86,同盟
告白後の続きです(*´`)
陽斗と成美の2人は、すっかり暗くなった道を行く。2人でゆっくり話したいと思い、電車には乗らずに歩いて帰ることにした。
「成美、この後少し時間ある?」
「うん、何で?」
「俺を"青羽瞬"だって知っている人が何人かいるんだ。それで同盟組んでるんだけど、成美も参加しない?」
「私がそこに入ってもいいの?」
「もちろん!」
陽斗は成美を連れて、いつもの公園へと向かう。奥からはバスケットボールの音が聞こえてくる。
「あ、今宮じゃん! おせーよ!」
こちらに歩いてくる陽斗に気づき、剛力が大きく手を振る。そこには剛力を含めて3人の姿があった。
「だー、もう、白石短期間で成長しすぎだろ!」
そこには膝に手をついて息を荒くしている冴木と、得意げにそれを見下ろす白石の姿もあった。
「あれ、今日お仕事は!?」
「今日は久しぶりのオフだから来ちゃった」
冴木は笑顔でウィンクをする。冴木は小さい頃から非常にウィンクが上手い。芸能界時代、どうしても両目をつぶってしまう陽斗は冴木にウィンク指導をしてもらった程だ。
そして、皆は陽斗の後ろにいる成美の存在に気づく。
「え、なんで女の子いるの!?」
全てを知っている白石以外の2人が凄く興味津々に陽斗と成美を交互に見つめる。
「俺の彼女の成美」
「まじか! お前に彼女か! なんか悔しい······!」
「彼女が出来たのか。いやー、成美さん。陽斗を選んでくれて本当にありがとう」
剛力は何故か不服そうな顔で陽斗を睨み、冴木はまるで母のような暖かい目で成美を見つめる。
白石も2人が無事付き合う事になり、安心したような表情をしている。実は、陽斗は白石に色々と相談していたりする。
そんな3人に比べ、成美はいつもに増して顔も体も固まっていた。目の前にいるはずもない、超人気有名人がこの場に馴染んで普通にいるのだ。
成美の思考は止まっていた。今、この状況を飲み込めない。何故、"冴木亮"が自分の前に立っているのだろうか。
今日は本当になんて日なのだろう。
「陽斗はね、本当に良い奴なんだよ。優しくて、明るくて、皆にも好かれててさ······」
「亮くん! 恥ずかしいからやめてよ!」
突如始まった冴木の語りに慌ててその口を塞ぐ。この人にこれを語らせたら何時間も話すのだ。
後ろにいた成美がクスッと笑った。
「あ、笑った。めっちゃ可愛いな、この子」
剛力が成美の顔をマジマジと見つめる。実際、成美は学校内でトップ3に入る美貌である。性格も良いし頭もいいしで、成美は男女問わず人気だ。
「おい、人の彼女をそんなに見るなよ!」
「いてっ!」
陽斗はちょっとばっかし顔を顰めて剛力の頭にチョップする。こいつの目つきは悪くて、見られるだけで女の子は震えてしまう。
「目つきは生まれつきだからしゃーねーだろ。文句は俺の親に言えよ!」
意外と痛かったのか、それとも坊主で髪の毛の守りがなかったからなのか、涙目に痛がる剛力。
「いやー、いい子捕まえたな」
冴木はガシッと陽斗の肩を組む。その顔には満面の笑みが浮かんでいた。
彼には一目で人の本性が分かる能力を持つ。ハッキリじゃないが、この人はヤバいというのは直感で分かる。
荒い芸能界にもまれたからなのだろうか。結構この勘のお陰で助かることも多い。
成美は本当に優しい子だと一目で分かった。陽斗を裏切るようなこともないだろう。彼女なら陽斗を任せても大丈夫だと思った。
「これからも陽斗をよろしく」
「こ、こちらこそ、よろしくお願いします」
冴木は笑顔で成美に手を差し出す。成美は震える手を抑えながらその手を握る。
その瞬間、成美からふわっと匂いがした。それは、冴木がいつも使っているお気に入りのハンドクリームだった。
冴木は下を向いてフッと笑う。
彼女とは長い付き合いになりそうだ。冴木はそう確信した。
4人はこの後も色々と語り合い、笑い合う。
この同盟の結束もまた深まった。
読んで下さり、ありがとうございますฅ՞•ﻌ•՞ฅ
これを機に、一旦活動休止します。3月1日からまた再開します!来年絶対に戻ってきます!未完成なままじゃ嫌なので。
こんな拙い小説にブクマや評価ををつけてくださった皆様、本当にありがとうございます!




