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芸能人、やめました。  作者: 風間いろは
高校2年生
49/138

43,身体測定②

途中経過、1位白石、2位陽斗・高柳、4位市原・西島

第6種目目はシャトルラン。持久力だけでなく、キツイのに耐える根性もいる。


今回は4組と5組の2クラス合同で行う。

2クラスは何メートルか離れて1列にズラーと並ぶ。


「林さん、頑張ろうね!」


「う、うん!」


陽斗は目を爛々と輝かせる。先程の長座体前屈でビリを取ってしまったので、取り返そうと必死なのである。


「あれ? 緊張してるの?」


成美がいつもより硬い表情をしている。


「うん。でも、今宮くんが隣なら心強い」


成美がフワッと笑う。

それを見ていた男子達はドキッとする。


「アハハ、俺もだよ! 去年の記録を乗り換えようね!」


陽斗も満面の笑みで返す。


「だね! 頑張ろう!」


陽斗には学校一の美少女の可愛いセリフと笑顔は効かないようだ。


成美は成美で狙って言った訳では無い。恐ろしい女の子だ。


2人共鈍感で無自覚な所があるのだ。



音楽と共に皆が走り出す。苦しい時間が始まった。


40回になると、既に女子がチラホラと脱落している。


60回を回り、女子は4分の1以上が脱落。


75回となり、成美が脱落しそうになった。かなり息も上がっていてキツそうだ。去年は78回だったらしい。


絶対に超えたいと言っていた。


「あと少し!」


陽斗がわざと遅れて成美の隣に並んでぼそっと呟く。


諦めかけていた成美の表情に闘争心が再び現れる。コクっと頷く。

そんな成美に陽斗はニコッと笑いかける。


成美はそれから83回で脱落するまで、陽斗の背中を見て走っていた。彼の背中に励まして貰っていた。


マネージャーの割にかなり頑張った。

成美はこの結果に満足し、励ましてくれた陽斗に感謝する。


ついに100回。女子は6人が残り、男子はまだ半分が残っている。


140回となれば、男子も残り5人。

陽斗と市原と高柳と西島であった。


白石は135回で脱落。部活を始めたのが遅く、皆より体力は劣っていた。

サボりがちなヤンキーが真面目に走る姿に皆はかなり驚いていた。


皆はパンの為に必死であるのだ。


毎日走り、登下校を自転車で爆走している陽斗はかなり体力がついた。まだまだいける!


142回で西島が脱落。特に女子達から大きい拍手を送られる。イケメンが汗水流して走る姿に女子達はキャーキャー言っていた。


市原が146回でついに倒れこむ。悔しそうに顔を歪めている。


残るは陽斗と高柳。


2人共激しく息が上がっている。


お互いに譲らず150回を突破。

必死に走る2人。


「も、もう無理!」


152回にしてついに高柳が倒れ込む。

高柳は悔しそうに「くそー!」と言いながら、拳を床にぶつけていた。


そして陽斗は156回で脱落。同じく倒れ込む。周りから拍手が送られる。


やった、パンに近づいた······!


陽斗は荒く息をしながらもニヤッと口が笑っている。



外の競技に移り、第7種目目はソフトボール。

残すとこあと2種目である。


僅差で白石の勝利。喧嘩で力でもついたのだろうか。


2位の市原は自信があったのにも関わらず負けたため、かなりショックを受けていた。



最後は50メートル走。

3人同時で走るらしい。


陽斗と市原は出席番号が前後の為、一緒に走る。


「負けねぇぞ!」

「俺だって!」


2人が目を燃やしながら睨み合う。


「うおー、お前ら熱すぎだろー! いいな!」


何故かいる太陽先生がそんな2人に激しく拍手をしている。


「位置について、よーい」


パンッ!


ピストンの音と同時に3人の男が走り出す。


陽斗はスタートダッシュは市原に遅れを取ったが、その後の伸びが凄かった。あっという間に市原を抜かし、1着。


「5,9秒!」


記録が言われた瞬間、聞いていた人達が驚く。

地味そうな奴が半端なく速かった。


「今宮早すぎんだろ!」


6,5秒だった市原が陽斗に駆け寄る。足にはかなりの自信があったのに! このグループレベル高すぎんだろ!と市原は怒った。


ちなみに高柳が6,3秒、西島が6,7秒、白石が6,4秒という結果だった。皆が6秒超えであった。


やはりこのグループは身体能力バカが多い。



結果、総合第1位は陽斗!


皆が涙を流しながらくれたパンを美味しく頂いたのだった。




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