91,恋バナ
ご無沙汰しています。
昨日投稿したやつなんですが、何と最初の部分が抜け落ちてました(°Д°) 投稿した5時間後に気付いて、慌ててつき加えました、本当にごめんなさい、またまたミスしちゃいました······(゜゜)… そこが切れてて、ちょっと状況が分かりにくくなってたと思います、すみませんでした、気を付けます。
「全然覚えらんないよー!」
三浦はさっきまで睨めっこしていた台本を投げ出して、床にゴロンと寝そべる。
ついに文化祭まで1週間となり、三浦は段々と追い詰められていった。
「まあまあ、落ち着いて。あと少しじゃん」
「そうだよ、頑張ろ!」
そんな三浦に、天音と成美が励ます。
2人は既にセリフを覚えているため余裕がある。なので、中々セリフが覚えられない三浦を手伝っていた。
「······恋をしたい」
天井からの眩しい光に目を細めながら、三浦はぼそっと呟いた。
「成美が羨ましい! 私も恋がしたいよー!」
三浦の何かが弾けたのか、急にギャーギャーと騒ぎ出す。幸い放課後ということもあって教室内には3人しかいなかった。
「キスとかもうしたの!?」
「き、キス!? してないよ!」
突然の三浦のぶっちゃけた質問に、成美は顔を真っ赤にする。
「手とかは繋いだりしたの!?」
「え、し、した······って、もう聞かないでよー!」
成美は赤くなった顔を手で覆う。隠せていない耳は茹でダコのようだった。
「2人ともこっちが見てて分かるくらいラブラブだもんね」
「そうそう、胸焼けしちゃうよね」
天音もウンウンと首を縦に動かす。
成美と陽斗の2人はとても分かりやすい。二学期になってから突然お互いを下の名前で呼び合っていたし、一学期よりも2人はかなり距離が近くなっていた。これで察しない者は誰でもいないだろう。
「もうー! やめてよー!」
成美はついに耐えきれなくなったのか、真っ赤な顔を手で覆う。他人が見てわかるほど態度に出ていたのかと思うと、今すぐにでも穴に入りたい気持ちだ。
「でも、今宮くん優しいし頭いいし運動も出来るし、いい男を見つけたね!」
「そうだね、本当に私の事を好きだなんて思わなかったもん。今でも信じられないよ」
三浦の言葉に成美は幸せそうに笑う。陽斗と両思いだと知った時は嬉しくて心はずっと飛び跳ねていた。今でも夢のように思うのだ。
だが、成美は気づかなかっただけで、結構前から陽斗はそれが出ていた。成美もかなり分かりやすかったが、それに陽斗も気づいてはいなかった。お互いの鈍感さに周りはどれだけ呆れたか、2人は知らない。
「結婚式する時は呼んでね!」
「けっ結婚式!? まだ早いよ!」
「2人ともお似合いのは夫婦になりそうだよね」
「夫婦!? だからそんなの全然まだ考えられないってばー!」
三浦と天音の言葉に成美はオロオロとするばかりであった。
「もうー! じゃあ、2人はどうなの?」
もう耐えきれない成美は話を変えることを選択した。そうしないと本当にずっと2人にせめられ、埒が明かないと思った。
「うーん、私は今は特にいないなー」
三浦は少し考え込みながら答える。
「今はってことは前はいたの?」
「いや、気になってるっていうか、心に残ってるっていうか」
興味津々に聞く天音に三浦は首を傾げる。
「え、それってどういう事?」
そんな三浦の言葉に成美も首を傾げる。
「えっと、中学の時の話なんだけど、私、不良に襲われてさ」
「え!? 襲われたって、え······」
「いや、そこは未遂だから」
絶句する成美と天音に、三浦はちゃんと付け足す。
2人はそれにひとまず安堵する。
「それで、通りかかった男の人が助けてくれてさ。めちゃめちゃかっこよくて、私にとっては今でもヒーローみたいな存在なんだよね」
三浦はチラッと2人の方を見ると、2人とも今にも泣きそうな顔をしている。
「え、なんなのその顔」
「そんな辛いことがあったんだと思うと······」
「その男の人めちゃめちゃいい人だね······」
2人は目に涙をいっぱい溜めていて、今にも零れそうだ。
「その人って誰か分からないの?」
成美はハンカチで涙を拭いながら聞く。
「それがよく覚えてないんだよね。涙とかでもうぐちゃぐちゃで視界もボヤけてたし」
三浦は少し悲しそうに下を向く。思い出せるのは身長が高いことと、とんでもなく強い腕っ節くらいだ。
男達を倒してくれた後、頭がぐちゃぐちゃできちんとお礼を言えなかった。だからもう一度その人に、助けてくれた恩人に会いたいのだ。
その彼に恋しているのかなんて分からないが、ただその大きい背中にどれほど安堵したか。
「次は私が守って上げるからね」
成美はそう言って、三浦にギュッときつく。
「え、何それ~。成美こそ私が守るから!」
三浦も笑いながら抱き返す。
「私も次、三浦にそんな事あったらやっつけるよ」
「天音ならやりかねそう······」
構えてパンチをくり出す天音に、2人は乾いた声で笑った。
「てか、私まだ付き合ったことないんだよね」
「「え!?」」
三浦の発言に成美と天音の2人は思わず声を上げる。驚きというか、かなり意外な事実だった。
見た目は派手で、最近は髪の毛をよく明るい色に染めている。性格も明るいので、そういう経験はてっきり多いのかと思っていたのだ。
「え、何んなの、その反応は!」
三浦は逆にそんなふたりの反応に驚く。そして今までそんな風な目で見ていたのかと、2人を恨みの篭った目で睨みつける。
「もしかして、私の事ビッチだと思ってたの!? なわけないじゃん! 純粋で可愛い女の子よ!」
再びギャンギャンと騒ぎ出す三浦。2人は謝るしかなかった。
「天音はー······、なさそうね」
ようやく落ち着いた三浦は、天音をじーと見つめる。
「そうね、そもそも恋をした事がないかな」
天音は腕を組みながらうーんと考える。
「天音ちゃんは逆に女子から凄いモテてるよね。バレーしてる時なんかめちゃくちゃカッコイイし!」
成美はうっとりとした目をする。
天音は今まで男よりも男だと言われることが多い。実際、自分でもそれは感じていて、自分の事は女らしくないと思っている。
「なんか、男子に対してキュンってする事とかないの?」
「そうだねー······」
三浦からの質問に天音は腕を組みながら真剣に振り返ってみる。だが、思い当たるものも特にない。それに、男子をそういう対象として見た事もない。
すると、ふと天音の頭に市原の姿が思い浮かんだ。それは、数日前に荷物を持ってくれた時の事だった。
なぜ今彼の姿が出てきたのか、天音はよく分からなかった。
少し考え込んだような天音を成美と三浦の2人は思わす凝視する。すぐに話を流すだろうと思っていたのに、
「え、ま、まさか、天音にそんな事あったの!?」
何かありげな天音の反応に、2人は開いた口が塞がらない。女子にモテモテの、男よりも男らしい天音にそんな事があるとは微塵も思わなかった。
「え、いや、違うよ!」
天音はハッとして否定する。だが、既に成美も三浦も確信していた。これは何かあったなと。
「別に隠さなくていいじゃん! 話しちゃいなよ!」
「私の話もしたんだから天音ちゃんのも聞きたいな!」
2人は興味津々に目を輝かせて天音に詰め寄る。
「な、なんでもないって!」
焦る天音をよそに、女の子達の恋バナはどんどん花開いていった。
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投稿再開してから、ジャンル別日間ランキングに載っているようで······、本当にありがとうございます!感謝です!




