53,体育祭②
未完成なのに投稿してしまいましたー!後々更新します、ごめんなさい!
「何で亮くんがいるの!?」
お弁当を広げる母の隣にはニコニコしている冴木の姿があった。
「亮さん、こんにちは!」
「体育祭来てたんっすね!」
「よう、おつかれ!」
高柳達はもう冴木に慣れたらしい。最近、今宮家の夕食会で会う機会が多いのだ。
友達と化していた。
「「「いただきますー!」」」
皆は一斉に弁当にかぶりつく。みるみる減っていく。まるで戦争のようだ。
「美味しい! ちづるさんの料理は最高だよー!」
皆は幸せそうに食べている。どこのレストランよりも美味しいのだ。皆はちづるの料理が大好きだった。
ちづるも皆が絶賛してくれて嬉しそうだ。
「ちづるさん、ごちそうさまでした!」
料理があっという間になくなる。皆は満足気だ。さっそくお菓子へとうつる。
「そういえば白石、三輪車リレー頑張ってたな」
「······言わないで下さい」
ニヤニヤする冴木に白石は軽く睨む。本当に恥ずかしかったのだ。思い出したくもない。
「白石は、紅血の悪······」
「おい」
例の名前を言おうとした高柳に白石が胸ぐらを掴んで睨む。白石の手は今にも襲い掛かりそうだ。
「ご、ごめん! 冴木さん、なんでもないっす!」
「次はねえぞ」
「わ、分かりました!!」
高柳はこれから絶対に言わない事を約束に許してもらった。
すぐに忘れていそうだが、大丈夫なのだろうか。
お菓子もすぐに無くなる。そろそろ午後の部も始まるので、皆は運動場へと戻る。
『第9種目目、部活動リレーです』
高3の先輩方がそれぞれの部活動着を着て道具を持ちながら走る。これが中々面白い。結構ガチなのだ。1周差がつくこともある。
「先輩、タラタラ走ってんじゃないぞ!」
「何コケてんだー!」
「頑張れぇー!」
後輩は先輩を応援し野次を飛ばす。
この後先輩方から仕打ちを受けるとも知らずに。
第10種目目、先生vs生徒リレー。
なんと、太陽先生の足はとても速かった。2人もぬいたのだ。
カッコ良く見せようとしたのか、走りながらウインクをしている。
だが、それは逆効果にしかならず。「かっこいい!」と盛り上がっていた女子達が次々にキモイものを見る目に変わる。
そうやって決めようとするのがいつも駄目になるである。
走り終わった後、太陽先生は半端なくドヤ顔をしている。
この後、太陽先生から凄い長い自慢話を聞かされるのだろうと、4組の面々はため息をついた。
第11種目目、騎馬戦。男達の熱い戦いが始まる。
皆はぶつかり合い、落とし合う。懸命に頑張る。
しかし、どこもゴリラ集団には叶わなかった。
決勝戦は脳筋の赤vs策略家の緑だった。しかし、緑の練りに練った作戦は通用せず。
陽斗は高さを生かして次々に帽子を奪う。高柳のも後ろからこっそり取ってやった。
「陽斗ー! ナイスー!」
観客からサングラスに帽子をかぶった怪しいヤツが凄い盛り上がっているではないか。よく見ると冴木であった。
何をしているんだ! バレたらやばいよ!
こちらがハラハラする。しかし、今思えばよくも今日休みが取れたものだ。
次々と競技が終わっていく中、ついにブロック代表リレーがきた。団の中でも早いもの達が集まるリレーだ。
点数は高いので負ける訳にはいかない。
そして陽斗の番が回ってくる。今は3位。2位との差はあまりない。
陽斗は全速力で駆け巡り抜かす。ほぼ同率1位で女子の先輩にバトンを渡す。
そして結果は1位! 赤組はお祭り状態だ。
「おい、俺の見せ場無かったじゃないか!」
今宮がほぼ1位で渡したため、アンカーの団長はそれを守りきるだけでよかったのだ。
「1位を守りきる方が凄いですよ! プレッシャー半端じゃない中! かっこよかったです! 彼女さんも見てたと思います!」
「アハ、そう? デヘヘ」
彼女の事を思い浮かべたのか、団長は急にデレる。相当好きなんだな。
その後の大縄跳びは4位、1年クラス代表リレーは3位という結果に。
次の2、3年クラス代表リレーでいい結果を出さないと優勝は危うい。
「ここで俺達がやってやるぞー! 優勝だー!」
2、3年のクラス代表リレー出る皆でエンジンを組んで士気を高め合う。
「凄いドキドキする······」
成美の表情がすごく硬い。プレッシャーが少なからずあるのだろう。
「大丈夫! 俺がついてるから!」
陽斗は満面の笑顔で成美を見る。
「アハハ、そうだね」
「わあ、俺がついてるだって! 言われてみたいわ~」
「今宮くん、かっこいい! きゃー!」
4組の面々が陽斗をからかう。
「え? どうも?」
陽斗はキョトンとしながら苦笑い。
「おい、コイツなんにも気づいてないぞ」
「恐ろしいやつ······」
皆はそんな陽斗にため息をつくのだった。
陽斗の最後の競技、クラス代表リレーが始まる。
これは皆でかなり頑張ってきた。絶対に1位を獲る!
陽斗は半端なく燃えていた。
第1走者がスタートする。4位と出遅れる。第2走者の白石はそれを2位まで上げる。
テントからは熱い歓声が飛び交う。
1位と順調にいっていた。しかしここでハプニングが起こる。三浦、市原ペアのバトン渡しが上手くいかず、バトンを落とす。
その瞬間赤組のテントから悲鳴が上がる。市原は慌てて拾い、走りを再開する。だが、ここにきて順位は3位。かなりやばい状況だ。
成美に渡り、2位との差を詰める。
「今宮くん!」
「あとは任して!」
この2人のバトンはどこよりもスムーズに渡る。さらに差が詰まる。
ここからアンカーである陽斗の反撃が始まる。
2位を抜かすとあっという間に1位にいた高柳に追いつく。
「ゲッ! 来んな!」
高柳は必死の形相で逃げようとする。
皆が繋いだバトンだ! 勝つ! 勝ちたい!
陽斗はゴールギリギリ手前でぬかす。
ワーと歓声が上がる。
「今宮ー!」
「さっすがー!」
皆が陽斗を囲み喜び合う。
「ごめんなさい!」
「すみませんでした!」
バトンを落とした2人が涙目に謝る。
「まあまあ、1位だったんだから!」
「今宮に感謝しとけよ!」
ハプニングはあったが、結果は1位だ。結果オーライである。
「陽斗ー! かっこよかったぞー!」
再び怪しいヤツが嬉しそうに観客席から声を掛けてくる。冴木だ。まだいたのか。本当にあの人は兄のようだ。
「え、冴木亮!?」
「うそ! ほんとだ!」
冴木の存在に気づいた観客が騒ぎ始める。
あーあ、大人しくしとけって言ったのに······。
この後の3年生は惜しくも2位であった。
そして結果はというと、残念ながら赤組は1点差で青に負ける。
悔しいが、半端なく楽しい一日であった。まさに青春の1ページを飾る。
この後の後夜祭も盛り上がる。
来年こそ優勝する!
陽斗はそう心に誓った。
読んで下さり、ありがとうございます(๑・ิ◡・ิ๑)




