表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。
この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

別ゲー シリーズ

一人だけ別ゲー・ゲーム性

作者: まい

 アクションゲームの中でも、一撃死するゲームって理不尽だと思うの。


 特に鳥のフンで死んじゃうやつとか、膝の高さより大きい段差を降りると死んじゃうのとか。

 この世界は難易度インフェルノ級である。


 別にヘルでもデスでもルナティックでも、インフィニティでもナイトメアでも何でも構わないが。


 それは何故か?


 簡単な話だ。 この世界の人類はほぼ全てすぐ死ぬからだ。


 命の値段が(やす)過ぎるのだ。



 例を挙げよう。


 鍛えに鍛え、筋肉と言う鎧に分厚い金属の全身鎧(フルプレートアーマー)を着込んだ男が居るとしよう。


 しかもそれは、人間一人分位の高さまで()ね回れて、30メートル以上の距離を馬上槍(ランス)でもって水平投げ……しかもどんな体勢であろうと連投まで出来る、全力で駆け回っても疲れ知らずの猛者(じんがい)


 そしてそいつへ、子供が害意を持って小石を投げつける。


 するとどうなるか?


 鎧が(はじ)()び、下着一丁の男が残される。


 そして更に投石を浴びたら?


 鍛え上げた筋肉とは関係無しに、どんな所へ当たっても死んでしまうのだ。


 余談だが小石すら必要無く、タックル1発でさえアウト。


 盾? 盾で近接攻撃は防げません。 しかも投石の1発で壊れる様な盾だったら、盾を捨てて攻撃の弾幕を厚くしますって。



 お分かり頂けただろうか?


 命の価値が極端に安い。


 なのにソコは剣と魔法と魔物が(あふ)れるファンタジー世界。



 人類に対し、敵となる魔物は反則ものである。


 人類と同じく一撃で死ぬものも多いが、一撃で死なぬものもまた、多いのだ。


 極端に強くなった魔物など、何十擊と浴びせてようやく倒せるもの、その何十擊を特定の場所へ集中して当てねば倒せないものも存在する。


 なお、人類から魔物への攻撃は小石程度では効かず、武器として扱われる道具が必要となる。


 そんなのがウヨウヨしている世界。


 どれだけ人類が憎いのか? なんでそこまで理不尽な法則を、神は定めたのであろうか?




 そんな世界で、なんと魔物の大行進(スタンピード)が発生したと、特定の国へ向かっていると知らせが入った。


 数は不明。 地の果てまで続いているとまで錯覚出来る、空恐(そらおそ)ろしい集団。


 過去に類を見ない、あまりにも馬鹿げた数が、こちらへ向かって来ていると言う。


 恐らく(人類)世界の危機とも呼べそうな、常識はずれな規模。


 その知らせを受けた国主は、速やかに首都へ全国民を集める指示。



 魔物を迎え撃つは、戦闘可能な全国民。


 そして近隣国からの増援。 もしスタンピードをここで止められなければ、次は我が国。 それを考えれば、嫌でも最大限の協力をせねばならない。


 総数でも魔物とは比べられない程度の、笑ってしまう位しか居ない寡兵(かへい)


 ちなみに総員軽装である。 防御など考えても無駄だから。


 そして、重装備でもし弾けた鎧の破片に周りの者が当たれば、死んでしまうかもしれないので。



 そして両軍が激突した。


 緒戦は人類有利。


 世界の法則を考えれば、発達するのは遠距離戦闘。


 そう、投擲(とうてき)武器や投射(とうしゃ)武器、攻撃魔法の発達が(いちじる)しい世界でもある。


 それで一撃で倒せる、近接戦しか出来ないものが大半の魔物側。 それらが務める先鋒(せんぽう)をあしらう。


 連射を考慮(こうりょ)した仕組みを持つ矢筒(やづつ)、何十とナイフを収めて取り出しやすく設計されたホルダー、範囲や連射性を突き詰めた攻撃魔法。


 戦場は平原、遮蔽物(しゃへいぶつ)が無いのでお互い身を守る手段は皆無(かいむ)


 それらが雨あられと魔物達へ降り注げば、大半は溶けるように死んでいく。



 ここまでは良かった。



 中堅(ちゅうけん)の頃となれば、十擊以上耐えられて、しかも遠距離攻撃まで放てる大物が当たり前に出てくる。


 更に戦闘能力はほぼ無いが、ただひたすらに固いだけの魔物を壁として、詰め寄せる魔物まで出てくる始末。


 こうなると人類の魔物討伐ペースはどうしても落ちてくる。


 物資の補充、魔力の枯渇(こかつ)、休憩、戦死。 あらゆる理由での人員交代や補充が幾度(いくど)も重なり、もたついている為余計に。


 ただし身体欠損による後送は無い。 そんな攻撃を受ければ死んでしまう人類なので。



 苦境は続く。


 いや、戦死者が増えて戦闘員が大分減った。 もはや苦境ではなく地獄だ。


 もっと強くしぶとい魔物が見え始め、絶望に飲まれ動くことを……生きる事を()めてしまう者も出てくる。


 それでも何とか(しの)ごうと、必死の踏ん張りを見せる人類。


 だが魔物は多いし強い。 理不尽なまでに。


 魔物が途切れる様子は無い。


 このままでは、国が……いやその内人類すら滅亡する。


 誰もがそう思った瞬間に、変化が起きた。



 巨大な竜巻が発生した。


 巻き込まれ吹き飛ばされるのは魔物のみで、人類へは影響が及ばない、不思議な現象。


 それと、人類最前線に女性が立った。



 彼女は背中までのびる緑髪三つ編みに碧眼、後頭部を飾るリボンみたく縛った真っ赤なハチマキ、金色の金属製の胸部鎧(ブレストプレート)をあてた、ベルト付きで白く縁取られた赤いワンピースの細身かつ美しい女性。


 この世界では無駄とされる盾の一種、円盾(ラウンドシールド)を腕に縛り付け、装飾が(ほどこ)された金属の杖を握っている。



 彼女が現れた直後から、人類は息を吹き返したみたいに動き出す。



 彼女は強かった。


 杖から出る魔法弾は距離が短い代わりに、まるで無尽蔵かと思うほどの勢いで連射される。


 しかも女性の攻撃は威力が桁違いなのか、ニ擊分のダメージを一撃で叩き出し、連射速度まで含めると圧倒的な速さで魔物を(ほふ)って行く。


 そして魔物からの飛び道具は、世界の(ことわり)が違うのか、ノーダメージで盾によって防ぎきる。


 更に走る、しゃがむ、()い回る、跳ぶ。 しかも跳んでいながら、空中でベクトルを変えて着地地点を操作する、驚くべき空中機動性能。


 敵への位置取りが(うま)く、ヘイト管理も完璧で、魔物は知らぬ内に死地へと(いざな)われ果てて行く。


 縦横無尽に活躍する様は、美しい容姿も合わさりまるで舞踏を見ている様。


 魔物からの返り血を()びていないのか、不思議と装備が汚れていない。


 …………どこまで余裕なのか、何故か彼女が倒した魔物からはコインやコイン袋や、たまにハートの形をした何かや虹色に光る玉が飛びだし、それを見つけては嬉しそうに拾っていた。


 そんな姿を見て、他の人類だって女性に任せておけないと奮起し、旺盛(おうせい)な攻撃を畳み掛ける。




「多過ぎる」


 ふと、そう彼女が呟いたと思うと、どこからか取り出した不思議な石を握る。


 すると、握る石毎に神秘的な変化が、女性の攻撃へ表れた。



 4人程の幅を持つ魔力で出来た刃が魔物に襲いかかったり、


 2人程の幅を持つ魔力で出来た刃が、正面と左右(なな)め前の3方向へ走ったり、


 コウセイシュリュウダンと呼ばれる爆発物を大量にばらまき、広範囲をまとめて殲滅(せんめつ)したり、


 螺旋状(らせんじょう)にねじれた魔力弾が、直線上にいる多数の魔物を貫通したり、


 明後日(あさって)の向きへ撃ち出した魔力弾が、まるで生きている様に最寄りの魔物へ向かっていったり。



「まだ足りないか……しかし小狡(こずる)い商人一族が近くにいないとは、なんたる不運」


 石を使い果たしたのか、女性が(うめ)く。


 その(すき)を狙っていたのか、ただの流れ弾か。


 凶弾が彼女を襲う。



 次の瞬間、攻城兵器が街壁(がいへき)に当たったかのような轟音が、戦場に鳴り響く。




「くっ……!」


 が、女性は無事だった!


 元の場所から少しずれたが、それでもしっかりと地に足をつけ厳然たる勇姿そのままに!


(ここの)つあるハートの、丸々ひとつか。 四半でも半分でもなく。 強いな」


 人類ならまず1発アウトの攻撃を、防具全損も無しに耐えきった!


『うおおぉぉぉおおっ!!!』


 まさかの奇跡が起きた。 そう人類は沸き立ち、見ていた者全員が叫びだす。



 そんな連中を一度チラリと流し見て、魔物へ向き直り、杖を掲げると光り出す。


 再び凶弾が直撃コースで飛んで来るが、今度は女性が生み出す魔力の膜に(はば)まれて当たる事はなかった。


 現在終盤。 残りは大将格が主となる、倒すのに多大な苦労と物量を求められ()いられる、地獄。


 だが終盤と言うことは、あの果てが無い様にも見えた魔物の群れが、尽きかけていると言うこと。


 人類にも希望が見えた瞬間だ!



 少し(のち)に振るわれた杖だが、不思議な石の様な変化とは全く違う。


 この世界の人類が使う魔法とは違う、しかし魔法としか言えない現象が次々に起こる。



 登場した時に起きた巨大な竜巻が魔物達を吹き飛ばし、


 雷を(まと)い、魔物が近くまで寄るとしびれさせ、


 吹雪を()びせて魔物の足を止め、



 ――――合間々々(あいまあいま)に、魔物から出てきた物を嬉々として拾いながら



 まるで鏡みたいに瓜二つの分身を多数生み出し、連携して攻撃し、


 炎の(とり)を作り上げ魔物の(むれ)へけしかけ、


 天から裁きの光を地上へ広く落とし、(あまね)蔓延(はびこ)っていた魔物達も、星の直撃にはたまらず息絶えて行く。




 様々な魔法の奔流(ほんりゅう)に飲まれ流された魔物達。


 生き残っている魔物は3桁も居ない。


 生き残ったのがいくら頑強な種類だろうとも、女性が起こした奇跡を受けて、奴等は既に満身創痍(まんしんそうい)


 その様子を確認した彼女の凛々(りり)しい声により、号令がなされた。


「決着はこの地に住まう者がつけよ!!」


『おおおおぉぉぉおおおおっ!!!』


 ここで(ふる)い立たねば、国を……人類を(まも)らんと立ち上がった意味が無くなる!


 最後まで力を振り絞る意気込みで、今回参戦した全ての人類が武器を握り駆け出した。




 残った魔物の殲滅が済んで落ち着いた頃、途中から参戦した神の如き強さを見せた女性を探したが、その姿は最初から幻だったかもしれないまでに、痕跡(こんせき)が消えていた。



 しかし、戦列を共にした者からすれば、あんな出来事を忘れるなぞ不可能。


 彼女が確かに存在した証として、像を建て語り継ごうと全ての者が話し合う。






 後にこのスタンピード防衛戦は、戦力差に比して被害が極めて少なく、早期に終結させられた奇跡の戦争として世に語り継がれる。


 奇跡と共に現れた、戦女神(いくさめがみ)を話の柱として。

 途中で乱入した女性は誰か?


 アンソロジー・冒険・アレンジ。


 これで反応して頂ければ、反応なさった方と握手したいです。


 プレイしたシリーズで一番好きなんですよ、アレンジのが。


 それであの方が、アレンジのシナリオ後に“お姉ちゃん”から“お姉様”まで育ったイメージで、お願いしたく思います。


 そうそう。 あの方の容姿やアイテム、魔法(術)まで丸々そのままだと問題がありますから、チョイチョイとフェイクを混ぜてます。 文中表記を鵜呑みにして、リアルで“知ったか”などせんで下さいませ。



※彼女はなぜとどめを譲ったのか? なぜ最後まで居なかったか?

 とどめを譲って、散らばったアイテム(主にコイン袋)が消えぬ内にと、回収して回っていました。

 そして回収が終わり満足して、上から出された使命も完了したので、とっとと天界(その天界も異世界だが)へ帰っただけの事です。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 魔界村の世界?にSTGばりのキャラが、 これは強い。 [気になる点] もしかして、でかいフォークを持った緑の謎生物が相棒のキャラ? わからん!!
[良い点] あー、強い女神様は正義ですw [一言] うん、すぐ死んじゃいます。 そんな世界を誰が作ったぁー! 今、魔◯村やったら1面もクリア出来ない自分がいた衝撃! スーファミミニやりながら〜 みさ…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ