42,身体測定①
「ヤッター! 184センチだー!」
身長を測り終えた陽斗が嬉しそうに市原と白石の元へ駆け寄る。
今日は1日身体測定の日で、クラスごとでそれぞれ回っていた。
「まじか! 俺は少ししか伸びてないのに! 白石は?」
「190超えた」
「嘘だろ!?」
数ヶ月ほど前は2人はほぼ一緒の丈だった。しかし、白石が気付かぬうちに抜かしていたようだ。
身長だけが取り柄だった市原は、陽斗には迫られ、白石には抜かれ、悔しそうにしている。
ちなみに高柳は2センチアップの176、西島は1センチアップの184。
高柳は大喜びでジャンプをしており、西島は陽斗に追いつかれて悔しそうにしていた。
このメンバーで廊下とかを歩いていると、何故か皆は端に避け真ん中を譲ってくれるのだ。身長がみんな大きくて、謎の圧を感じるらしい。
高柳は平均身長を超えてるとはいえ、このグループ内では圧倒的に低く見えるのが悩みだそう。
身長や視力などを測り終わり、残すは運動系のみ。
次の種目は立ち幅跳び。
白石が3メートル超えのジャンプを魅せ、周りがどよめく。身体能力が結構高い。やれば何でも出来る子なのでは?
さっき280センチと平均の226センチを大幅に上回り、自慢していた市原が悔しそうにしている。白石はそんな市原にドヤ顔をしている。
そして、陽斗はというと330センチの大ジャンプ。
両手で勢いをつけつつ両足で飛び、綺麗な弧をかいた。
記録が言われた瞬間、周りがさらにどよめく。
普段表情に出さない白石が悔しそうな顔をし、市原は驚きのあまり何も言えず口をあんぐりと開けていた。
腹筋はかなりの大接戦。ほぼ同率。
負けず嫌いの3人は顔を真っ赤にしながら争った。
腹筋終了後、3人は絨毯に倒れ込む。
「お前らめっちゃガチだな! 熱くていいな!」
そんな3人の様子に我らが担任、平川太陽が激しく拍手をしている。
それもそのはず、陽斗、市原、白石、高柳、西島の5人はパンを争って戦っていた。
勝てば1人ずつパンを奢って貰える。つまり、4日連続パンを無料で食べられるのだ。
しかも成宮高校のパンは美味しいと大好評。
本気にならないわけがない。
「あれ? 太陽センセー数学なのに何でここにいんのー?」
次の種目が腹筋で待機していた高柳が不思議そうに聞く。数学担当なのに何故体育の先生の仕事をしているのだろうか。全く違和感はないのだが。
「まあ、人数足りないから手伝ってるんだよ! こんなボランティア精神の俺を見習えよ? ハッハッハ!」
太陽先生は明るく豪快に笑う。
いや、絶対自分からしたいって言っただろ、という目線が集まる。
握力は市原の圧倒的勝利。
パワーだけは負けない、とドヤ顔をしていた。
身長にショックを受けた市原は頑張った。
次は反復横跳び。
これは高柳の大勝利。
陽斗のクラスはちょうど待機していて見ていたが、目にも止まらぬ速さで左右に動いていた。
半端ない敏捷性である。
「さすがサッカー部だね!」
「俺らはバスケ部だからな」
そんな高柳に拍手をしながら陽斗達が褒める。
「いや、部活は関係ねぇよ!? それを言い訳に使うな!」
陽斗達は高柳の記録に迫ったが負け、高柳に半端ないドヤ顔をされ、皆は絶対潰すと燃え上がった。
長座体前屈は西島の勝ち。
お腹と足がピッタリとくっついているほどの柔軟さ。
小さい時バレエを習っていたらしい。
ほかのメンバーはボロボロ。特に陽斗は頑張ったがピクリとも動かず。柔らかそうに見えて意外と硬かった。
残すは4種目。
途中経過、1位白石、2位高柳・陽斗、4位市原・西島となった。
この中で最下位とはいえ学年内ではトップクラスの運動能力。ただこのグループが身体能力おばけが多いだけだ。
(❃•ᗜ•)ᵗᑋᵃᐢᵏ ᵞᵒᵘ*☆
最近、全く起きれん




