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芸能人、やめました。  作者: 風間いろは
高校2年生
54/138

48,高柳家

書いてたのを間違って全部消してしまった( i꒳i ) また1から書き直しました( i꒳i )

事の始まりは昨日の夜。

友達とラーメンを食べ、家に帰ってきた時だった。


「社長がお呼びですよ」


部屋に行く途中、家政婦の1人に声をかけられた。

高柳家は異常に広いので掃除が大変である。その為、家政婦を雇っているのだ。


高柳はそれを聞いて舌打ちをする。今日は呼ばれると思っていた。


部屋に乱暴に荷物を置く。

マジだるい。アイツの部屋になんか行きたくねぇ。

だけど行かなかったら逆に面倒臭いことになる。


高柳は腹を括って父の部屋へ行く。


「父上、健太です」


ノックしながらドアの向こうにいる父に声をかける。


「······入れ」


「失礼します」


静かに父の書斎へと入る。


大きな本棚にたくさんの本や書類が並んでいる。奥には物々しい雰囲気を出す机。そこには父が座っている。

入れば圧力を感じる部屋。初めて入る人は萎縮してしまうだろう。


だけど自分にとったらもう見慣れた景色。大っ嫌いな空間。


高柳は黙って父の机の前まで歩いていく。


「学校のテスト、また悪かったみたいだな」


アイツは呆れたような口調で言う。

父は最難関大学をトップで卒業した超エリート。何故こんな問題も解けないのかと言いたげな顔である。


息子の俺にもその遺伝子があるはず。なのに何でこんなにも勉強が出来ないのか自分でも不思議でならない。


「弟はあんなに優秀なのにな。どうしてこんなにも兄弟で違うのかな」


「······すみません」


高柳は歯を食いしばる。


いつも、昔からそうだ。兄弟を比べる。


弟は自分から見ても天才だ。小さい頃から優秀。毎日自分の部屋で本を読んでいる。物静かで世話がかからない子。


それに比べて兄は勉強が出来ない。いつもヤンチャで黙っていられない子。

運動はできると言ってもそれは求められていない。


兄と弟は正反対であった。


父が求めているのは"優秀"。まさに弟がそう。


昔から弟は色んな人から褒められ、父は誇らしげだった。


それに対して兄は怒られ、睨まれ、時には殴られる。


母は下を向いて黙っている。弟は我関せずという態度。周りの人間も弟には褒め、俺には蔑んだ目で見る。


一応俺は努力した。中学の時、頑張ってたけど全く伸びなくて、努力も認めてくれないし、諦めたんだけど。


弟は弟、俺は俺だ! 人それぞれだろ!

だけどこの家では誰も俺を見てはくれない。高柳家は"結果が全て"だから。


ここには俺の居場所はない。なんて窮屈な世界。


それに比べて外は明るい。広くて心地よくて。ちゃんと"俺"を見てくれる。


だから学校を休んだ事はない。友達と遊んで、笑って、ふざけ合って。俺の好きなように生きれるのだ。


正直、弟を羨ましいとは思う。なりたいとは思わないけど。だって部屋に閉じこもってずっと本に囲まれるなんてつまらなさそうじゃん。


俺は外で遊び回る方が性に合う。そっちの方が断然楽しい。


なんてことをボヤーと考えていた。


「おい、健太! 話を聞いているのか!?」


アイツが急に大きな声で怒鳴る。顔を赤くさせながらこちらへ歩いて来た。


気づけば俺は地面に横たわっていた。右頬がジンジンと痛い。


「何でお前はこんなに駄目なんだ! 長男として情けない!」


アイツは顔を真っ赤にさせながら俺の前に立っていた。

その時、父から殴られた事を知った。


情けないだなんて、俺は長男として生まれたかったわけじゃない! こんな家になんか生まれたくなかった! お前らが産んだんだろ!?


「お前は高柳家の恥だ!」


アイツは俺の胸ぐらを掴む。鬼の形相が近くにあった。


「······俺の事、今まで恥だと思ってましたか?」


「ああ、そうさ!」


その瞬間高柳の中で何が弾けた。今までそこに溜まっていたものが爆発したような感触。


初めて"恥"だと言われた。俺なんていない方がいいのか。


「分かりました」


高柳は父の手を払いのける。すくっと立ち上がると早足で部屋を出ていく。後ろからの騒音を無視して。


部屋に入ると即座にリュックに色んなものを詰め込む。そしてそのまま家から出て行こうとした。


「健太? こんな遅いのにどこに行くの?」


寝巻きの母に出くわしてしまった。誰にも会わずこっそり行こうと思ったのに。


「······まあ」


ぶっきらぼうに答えてそのまま立ち去ろうとした。


「駄目よ、秀人(ひでひと)さんに怒られてしまうわ」


母が高柳の手を掴む。


「黙れ! 俺はあんなヤツの言いなりになんてならない! もう限界だ!」


思わずカッとなって母に向かって怒鳴り、手を振り払う。

いつもアイツの顔色を伺ってばかり。俺の味方なんて1度もした事ないくせに。親面してんじゃねえ!


母は驚いた顔をして、悲しそうに顔を下に向ける。


そんな母の様子を見てハッとする。なんて暴言を言ってしまったのか。


「······ごめん」


高柳はボソッと呟くと、そのまま暗闇へと姿を消した。


読んで下さった皆様、ありがとうございます(๑ت๑)♡

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