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幽霊が苦手なこと



「……幽霊って何が苦手なんだろう?」



私は唐突にそんな疑問を抱いてしまった



「これまた急ですね」


「昨日樹里にさ?「塩撒いといて‼︎」って言ったじゃん?」


「言いましたね」


「でも幽霊って塩が苦手じゃん?そこで気になったんだよねー。自分達の苦手な物を知っておけば、対策じゃないけど役に立つかも」


「んー……まあ気になりますね」


「よし!なら試してみよう!」



♢ ♢ ♢



私達は湊が仕事で出払っている間に、湊のパソコンで幽霊の苦手な物を調べることにした



「うーん……やっぱりエ○チ系の動画検索とかしてないなぁ」



湊はその類の動画を全く見ない。もしかしたら聖人なのかもしれない



「そんなこと調べてないで早く……あー!またインターバル待たないといけないじゃないですか‼︎」



♢ ♢ ♢



パソコンに触れては5分待って、パソコンに触れては5分待って……それを繰り返して、私達は幽霊の苦手な物を探した



「あー。やっぱり塩は幽霊に効くみたいですね」


「試してみよう!」



私はインターバルが解けるのを待ってから、台所へ向かった



「とりあえず、この塩を樹里にかけてみよう」


「何で私なんですか⁉︎」


「順番だから!次のやつは私がやるから!」.


「……分かりましたよ」



私は樹里を床に寝転ばせ、その上から塩を振りかけた



「……どう?」



当然だが、樹里の上に塩が乗ることはなく床に落ちている



「あっつ‼︎」



樹里は身体を跳ね起こした



「熱いの⁉︎」


「めちゃめちゃ熱いですよこれ⁉︎高級料理屋とかに出てくる異様に熱いお手拭き並みに熱いですよ‼︎」


「分かりづらい例えだな⁉︎」



結論・・・幽霊は塩を熱く感じる (個人差と諸説あり)



「じゃあ次はっと……良い匂いの物か」


「良い匂いの物ってなると……」



♢ ♢ ♢



私達は、女性物の化粧品などを扱う店に移動した



香水などの匂いが多種多様に置いているから、苦手な物を探しやすいからだ



「まず柑橘系から行こうか」



試しにまずは柑橘系の香り。サンプルとして置いてある物で匂いを確認した



「……別に違和感ないですね」


「うん……レモンとかオレンジの匂いを感じるだけで、不快感とかはないなぁ」



お次はバニラなどの甘い系の匂いを嗅いだ



「……むしろ良い匂いだけどね」


「……私ダメです」



ここにきて個人差が出た



「やっぱり個人差があるんだ……」


「いえ……私生前からバニラ系の匂いがキツいのがダメで……食べ物とかは大丈夫なんですけど、香水になるとキツくて……」



結論・・・生前の好みで変わる(個人差とetc)



♢ ♢ ♢



「えっと次は……確かタバコの匂いでしたっけ?」


「そうそう」



♢ ♢ ♢



私達は近くのパチンコ屋に入り、そこにある喫煙所の中に入った



「「臭っ‼︎」」



結論・・・これも生前の好みで変わる(個人差etc)



「あとは……眩しい光も苦手みたい」


「眩しい光ねぇ……」



この答えは私達の中で調べる必要もなく答えが出ている



「苦手どころか必要ですよね?」


「うん。無いと私達も視界不良で困るからね」



結論・・・光は必須 (個etc)



「次で最後っぽい。えっと……下ネタ?」


「え?下ネタですか?」


「うん。そう書いてる」



これも確かめるまでもなく、知っている



「私達下ネタ好きだよね?」


「好きかどうかはちょっとアレですけど、苦手なんてことはないですね」



結論・・・影響無し(etc)



色々と調べてみたけど、私達に影響があるのは塩とタバコの匂いだけみたいだ



「あんまりなかったね」


「まあ悪霊に効くって書いてありますし、私達は悪霊じゃないですからね」



とりあえず粗方調べることは出来た。多分記載されてなかった物が苦手な場合もあるだろうから、その点は注意しないといけない



「とりあえず家に帰りますか?」


「そうだねー。ていうか由布子さんの様子伺いに行こう!」


「またですか?由布子さんの日常覗き過ぎでは?」


「可愛いんだよー‼︎どれだけ見ても飽きないね!」


「まあいいですけど……うっ……な、なに?」



ここで突然、樹里の様子がおかしくなった



「どうしたの樹里⁉︎」


「な、なんか気分が悪くて……」



その場から動けなくなる樹里



「ど、どうすれば……こんな状態初めてみたし……」


「も、問題ないです。少し休めば大丈夫ですから」


「本当に⁉︎本当に大丈ーーうっ⁉︎」



私も急に、幽霊になってから感じたことのないほどの気分の悪さが身体に押し寄せてきた

まるで熱がある時の身体のような……頭も痛いし、身体も重く感じた



「り、李華さんもですか?」


「う、うん……なんか急にきた」



2人とも気分が悪くなっている。ということはこの場所に幽霊が苦手な物があるということ……



「「……あ」」



私達は、目の前の建物を見て「もしかして?」となった。とりあえずその場から離れてみることにした



「……大丈夫になったわ」


「私もです」



目の前にあった建物というのは、いわゆるラブホと呼ばれるもの。確証はないが、恐らくあの匂いが私達2人にはダメなのだろう



「生きてた時より身体がしんどかったんですけど……」


「うーん……これに関しては私達が苦手なだけ……なのかな?」



今までその建物の中の様子を見るのは流石にダメだと2人で話していたから、今まで気づかなかった



「気分が悪くなったら、近くで誰かが()()()と思った方がいいですね」


「嫌だなぁその感知の仕方……」



恐らく私達の1番の弱点を発見した瞬間だった

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