表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
芸能人、やめました。  作者: 風間いろは
高校1年生
7/137

6,部活体験

陽斗は清潔感ゼロの汚い部室を出る。吐き気がしそうだ······。


しかし、またこの男まみれの部室もまた学生の青春の一つだよね······


陽斗は強引に青春にくっつける。憧れの部室がまさかあんなんだったとは。ショックを隠せきれない陽斗である。



陽斗は軽く準備運動をしながら、体育館を見渡す。


天井からの眩しいほどのライトが照らす中、20人くらいの部員が活動している。3年生は既に引退しているため、この場には2年と1年しかいない。だが、結構一人一人のレベルが高い。成美の言う通り、成宮高校のバスケ部は強いみたいだ。皆汗水垂らして、熱心に練習に取り組んでいる。


ほほう、ここが部活という名の青春か······


陽斗は輝かしい目でコートを見る。


念願の部活に参加出来るのだ。本当は飛び跳ねたいくらい嬉しい。


準備運動をバッチリして、陽斗は市原のいるコートへ行く。


「市原君」


陽斗はコートから少し外れたとこにいる市原に声を掛ける。


「おお、今宮······って、お前、足長! そして白!」


市原が半袖半ズボンを着ている陽斗を見て驚く。その声に皆が陽斗を見る。


「確かに、スタイル良さすぎじゃね!?」

「身長も割とあるし、モデルみてえ」

「てか、あいつハーフなんだろ? 外人の血が入ってるからじゃね!?」

「そうなの!?」


陽斗がいるコートが途端にザワつき始める。


「おい、お前ら! うるさいぞ。次騒いだらダッシュ100本な」


「「「「すみませんでした!」」」」


騒いでいた部員がキャプテンにびしっと礼をしながら謝る。


うお、めっちゃ体育体系だ。これが高校の部活なのか!!


陽斗は何故かそれを輝かしい目で見る。


「今宮くん、騒がれちゃったね」


西島が市原の横からひょこっと出てくる。


「あ! 西島君じゃん! バスケ部なんだ」


「そだよ。今宮君は経験者なんだね」


「うん、でもちょっとブランクあるから今日はあまり動けないかも。でさ、今なんの練習してるの?」


「今は半面で3対2の速攻練習をしてるよ。主に攻撃の練習だ」


市原が親切に説明してくれる。


ほう、速攻か。楽しそうだ。早くやってみたいという思いが陽斗を埋めつくす。


「あー、てか、さっきごめんな。騒いじまって」


市原が罰が悪そうに言う。


「あ、全然いいよ」


そこで、陽斗の順番がまわってくる。


「あ、眼鏡外してた方がいいんじゃね? ぶつかって壊れるぞ」


市原がコートに向かおうとする陽斗に言う。


「い、いや、いい! 取ったら見えなくなるし! 今日はこれでする!」


眼鏡取りたいけど取れないんです! だって、とったらバレてしまうから。バスケ部に入るならスポーツ眼鏡を買わないとだな······


そう思いながら、コートへ入る。陽斗は攻撃側である。他の攻撃側は先輩と西島、守りは市原と先輩である。攻撃側が点数入れれば勝ちである。しかし、スリーポイントシュートは禁止である。


初めての部活! 陽斗はワクワクドキドキが止まらない。


そして、ピーーと始まる音がなった。


この練習は攻撃するための練習だ。だったら、隙があればすぐに攻めてやる。


陽斗は久しぶりのバスケにニヤケながら考える。


先輩からパスがきた。さっそく隙発見!


陽斗はいきなり突っ込む。前には市原が待ち構えている。しかし、陽斗には抜ける自信があった。


陽斗は巧みにドリブルをし、フェイントを掛け、市原を抜く。


「は!? はや!」


陽斗は一直線にゴールへ向かい、華麗にシュートを決めた。


やったぜ! ブランクあったけど、動けてよかった!


陽斗は市原に少し自慢しようと後ろを振り返ると、陽斗のプレーを見ていた皆が驚いた顔をしてこちらを見ている。


「え、な、なに?」


陽斗も驚く。


「い、今宮、お前、めっちゃバスケ上手いやんか!」


市原がふらっと寄ってきて、今宮の肩をがしっと掴む。


「速すぎて、何も動けなかったんだけど!」


え? そんなに?


「なあ、あの動きやばいな」

「ああ、ドリブルうますぎんだろ!」


周りで見ていた人も陽斗のプレイに驚きが隠せない。


その後の速攻練習もゲーム形式の時も、陽斗は全力で部活に励み、周りの人間を驚かせた。


部の中で一番強いキャプテンともゲーム形式で一緒にプレイしたが、陽斗は結構いい勝負をした。


俊敏性、ドリブルの技術、そしてジャンプ力も凄かった。陽斗は180センチだが、ダンクもした。皆、開いた口が塞がらない。


ブランクがあるのに、これだけ動けるのである。


皆、見た目陰キャなのにバスケが超うまいというギャップに驚いた。


陽斗は陽斗で、周りの目も気にせず、ただ青春という名の部活を楽しんだ。


そして、部活が終了する。


楽しかったー!!


陽斗は久しぶりのバスケに満足し、少しかいた汗をタオルで拭きながら、部室に戻ろうとする。


しかし、なぜかバスケ部員囲まれた。


え、なに!? 怖い!? 俺、まさか虐められんの!? 調子に乗ったから? ごめんなさいぃ!


陽斗は集団暴力と想像して震え上がる。


すると、キャプテンがすっと前に出てきた。


「今宮! バスケ部に入ってくれ!!」


「「「「入ってくれ!!」」」」


皆が口を揃えて陽斗をバスケ部に勧誘する。


え? 何事!? 俺はただバスケ楽しんでただけなのに!? どうしてこうなった!?


目の前の期待した目で見てくる部員達の前で、陽斗は頭を抱える事となった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ