表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
幼馴染(美少女)と一緒に、本屋でアルバイトすることになりました  作者: おみくじ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

54/54

沖縄料理と、違和感

 風花姉の喫茶店に入ると、食べ物の良い香に包まれた。白地の大皿に盛り付けてある手料理が俺たちの目を惹きつける。カウンターテーブルに計8つ大皿が並べてあり、とても豪華だ。


 カウンター越しに風花姉が、「待ってたよー」と、人懐っこい笑みで手を振る。


 加奈かな由紀ゆきが嬉しそうな顔をしてカウンターにいそいそと近づく。軽く挨拶の後、「すっごく美味しそうっ!」、「うち全部食べたいっ!」と、瞳を輝かせていた。なんか、さすがだな女子と思ってしまった。


「もちろん、全部食べてもらわないとっ」


 風花姉は嬉しそうに言うと、カウンターから出てきた。


「皆んな好きなだけお料理とってねっ」


 ビュッフェ形式だから、とニッコリ笑う。


 だからカウンターテーブルに白皿が重ねて置いてあるのか。


 風花姉が、飲み物が置いてある広いテーブル席を指定した。料理を取ったらあっちに皆んなで座るってことか。


 軽く説明が終わって、加奈と由紀、祐介はさっそく取り皿を手にしていた。皆んな切り替えが早い。


「はい、太一くんの」


 乗り遅れた俺に、加奈が取り皿を持ってきた。慌てて受け取ると、小声で「好きなのなくなっちゃうよ」と、イタズラに笑う。たぶん由紀と祐介がちょっと取り合いしているからだろう。


「私たちも負けてられないねっ」

「えっ?」


 そうなるのか? 


 加奈の顔を見るとちょっと気合いが入っていた。まあ………、楽しそうなら、いっか。


 祐介と由紀、加奈と俺の順番でカウンターテーブルに並ぶ。


 彩り映えるサラダから、ピザやクリーム系のパスタ、サンドイッチ、グリルチキン、タルタルソース添えたエビフライなど、美味しそうな見た目が、口元をざわつかせる。


「お皿に乗り切らないねっ」

「ん? まあ全部は無理か」

「いやいや、頑張ったらいけるぜ」


 と、祐介が得意げに自分の皿を見せる。料理の上に重ねていくスタイル。なんとも、


「めっちゃバランスわるっ。風花姉さんのご飯が台無しやん!」

 

 由紀が顔をしかめると、祐介が少し慌てて口を開く。


「そ、そんなことないだろ。端だけ重ねてとか気を使ってるし」

「ちゃうし、もうそんな置き方してる時点ではしたないねん、はぁー、これやから男子は」

「べ、別に良いだろ! そっちこそ一皿に一品だけとか! ピザそんな盛らなくていいだろっ!」

「種類があるから別にええやん」

「見栄え悪、そっちこそバランスわるっ」

「う、うっさいなぁ! あとで別のお皿で他の料理もとるねん!」


 どっちもどっちだと思う。加奈を見習え。


 一皿に少しづつ、料理を何種類も品よく取っている。


「加奈は取り方が様になってるな」

「ん? えへへっ、そうでしょ?」


 でも、もう置ききれないなぁ。と、少し残念そうにつぶやく。んー、そうだな………。


 俺は空いてる片手でもう一皿取った。加奈に提案する。


「こっちのお皿にまた取ったら良いよ」


 加奈がちょっと驚く。


「でも、太一くん両手ふさがって、お料理取れないよ?」

「そこは、加奈にお願いするよ。俺の分も取ってくれたら」


 そう聞いて、加奈の表情が楽しそうに笑む。


「なるほどっ、ふふっ、じゃあニ皿分、お任せてくださいっ」


 俺はお皿係に徹し、加奈と一緒に料理を色々と取っていく。これどう? もっと取っちゃう? と、ときどき聞かれ、そうだな、とゆっくり応えながら。


 そのとき、


「あっ」


 加奈のどこか驚くような声。どうした? おっ。


 加奈が声を発した料理を見て、俺も目を引いた。それは、


「ふふっ、ここからは沖縄料理コーナーってところ」

 

 風花姉が得意げに言う。


 サーターアンダギーをはじめ、ゴーヤチャンプル、ラフテー、タコライス、おっ、うみぶどうもある。定番の沖縄料理が並んでいた。


「まさやんがね、沖縄から材料の元送ってくれてね。皆んなに食べてほしいさー、だって」


 なるほど。沖縄でステファニーとビーチバレーしかしてないわけではなかったんだな。


 ほんのちょっとだけ見直しつつ、普段は食べる機会が少ない沖縄料理に興味がわく。加奈もわくわくして、ん?


 加奈は、手が止まっていた。さっきまでの楽しげな雰囲気がなぜか静まっていて。


「加奈?」

「えっ!? あ、な、なに?」

「あっ、いや、沖縄料理、取らないのか?」


 加奈の目が少し泳いだのが分かった。もしかして、


「沖縄料理、苦手なのか?」

「そ、そうじゃないの! うん、そういうのじゃなくて………」

「ん? あ、あぁ」


 俺もよく分からず曖昧な返事をすると、加奈が少しためらいがちに、サーターアンダギーを一つ掴んだ。それを、俺が食べる方のお皿へ。それ以外、何も取る仕草がない。


 俺は気になって声をまたかける。


「加奈の分は良いのか?」

「わっ、私のは………、また後で取ろうとな」


 もう結構いっぱいお料理取っちゃったから。


 そう加奈は言うが、お皿にはまだスペースはある。


 変な違和感に俺の心がざわつく。でも、先にデーブル席についていた風花姉と由紀、祐介が俺らを呼ぶ。


「あっ! すぐいくねっ! 太一くん、あっち早くいこっか」

「あっ、あぁ、そうだな」


 先を行く加奈の背中を見つめながら、ふと視界に入る自分のお皿に乗ったサーターアンダギーが1個。色々とあった沖縄料理で、これだけしか取らなかった。そのことに、妙な寂しさを感じている自分がいた。それと、なんとも言えない違和感、でも気にしても、考えても、何も答えはでない。


 俺は少し頭を振り、気持ちを半ば無理やり切り替える。いつもの平常心で、皆んなの待つテーブル席に向かった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ