


「このことは他言無用で。1日限定だったとしても、俺と付き合ってたって周りには言わないでほしい」


「え……ダメ……なの?」


「約束出来ないならこの話はなかったことにしてもらう」


「わ、分かった!絶対口外しない!別れることになっても絶対しないから!」



この約束は絶対にしてもらっている。俺自身も面倒な目に遭うし、この子は……嫌な目に遭う。俺はそれを知っている



「……もう一つは、今日家に泊めてほしい」


「いいいい家⁉︎と、ととと泊める⁉︎」


「……ダメか?」


「い、良い……けど……か、片付けとかさ、先にさせてくれる?」


「それぐらいは全然大丈夫だけど」


「良かった……じゃあいいよ」


「……ありがとう」



俺が告白を受ける理由はこれ。その日の寝床を確保するためだ

……あんなクソみたいな家には帰りたくない



バイトはしてるけど、1人暮らし出来るほど余裕なんてない。そもそも未成年1人では、家も借りられないし、ネカフェにだって泊まれない



仲の良い友達は1人だけいるけど、もう何回も泊めてもらってる。あんまり何度も迷惑をかけるわけにはいかない



だから……都合よく告白してくれた女の子の家に泊まらせてもらってる



何日も泊まるってなったら、何か事情があるって勘付かれる。

俺は俺の事情に、他人が干渉して欲しくない。

他人を利用するだけ利用して……用がなくなったら捨てる

……最低な男だよ。俺は



「じゃあまた放課後に。校門前で待ってるから」


「う、うん!ま、また後でね!」



手を振りながら、女はそのまま階段を降りていった



「……あ、名前聞き忘れた」



♢ ♢ ♢



「あっ!間宮くん!」



大きく手を振ってコチラに走ってくる女性。あれは今日告白してきた女の子に間違いなかった



「待たせてごめんね?」


「ううん。大丈夫だよ()()



一応彼女になる人だから、名前を覚えておいた。……この子は一個下の後輩だったから、名前を調べ上げるの大変だったけど



「い、いきなり名前で……は、恥ずかしいです……」


「そう?やめた方がいい?」


「や、やめないでください!……えっと。じゃあ私も!湊くんって呼んでいいですか⁉︎」


「……うん。いいよ」


「やった!それじゃあ行きましょう湊くん!」


「……うん」



元気な女の子と共に、俺は今日の寝床へと歩いた



♢ ♢ ♢



「待たせてごめん!どうぞ!」


「……おじゃまします」



家の前で約5分程待たされたのち、家へと上げてもらった

住まいは一軒家で、片付けに行ったということは、おそらく自分の部屋がちゃんとあるのだろう



まず始めに、リビングへと案内された



「あんまり広くないけど、ソファーでくつろいでていいよ」


「十分広いよ。大丈夫」



富豪……とまではいかなくとも裕福な家庭だと思う。テレビも大きいし、部屋も大きい。キッチンもちゃんとしているし、2階だってある



「湊くん。食べたい物とかある?一応、冷蔵庫の中に結構食材入ってるから一通りは作れると思うけど」


「……の前にさ、親に挨拶しとかないと」



泊めてもらえるのだから、親御さんに挨拶はしておかないといけない



「あー……今日は帰ってこないので大丈夫ですよ」


「そうなの?夜勤とか?」


「いえその……私が「彼氏を家に泊めていい?」ってメールしたら、「じゃあ私達はお邪魔にならないように、今日は2人でラブホテルでハッスルしてくるわね」って……わざわざ娘にそんな報告するな‼︎とは思いましたけど」


「……ユーモアのある親だね」


「まあ……はい」



今の話を聞いただけでも、この子は親と仲良く生活が出来ていることがわかった

羨ましい……ただ少しほっこりできた



「そ、そんなことより!食べたい物は何ですか?」


「そうだなぁ……餃子がいいな」


「餃子ですね!なら今日は皮から作っちゃいます!」


「本格だな……」


「美味しくしますからね!」


「……楽しみに待ってるよ」



♢ ♢ ♢



千歌の作った餃子は絶品だった。手作りなのに皮の厚さもちょうど良く、ジューシーで美味しかった



「布団敷いたから上にきて!」



ご飯を済ませ、お風呂も済ませ、あとは寝るだけだ



「敷いたって……自分の部屋に?」


「うん。それ以外どこに敷くの?」


「俺……リビングのソファーでいいぞ?」


「ダメだよ!湊くんはお客さんなんだよ?ちゃんとおもてなししないと!」



もう既に十分なレベルのおもてなしを受けているんだけどな……



「……分かったよ」



俺は返事をしてそのまま2階の千歌の部屋へと入った



「……おお」



部屋を隅々までじっくりと眺める



「ちょ、ちょっと!あんまりじっくり見ないでほしいんだけど……」


「なんで?」


「は、恥ずかしいから……」


「恥ずかしいのか……女の子の部屋って感じで、俺は良いと思うけどな。壁紙とか、カーテンとか」


「ほ、本当に?よ、良かった……」



色々な女の子の部屋に泊まってきたけど、千歌はその中でも特にTHE女の子って感じの部屋だ

まあこれは俺視点だから、他の人が見ればまた違う感想が出るとは思うけど



「そうだ!寝るまでちょっと時間があるし、ゲームでもしない?」


「いいよ」


「負けた方が相手の言うことをなんでも聞く!どう?」


「……俺が不利な気がするけど」


「そんなことないって!私も全然プレイしてないやつだから、私も初心者みたいなものだよ!」



テレビ画面を付け、ゲームを起動するちか



「……プレイ時間100時間超えてるけど」


「あ、あれー?親が勝手にやってたのかなぁ?あはは……」



明らかにウソをついている……でもまあ泊めてもらっているし、これぐらいの不利は見逃すことにしよう



♢ ♢ ♢



「やったー‼︎勝ったー‼︎」


「……絶対初心者じゃないし」



隠す気が全くない動きをされ、見事に敗北してしまった……

悔しい気持ちはないけど、せめて誤魔化すぐらいの努力はしてほしかった



「それじゃあ一つ聞いてもらっていいですか?」


「仕方ない……そういう約束だからな」



とても不本意ではあるが……



「……あの。その……えっと……」



この感じ……もう何度も経験した。ガツガツ系の肉食系女子以外は大抵この反応になることを理解している



「……いいよ。しよっか」


「……は、はい!は、初めて……なので、優しくお願いします……」


「……うん」



♢ ♢ ♢



翌日のお昼。俺はまた屋上に来ていた

理由は千歌に昨日の返事をするためだ

本当は昨日の時点で返事をするつもりだったけど、千歌が丸一日経ってからが良いというので、ここで待っていた



「ごめん!また待たせちゃって……なんか私待たせてばっかりだね」


「いいよ。全部ほんのちょっとしか待ってないから」


「……ありがとう。それで……ああそうだ……返事をくれるんだったね。うん」



ソワソワが隠せない千歌。スカートをギュッと握る手は少し震えていた



「……聞かせてくれる?」


「……うん」



少しだけ深呼吸をした後、俺は昨日の返事をした



「ごめん……やっぱり千歌とは付き合えない」



俺の返事に驚く様子はなかった。ただ、スカートを握る手は離れ、震えも消えていた



「……だよね。そんな気がしてた。だって湊くん……()()()()()()()()()()


「……そんなことは」


「あるよ。そんなことが。私は昨日湊くんの笑顔を見てない。残念なことだけどね」



千歌の言葉に何も返せなくなった



「……私じゃあ足りなかったかぁ」



涙を浮かべる様子もない。それどころか少し晴れやかな笑顔を浮かべる千歌



「……()()()()。1日だけだったけど、私と付き合ってくれてありがとう」



千歌はそのまま階段を降っていった……



毎回毎回、心が痛くなる。利用してる俺が悪いのに……罪悪感なんか感じる資格を俺は持ち合わせちゃいないのに……



あの子には……俺みたいな不良債権じゃなくて、イケメンで優しくて気が利いて周りが見えて高学歴でお金持ちな男性とお付き合いしてほしい



「……ごめんな千歌。お前にはもっとーー」


「謝るぐらいなら、なぜ別れたの?」



俺以外居なくなったはずの屋上で、女の子の声が聞こえた

千歌の声ではない。でも……少しだけ聞いたことのある声が



「お前が間宮 湊ね」



千歌が降りていった階段の方から、女の子が現れた。千歌ではないまた違う女の子だ



「……お前は」


「ああ。まあ知っているとは思うけど、自己紹介しておくわね」



腕章をこちらに見せつけながら、その女の子は自己紹介を始めた



「私の名前は月代 李華‼︎生徒会の副会長だ‼︎」

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