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芸能人、やめました。  作者: 風間いろは
高校2年生
56/138

50,助け

これから酷く更新速度遅くなると思います~( ´•︵•` )~

でも、絶対に完結させます!曖昧なまま終わるのだけは絶対にしたくないので!

高柳と男性は暗い道を歩いていた。

男はそのまま街灯だけがついている薄暗い公園へと入っていく。

高柳は黙って男の後ろについて行く。


「みんな、新入りだよー」


男が公園の中にある芝生に座っていた集団に向かって声をかける。


「マジすかー!? どんなやつすかー?」


そこにはヤンキーや派手めな女性など何人かいた。


「家で色々と苦労してる子だよ」


「うわー、大変ー」


あれ? 俺、家の事とか話してないよな? なのに何でこの人は······?


「それよりも早くちょーだい!」


女性が待ちきれんとばかりに怒鳴る。イライラしているのか貧乏ゆすりが激しい。


高柳はそんな人達の前で少し怯む。

ここから先が恐ろしく感じて、体が動かないのだ。


「じゃあ()()くん、行こうか」


男は高柳の肩に手を回して、男を待ちわびた目で見る集団へと入る。

まるで逃がさまいとするかのようにガシッと肩を掴んで。


「皆さんどうぞー」


男が白い粉やらタバコやらをお金と引き換えに渡していく。


1人が男に渡す金額はかなりのもの。

高柳は目の前で起こっている未知な世界を黙って見ていた。


「ひゃっほー!」

「アハ、アハハ、は、早く使おう!」


皆は貰ったものを嬉々と見つめる。


「君は初めてだから、無料であげるよ。オススメはこれかなー」


男はニコニコとしながら高柳に煙草のようなものを渡す。

だが、普通の煙草よりは太くて中に何か詰まっている。


「······これは?」


「まあ、いいから吸ってみなよ」


男はライターを差し出す。煙草のように火をつけるようだ。


しかし高柳は受け取れずにいた。

遠いと思っていた世界が今、自分の目の前にある。夜の暗黒な海の底に潜るような感じだ。踏み入る勇気が出ない。


もし使ってしまったら自分はどうなってしまうのだろうか。

そう考えてしまうと恐ろしくて。


「まあまあ、試してみなよ」

「使って後悔なんてしないから」


躊躇する高柳の姿に周りの人間は笑って大丈夫だと言う。


「後悔······してないんすか?」


「微塵もな! 嫌な事全部忘れられんだぜ? 最高じゃん!」


男は満面の笑みで答える。他のみんなもウンウンと頷いている。


それくらい魅力的なものらしい。


興味が湧いてきた。どうなるのか試してみたい。

これを使えば全て忘れられる。もう縛られなくて済むんだ。


1回くらいなら大丈夫だよな。


高柳は覚悟を決めた。そして、ライターを手に取り、煙草に火をつける。


高柳の足が漆黒の海に浸かる。


未知なものに好奇心が打ち勝ってしまった。


煙草を口に近付ける。そして今、くわえようとした瞬間、突如聞こえてきた何かがそれを遮った。



「高柳!」



ひどく聞き覚えのある声。

高柳の動きが止まる。


声がした方に目を向けると、



「────市原!?」



公園の入口に肩でハアハアと荒く息をしている市原の姿があった。髪はボサボサ。


「何で!?」


高柳は驚く。こんな所に市原がいるはずないのに。どうしてここにいるのか不思議でならない。しかもこんなに夜遅いのに。


予想外の出来事に高柳の動きはピタリと止まる。市原を凝視する。


「今宮と白石か? 高柳が見つかった。学校の近くの公園だ」


市原は高柳たちには聞こえない声で携帯に向かって話す。


携帯をポケットに直すと、安心したような怒ったような色んな感情が混ざった顔で市原がこちらに大股で近付いてくる。


「お前、どこに電話しやがった!?」


1人のヤンキーが市原に向かって殴りかかる。どうやら警察に電話したと思って焦ったようだ。もちろんこんな現場を見られたら捕まる。


しかし市原は顔へ向かってきた拳を避ける。そしてお腹にお返しと言わんばかりの強烈パンチを食らわす。


「グハッ······!」


かなりのダメージを貰ったようで、ヤンキーはドサッと地面に倒れる。

市原は強力なパワーを持っている。そんな彼に全力パンチされたなら一溜りもないだろう。


「て、てめぇ!」


それを見た他のヤンキーも市原に襲いかかる。


2対1である。暴力に無縁な市原にはきつい。

何とか攻撃を躱すも中々反撃に出れない。避けるのに必死だ。


だが、そんな均衡状態は長くは続かない。

市原が後ろにあった小さな石に躓いてしまったのだ。


市原の体が少し浮く。


ヤンキーはそれを逃さなかった。市原の顔に向かって拳を突き出す。


市原は避けられないと判断し、咄嗟に手でガードを作る。


「い、市原!」


高柳は悲痛な声で叫ぶ。友達が助けに来てくれたのに、自分のせいで殴られそうになっている。

思わず立ち上がって助けに行こうと駆け出した。


しかし、もう拳は市原の目の前にある。どう頑張ろうとも防げない。



クソ、間に合わない······!



高柳がそう思った瞬間、殴りかかった方のヤンキーが吹っ飛ぶ。そして勢いよく地面に叩きつけられる。


え、何が起こった······!?

読んで下さりありがとうございますーฅ(・ิﻌ・ิิฅ

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