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集結



もうすぐ夏を迎える

日本は今までで観測した最高温度は、約41度らしい



でも今日この場に置いては、その温度すらも超えてしまうぐらい熱いことが起きるかもしれない!



♢ ♢ ♢



「……なんでこんな冷めてるの?」



私の思惑とは違い、冷え切った空気がこの一室を覆っていた。最高気温どころか、最低気温を叩き出しそうな勢いだ



初芽に話をつけた次の日。現在の場所はとあるカラオケBOXの一室。そして部屋にいるのは、私を除いて初芽、由布子さん、千夏さん、蘭さんの4人だ



そう。私の中の候補者全員が初めて集まったのだ



初芽は全員と知り合い

千夏さんは由布子さん以外

蘭さんは由布子さん以外

由布子さんは初芽以外は初対面



ただし、千夏さんと蘭さんは店員とお客さんという間柄なだけで、会話はほとんどしたことがない



全員湊のことが好きだし、白熱した戦いを期待していただけに今の空気は完全に想定外だ



蘭さんはずっとドリンクバーで入れてきたオレンジジュースを啜り、千夏さんは曲を入れはしないが、ずっとデンモクをいじっている



由布子さんはずっと下を向いて大人しくしていて、初芽もどうしようかと迷っている状態だ



「初芽!早く話を振りなって!」



私がそう急がせると、初芽は周りに聞こえないようにしつつ、不自然にも思われないように気をつけながら、私に返答した



「そうは言っても……流れでゴーサイン出しちゃったけど、何を話せばいいか分かんないし……」


「……じゃあ一言だけ言ってみな?」


「な、何を?」



私はこっそり初芽に言わせる言葉を与えた



「み、湊……」



ガタンッ‼︎



初芽以外の3人が動揺で机に足をぶつけて悶絶した



「……本当に好きなのね。3人とも。バカ姉の勘違いかと思ったけど」


「んな勘違いないって。ほらっ!ちゃんと進行して!」


「はぁ……わかったわよ」



初芽はマイクを取り、電源を入れた



「あ、あー。ちゃんと入ってるね」



マイクのテストもしたのち、初芽は喋り始めた



「今日は集まってくださり、ありがとうございます」



初芽とは思えないほど、硬い挨拶で入っていく



「3人ともお互いのことほとんど知らないと思うのですが、今日3人を呼んだのは他でもありません!さっきもポツリと話しましたが、今回の議題は湊さんについてです!」



またもガタッと音と共に、3人は足のスネを押さえた



「……全員。動揺しすぎです」


「あと一つルールね!私が指名した人以外は、お喋り禁止!ペナルティを課します」


「ぺ、ペナルティってな、何するんですか?」


「今日から、破った回数分の日数、湊さんと会うこと、連絡を取ること禁止です」



とんでもない罰ゲームを提案する初芽

やってくれたよ……会う回数が減る=好感度も上げられない=私の寿命が無駄に減るだけ



「やばっ……私仕事で一緒だから一回でも破ったら終わりなんだけど」


「その時は有給でも取って仕事休んでください」


「嫌な有給の取り方だよ……」



予定もないのに有給を消化させられるほど可哀想なことはない



「あと、指名された人は机にあるもう一本のマイクで喋ってください。もちろん電源は入れてくださいね」



1本は初芽が、残りの1本は3人で回すことになった



「まずは由布子さんから!」


「ええっ⁉︎い、いきなりわ、私から……ですか?」



いきなり他メンバーとの関係性が1番薄い由布子さんからスタートする鬼畜な初芽



「うん。私が質問していくから、それに答えていって」


「うぅ……はい……」


「……あれ?もしかして寒い?」


「い、いえ!そんなことないです!」



マイクを持つ手がガタガタと震えているからそう思ったんだろうなぁ。ただこの震えは寒さからくる震えじゃなくて完全に人見知りを発動してるせいだ



「じゃあまず1つ目の質問ね。年齢は?」


「……え?」



質問の内容に、由布子さんは戸惑っていた



「へー。質問ってそういうパターンの質問もするのか」


「はい。千夏さん喋ったので、明日有給使って休んでくださいね」


「あっ……くっそー‼︎美容師って有給取りづらいのに……」



早速1人、罰ゲームの餌食となった



「まずは2人にも由布子さんのことをある程度知ってもらわないといけません。だから最初はこういった質問にしてるんですよ。understand?」


「おおっ……急にネイティブに……」


「喋りましたね。2日取ってください」


「なっ!今のは反則だろ!」


「ほら。由布子さんお答えください」



横でガヤガヤワーワーと文句を垂らす千夏を無視して、初芽は進行を続けた



「……23です」


「お仕事は?」


「さ、作家です……シノってペンネームで書いてます」


「ええっ⁉︎し、シノ先生⁉︎」



ガタッという音と共に立ち上がった蘭さん。そして由布子さんの方へと血相を変えた様子でぐいっと近づいた



「私!シノ先生のファンです!握手してください!」



蘭さんは由布子さんの前に手を差し出した



「あ……はい」



由布子さんはそれに答えるように握手で返した



「あぁ……今まで握手会やらなんやらで握手する機会は他に比べても多い私が……この握手にダイヤ以上の価値を感じるわ!」


「お、大袈裟すぎですよ……」



蘭さんのテンションが上がっている。湊も由布子さんの作品が好きなことを知ったら、更に喜ぶんだろうなぁ



「……蘭?」


「はっ!」


「罰決定ね」


「……まあいいわ。次の仕事まで少し日が開いてるから」


「ねえこれさ……仕事一緒な私だけ不利じゃない?」


「そんなことはないよ?条件は皆平等だよ?」


「そうかなぁ……明らかで明確な差があるような……」



上手いこと誤魔化されているが、間違いなく1番不利な条件を突きつけられているのは千夏さんだ



1番会う回数が少ない蘭さんで週一会うか会わないか程度。隣に住んでいる由布子さんでも同じぐらい

初芽は通い妻みたいなことしてるから、週一は確定で会っている

千夏さんは休みの被り具合によるが、最低でも週4回は会っている



誰でも分かるぐらいに差がついている



「あとまた喋ったんで、更に追加で」


「最悪だ。専業主婦してる友達誘って旅行にでも行こ……」



半ば諦めムードの千夏さん。これで3日分の有給が消滅

可哀想としか言いようがない



蘭さん1日。千夏さん3日……お願いだからもうこれ以上誰もペナルティを受けないで……



あ、初芽以外ね?

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