表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
芸能人、やめました。  作者: 風間いろは
高校2年生
52/138

46,高柳の弟

お陰様でユニーク数50000人突破! ありがとうございます!

万より0多い方が多く見えない?( ー̀∀ー́ )

「くっそぉー!」


お昼休み、高柳が水筒を荒く机に置く。


この日、高柳と西島は4組にいる陽斗と市原と白石の元に食べに来ていた。


「どうしたの?」


「ちきしょー、また赤組に騎馬戦負けた!」


気にかけて聞いた陽斗を睨みつける高柳。


午前中にあった騎馬戦練習でまた緑組は赤組に負けたのだ。赤組はここまで全戦連勝。緑組は唯一赤組に勝てないでいた。


どんなに作戦を変えても成功しても、結局は力技の赤組には負けるのだ。


「お前らまじでゴリラだよ! 怖ぇよ! ゴリラを出すのは反則だ!」


高柳はウワッと机に伏せて泣き出す。


急に泣き出した高柳に「ええっ」とドン引く陽斗達。

高柳を無視して別の話題へとうつる。


「体育祭で親来る??」


「来ない」

「親は仕事で妹は中学だから」

「お母さんが来るよ!」


市原の質問に白石、西島、陽斗が答える。


「じゃあ、一緒に食べようぜ!」

「いいな! そうしよう!」


市原の提案に元気よく即答する高柳。さっきまで泣いていたのは何だったんだと思うほどの切り替えの速さである。


「え、俺も一緒に食べたい······」


陽斗が少し悲しそうにする。お母さんと食べたいけど、友達とも食べたい。


「じゃあ、今宮の母も一緒に食べよう!」


「いいの!?」


「今宮のお母さんには俺ら世話になってるからな!」


最近、白石だけでなく市原や高柳や西島は今宮家に遊びに来ているのだ。主にご飯を食べにである。


白石が今宮家の食事を絶賛した。試しに陽斗のお弁当を食べてみたところあまりの美味しさに皆は感動した。それからよく今宮家に来るようになったのだ。


もちろん冴木のような芸能人仲間にはなるべく会わせないようにしている。高柳が前みたいに騒ぐと困るから。


陽斗はお母さん自身も楽しそうにしているから良かったと思う。ママ友も出来て遊びに行っているみたいだし!



「ていうか、西島には妹がいたんだな!」

「それ思った! 写真見せろ!」


市原と高柳が興味津々に西島に迫る。陽斗も白石も気になっている。

西島は自分の事をあまり話さない。妹がいるなんて初耳である。


「······いいよ」


西島は苦笑いしつつも妹の写真を皆に見せる。


「おお、可愛いな!」

「めっちゃ美人!」


西島の妹は本当に綺麗な顔立ちをしている。皆は西島の画面を食い入るように見る。特に高柳が。


「似てないな」


皆より遠巻きに見ていた白石がぼそっと呟く。そんな一言に皆は写真と西島を比べ始める。


「確かに」

「どっちも整ってるけど、全然似てないな」


「それよく言われる」


西島は薄く笑う。

兄妹似てなくともどちらとも顔がいいのは親もまたそうなんだろうと皆は思った。


「市原くんは姉がいたよね?」


「そうだよ、上から目線の姉がな」


市原は少し顔をしかめる。

家では年下だからとたくさんこきに使われているみたいだ。


去年のインターハイで来ていたらしいし、陽斗も市原家に行ったことがあるので皆が見た事がある。


少し派手めな明るい女性であった。姉貴肌な感じ。外面はいいんだとか。


「高柳くんは? 兄だっけ?」


「俺は······弟」


高柳はすっごく暗い顔をして言う。さっきまでの明るいテンションが嘘のようだ。


前に兄弟の話になった時、急に黙り込んだ時があった。何か兄弟の間にあるんだろうか。あまり深く聞いてはいけない空気である。


「お! 何かLIMEニュースに天才中学生が載ってるぞ!」


市原が話をそらそうと、慌てて新たな話を繰り出す。

市原は高柳と中学からの知り合いなので高柳の事情を知っていた。


「そ、そうなの!? どんな人?」


陽斗もそれに乗っかかる。


「世界の数学の大会で優勝したって凄いね」


西島は市原のスマホを覗きながら感心する。


「世界!? 天才だ!」


「弓道も全国の中学生大会で優勝したことがあるらしいな」


白石も自分のスマホを見ながら言う。


「え!? 文武両道じゃん!」


皆がこの空気を変えようと頑張っている。


「中学3年生で、え? 高柳食品の次男!?」


市原が教室中に響く声を出す。スマホを目が大きく見開いて食い入るように見つめる。


その人の写真も載ってあり、見ると高柳と少し似た顔があった。いつもおちゃらけている高柳とは違う、眼鏡をかけたいかにも真面目そうな男の子。


「え、次男ってことは、まさか······」


皆がおそるおそる高柳の顔を見る。


場の空気を変えようとしたが更に墓穴を掘ってしまった。


高柳はチラッと市原のスマホに映る人物を見る。すると、高柳の顔はみるみる強ばっていった。


皆が何も言えない中、高柳が重く口を開いた。


「そうだよ、俺の弟だ」


高柳が口を閉じると同時にチャイムが鳴り響く。皆は慌てて次の体育の場所へと走っていった。


この後、高柳に会った時は普通に戻っていた。いつも通りふざけていた。


さっきの話には誰も触れず、普段通りに接っする。高柳が何も無かったかのようにするので皆もそうした。


いつも通りの高柳に戻って良かったと皆は安心する。




しかし次の日、高柳は学校に来なかった。


読んで下さり、ありがとうございます(˙◁˙ )



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ