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芸能人、やめました。  作者: 風間いろは
高校2年生
62/138

56,インターハイ予選③

令和だー\(*Ü*)/

インターハイ予選、最終日。


今大注目の成宮高校vsリベンジを目指す東高校の試合には、多くの人が詰め寄っていた。


会場が会場なので、成宮高校の生徒もたくさん駆け付けてくれた。



選手達がコートの真ん中に並ぶ。顔つきは皆たくましい。


陽斗と剛力は向かい合う。


2人はウィンターカップ後からのバスケ友。バスケを熱く、楽しくやってきた。

笑い合い、時には喧嘩もした。


だからこそ、倒したい!


2人は固く握手をする。



ついに運命の決勝が始まる。



成宮高校は成長した。チームとして驚く程に。


だがもちろん、それは成宮高校だけではない。


第1クオーター終了が終わって、痛いほど痛感していた。


13対15。東高校のリード。


そんなに甘くはなかった。今まで通じていた攻撃が塞がれる。自分の、自分達の成長に酔っていたのかもしれない。


「よっしゃー、第2クオーターも頑張っぞー!」


そんな中、ケロッとしているやつが1人。


眼鏡をして、せっかく切った髪は伸び、ひょろひょろとした男、今宮陽斗だった。


「今宮、元気だな」


「だって、強い相手と戦うのってワクワクしない?」


陽斗は笑顔で、それでいて闘争心剥き出しの顔で言う。


皆は陽斗の謎の圧力にビクッとする。

それと同時に自分の愚かさに気付き、恥ずかしくなる。


相手も強くなっているに決まっている。こんな事でテンション下げて情けない!


皆は目の色を変える。


必死に足掻いて勝つんだ!


成宮高校は凛々しい顔付きでコートへと入っていく。


「っしゃー! 成宮高校を魅せつけるぞ!」


「「「おおー!!」」」



第3クォータへと突入。


キャプテンの田中のシュートがリングへと綺麗に入る。


「っしゃー!」


「ナイシュー!」

「さすが!」


成宮高校陣が盛り上がる。


しかし、すぐさま東高校のキャプテンもシュートを決めていく。


今現在、激しい点入れ合戦になっていた。


決めればすぐに決められる。


そんな展開が速い試合に観客達の熱狂は高まっていた。


「うおりゃー!」


上野からパスを貰い、陽斗は華麗なドリブルで突っ込み、豪快にダンクをする。


「キャー! 今宮くーん!」


カッコイイ今宮のプレイに黄色い声援が飛び交う。

スポーツが上手い人はかっこよく見えるものである。


剛力がボールを持つ。目の前には陽斗。


緩急のあるドリブルで突っ込んできてシュートと思ったら、味方にパスを出す。


「なっ!」


そしてスリーポイントシュートを決められる。


「フン」


剛力は陽斗を満足気に見る。


しかし陽斗は笑っていた。


剛力は背筋がゾクッとする。その笑顔が得体の知れないものに感じた。なんなんだ、コイツは!


そうした攻防が続き、第4クオーターへと入る。今だ点差は僅差でどちらに転ぶかもわからない状況。


ここで成宮高校のパスワークが光る。


そしてゴールに切り込んできた陽斗にボールが渡される。


「させねぇ!」


剛力は陽斗の前にジャンプをする。


だが陽斗はキャプテンへとボールを渡す。そしてスリーポイントシュートを決める。


「お返し」


「クソ!」


剛力は緩急のあるドリブルで交わす。誰も止められない。

ウィンターカップの時よりかなり成長していた。

そしてシュート、と思いきや陽斗が突然目の前に現れボールを弾く。


「なっ!」


陽斗は前回はもうへばっていたが、体力がつきパフォーマンスは全く下がっていない。むしろ上がってきているようだ。凄い集中力である。


だが、剛力も負けてはいない。

そりゃ毎日のように陽斗と戦ってきていたのだから。


陽斗が上野からの素早く的確なパスからダンクという時に、剛力がボールを叩いて奪う。


「やるじゃん」

「お前なんかに負けるかよ!」


そして、ついに残り1分。点は一緒という大接戦。観客は叫ぶ事も忘れて固唾を飲んで見守る。ここで決め方が勝ちだ。


ここで東高校の攻めのターン。


剛力と陽斗が向かい合う。


俺はこいつを倒すために今までやってきたんだ! それを今果たさないでいつやるんだ!


剛力は緩急のあるドリブルを仕掛ける。今まで以上のキレ。

そしてなんと、陽斗を抜かした。


「よし!」と剛力が思った瞬間、手からボールが離れた。


後ろから陽斗が手を突き出していたのだ。


「バスケって楽しいね」


陽斗は笑顔でそう呟くと、ボールを即座にキャプテンへと送る。

そしてシュートを決める!


その瞬間終了のブザーが鳴り響く。


会場に喜びの声、残念そうな、様々に色めき立つ。


また負けた!

剛力は血が出そうなくらい強く拳を握る。


「抜かれた時は一瞬ビビったよ」


後ろから勝者が少し悔しそうに声を掛ける。


「そんな情けはいらねえ!」


剛力はそう叫ぶとコートから出ていく。

しかし、あの声は自分を慰めたものでは無いと分かっていた。


つまり、あの時自分はアイツを超えていたのだ。結局は奪われてしまったが、小さな大躍進だ。


「次こそは、お前を完全に負かす!」


涙ながらに再びそう心に誓った。



インターハイ予選、成宮高校の優勝!



読んで下さり、ありがとうございます( ˙ ˡ̼̮ ˙ )

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