47,心配
本当は1話にしようとしたところを長すぎたので分けました!
なので短めです!
「高柳が学校に来てない!?」
「LIME送っても電話しても反応がないんだよ」
運動場で体育祭の練習中に西島が慌てた様子で陽斗たちに話す。
たかが1日休んだだけだろうと思うが、高柳に関しては違う。病気なんて無縁な男だし、学校をサボるような人ではない。小学校から無遅刻無欠席なんだそう。
それに高柳がLIMEや電話を返さないなんてもってのほか。LIMEは10分以内には返ってくる。電話も絶対出る。
しかも、昨日あんな事があったばかり。
「俺達が昼休みあんな事を言ったからかなあ」
「それはない。あいつはそれでは休まない」
市原が陽斗の考えを即座に切り捨てる。
市原は高柳とは中学からの仲間。高柳の家の事情は1番把握している。高柳が学校に来ていない理由が他にあるのだと考えているようだ。
「家で何かあったのか」
「それはありえる。とりあえず皆で連絡してみよう!」
というわけで、昼休みや放課後にスタ爆したり電話をかけまくった。しかし全く音沙汰無し。
皆がそれぞれスマホを持ってうずうずしていた。そんな中、市原が勢いよく机から立ち上がる。
「高柳の家に行って来る!」
荷物を乱暴に取り、走って教室の出口へと向かう。
「部活は!?」
「休む!」
市原はそれだけを言い残していなくなってしまった。
「ど、どうしよう!」
「とりあえず今は市原に任せよう」
「俺らは部活が終わった後に市原と合流しよう」
白石と西島は部活に行くべきだと判断した。4人とも主力となる存在だ。休めば部活に迷惑をかけてしまう。ただでさえ部活随一のパワーを誇る市原がいないのだから。
というわけで3人はいつも通り部活をする。
「3人ともミスが多いな。今日はどうしたんだ?」
休憩中、キャプテンの川田か声を掛けてきた。
3人がいつもよりも集中出来ていない。動きにキレがなかった。
他の部員もそれに気づいていた。
「すみません、友達が心配で······」
3人は皆に謝る。高柳が無事か、市原はちゃんと高柳に会えたかとかそればかり考えていた。
「集中を欠いたやつはいらない」
川田は3人を体育館から追い出す。
「キャ、キャプテン!」
「友達が心配なら行ってこい! 休んだら迷惑かけるって思ったんだろ? 集中出来ないやつの方が迷惑だ、バカヤロー!」
川田はそう言って体育館のドアを勢いよく閉める。
3人はそれがキャプテンの優しさだとわかっていた。休む事を切り出せないのを後押ししてくれたのだ。
「「「ありがとうございます!」」」
陽斗達は閉まったドアに向かって大きな声で言う。
そして急いで着替え、走って学校を出る。
「市原くん! 見つかった!?」
陽斗が高柳家に向かいながら電話をかける。
「いや、家出したみたいだ!」
「ええ!? 家出!?」
市原が高柳家に行った時にはもういなかった。昨日の夜、家を飛び出して行ったらしい。何か家で一悶着あったようだ。
「ああ! 代わりにお母さんに会った!」
「何か話聞けた!?」
「ああ、それがな······」
***
その頃、高柳はマンガ喫茶にいた。机にはたくさんの漫画本がのっている。
暗い画面に電源を入れる。
「もう18時かー······って、何だ!? この通知の数!」
携帯には大量のLIMEや電話が来ていた。そのほとんどが母と市原と西島と陽斗と白石からだった。
「ごめん、今は1人にしてくれ······」
高柳は再び携帯の電源を落とす。
そして目をつぶり、昨日の出来事を回想し始めた────
読んで下さりありがとうございます∠( ᐛ 」∠)_




