65,インタビュー
ミスって投稿しまして本当にすみませんでした(。_。*)
気を付けます······
『こんにちは! 私は今、成宮高校に来ております』
テレビに映る女性が明るい声で話す。女性の後ろに見えるのは成宮高校の校舎だ。
インターハイ後、全国2位という快挙を成し遂げた成宮高校は全国テレビから取材されていた。
『こんにちは~』
マイクを持ったアナウンサーが体育館へと恐る恐る入る。
「こんにちは!」
「こんちゃーす!」
体育館にバスケ部員の元気な声が響き渡る。
ここで成宮高校を紹介するナレーションと共に練習風景が映される。
『インターハイ初出場にして2位という、華々しい結果を残した成宮高校。去年のウィンターカップで全国に名を轟かせ、今年のインターハイでも有名な強豪校を抑えて決勝に進出。"新星"として高校バスケを騒がせています。しかし、去年のインターハイでは県ベスト4どまり。一気に飛躍した訳とは?』
「今宮です」
「今宮先輩のおかげです!」
『驚くことに、部員全員が"今宮"という名前を挙げました。その快挙の立役者である部員はどんな人なんでしょうか!』
「今宮くんですか?」
「あ、そうです」
照れそうに下を向きながらテレビに映る少年。
少し長めの髪で眼鏡をしている。スポーツマンのような見た目ではなく地味な感じだ。
『部員の皆さんが今宮くんのお陰と言っているのですが?』
「いやいや、そんな事ないです! みんなのお陰です!」
謙虚で優しそうな人である。そんな人があんな激しいプレーができるのか。ましてエースだなんて。
彼が本当に強いのか、テレビを見ている人達は疑わしく思った。
『そんな成宮高校の要である今宮くんはどんな選手何でしょうか!』
そして、コートに立つアナウンサーとボールを持った今宮の姿が映る。
『今宮くんの最大の武器はジャンプ力とその空中姿勢だそうです!』
テレビに今宮のインターハイ時のプレーが出る。
ダンクや個人技が大きく映される。
『今宮選手は高校2年生にして今大会素晴らしい活躍を見せ、魅了的なプレーで多くの人を虜にさせました』
『今宮選手の身長は何センチですか?』
「184センチです」
『それでは、かなりジャンプをしているんですね! 実際に見せてもらいましょう!』
ここで、陽斗がダンクを披露する。305センチあるリングに軽々とジャンプしてシュートする。
止まったかのように見えるほどの滞空時間。
ダンクなど余裕の高さだ。
『凄い! 高いですね!』
アナウンサーも見ている視聴者も驚く。
試しに175センチあるスタッフの男性がやってみる。しかし、全くといっていいほどリングは遠かった。
『そして、今宮選手はドリブルも凄いんです!』
今度は成宮高校のゲームの様子が映される。
今宮がキレのあるドリブルで次々と抜いていく。
『わあ、速い!』
それを見たアナウンサーは純粋に圧倒されていた。
『では、次に向けてへの意気込みを聞かせてください!』
キャプテン、市原 拓也というテロップと共に本人が現れる。
「夏の大会では悔しい思いをしたので、ウィンターカップではリベンジを果たして優勝したいです!」
『期待しています! 頑張って下さい!』
市原が少し照れてアナウンサーにペコペコとお辞儀をする。その後すぐにテレビはスタジオに戻った。
「わー、結局ほぼ今宮かよー」
「くそ、俺のかっこいい顔は映らなかったのか、なんてこった」
「パンナコッタ」
職員室のテレビの前にいた成宮高校バスケ部の部員達がぼやく。
テレビに映ると張り切っていたのに。結局は話題のエース目当てだった。
取材で陽斗ばかりを撮っていたため、もうそれで諦めていたが。でも可能性を信じていた。しかし、希望の一筋は消えた。
皆、あんなに鏡の前で身なりを整えていたのに。
部員達は悔しがる。
「いや、まだ俺らにはチャンスがあるぞ! まだ取材来るじゃないか!」
「はっ! そうだった!」
「諦めるのはまだ早いな!」
暗かった空気が一気に明るくなる。
皆ががやる気に満ち溢れていた。
「というか乾さ、取材された時、今宮の事ばっか語ってほぼカットされてんじゃん!」
「確かに!」
乾は"成宮高校が一気に飛躍した訳"を聞かれ、5分以上熱く話していたらしい。
「今宮先輩は偉大なんです!」
乾は天を拝むように手を合わせる。まるで何かの宗教かのようだ。
「そういえば、成美ちゃんめっちゃ映ってたよな」
「あ! それ思った!」
確かに成美が映る頻度が高かった。
応援している姿、サポートしている姿など、部員よりも映っていたのではないか。
「凄くこっちにカメラ向いてた。私じゃなくてコートを撮って欲しかった」
成美は困ったように苦笑する。
「ごめんね、林さん! カメラに夢中で守れなかった!」
「自分の事しか考えられなかった!」
皆は頭を抱えて反省する。
成美は可愛い。そんな彼女がテレビに映れば話題になること間違いなしである。
色んな男に言い寄られるかもしれない。あの憎々しい星野のように。
「何があっても俺らが守るから!」
成宮高校バスケ部員は強く心に誓った。カメラからも男からもどんな時も助けると。
その後は成美にカメラが向けば、さりげなく部員が間に入ったり、カメラマンにボールが当たったり。
また、それでも改善しない場合はカメラマンに部員全員からの威圧が掛かる。
そうして、成美がカメラに映ることは努力のおかげか段々減っていった。
しかし、視聴者からは「あの子可愛い!」「美少女!」など騒がれてしまったが。
テレビに映った日、白石と共に家に帰るとそこには懐かしのメンバーがほぼ勢揃いしていた。
今を時めく冴木、美少女NO.1奈々、現在主演映画真っ最中の爽司、大人気アイドル湊の4人だった。
「なんで皆がいるの!?」
陽斗はリビングのドアを開けたまま固まる。
白石は目ん玉が飛び出そうなくらいだ。テレビ引っ張りだこの大人気の方々が目の前にいるのだから。
「テレビ出てたな!」
「陽くん、めっちゃかっこよかったよ!」
「え!? 見たの!?」
「冴木くんに教えて貰って!」
バッと冴木を見るとこちらにピースしてニヤニヤしている。
「だけど、こんな形で陽斗がまたテレビに出るとはね~」
冴木は少し感慨深そうにお茶を飲む。
「だけど、めっちゃ下向いてたよな!」
「だってバレたら怖いじゃん!」
この日、今宮家は宴会状態となった。
読んでくださり、ありがとうございます(๑⊙ლ⊙)




