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芸能人、やめました。  作者: 風間いろは
高校2年生
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40,危機一髪!?

すみません、遅れました(-"-)

最近地味に忙しくて······。

次の日、陽斗は眼鏡にマスクをして不審者のような姿で自転車で学校へ向かう。


マスクをしながらはちょっとキツイが、バレないためには仕方の無いことだ。


怪しい姿の男性が猛スピードで自転車を走らせているため、すれ違った歩行者にキャッと小さく悲鳴を上げられたのはここだけの話······。



陽斗が体育館のドアを開けると、既に白石が練習していた。今は朝6時。髪が乱れているところを見ると、結構前からいたのだろう。


「おはよう!」


「おう」


陽斗の元気な挨拶に白石は小さく返す。


「今宮、髪切って黒くしたんだ」


「うん、まあ、ミスった。それに髪色落ちててほぼ黒だったし」


実は昨日、いつもの理髪店で黒染めにしたのだ。茶色も結構抜けていたし、バレないというのも兼ねてそうしたのだ。時間がありあまって暇だったし。


「というか、今やばい事になってんぞ」


白石が陽斗にとあるLIMEニュースの記事を見せる。そこには『"青羽 瞬"、○○駅にて現れる!?』と書かれてあった。


「え!? なんでニュースに!?」


陽斗は驚きつつも記事の内容を読み進めると、成宮高校っていうのがバレている。恐らく、昨日陽斗の制服姿を見た人が特定したのだろう。


「え、うそ! どうしよう!」


「SNSでも凄いことになってる」


白石が陽斗にTmitterを見せる。そこは"青羽 瞬"騒動になっていた。しかもトレンド入りまでしている。思ったよりもやばい事になっていた。


こんな騒ぎになるとは思わなかった。芸能界からいなくなって1年近い。昨日で治まると思っていたのに。


思っていたよりも影響は半端なかった。それほどまでにも陽斗は芸能界で輝いていたのだろう。


突如芸能人を引退した"青羽 瞬"。その後の足取りは誰も掴めず、死んだとまで言われていた。皆が悲しむ中、1月にとある食事会に出没。ちゃんと生きていた事が確認され、日本中が喜んだ。


そして、今回の学校バレ。皆は再び歓喜した。また会えるかもしれないと。



「し、白石くん! どうしよう!」


陽斗は青ざめた顔で白石に詰め寄る。

これでバレれば、平穏な日々が終わりを告げてしまう。


「亮さんに相談してみれば?」


「相談?」


「例えば、SNSで何か呟いてもらうとか、別の制服着て歩き回るとか」


「それだ! 早速連絡してみる! ありがとう!」


陽斗は即座に冴木にLINEする。一刻も早くこの騒動を無くなねば! 陽斗は必死である。


バスケの面々が来て、陽斗の短髪と不審者姿に驚く。陽斗は風邪を引いたのだと、咳のふりをする。風邪の演技だなんて陽斗にしてはちょちょいのちょいである。何しろ、大物俳優の園田にも認められたのだから。上手く誤魔化すことが出来た。



朝練が終わり教室へと行くと、1号館の3階にある2年生の教室の前がたくさんの学生で賑わっていた。その学生の殆どは女子である。


「な、何これ······」


陽斗は呆気に取られる。どうして他学年が必死のような嬉しそうな顔をして2年生の教室を覗いているのだろうか。


「"青羽 瞬"を探してんだよ」


白石が陽斗の隣でぼそっとつぶやく。


そうか、学校がバレているし、歳も知っているから2年の教室にいるはずだと思ってるんだ。


早速ピンチが訪れる。


「ねえ、めっちゃあの人怪しくない?」


とある女子高校生が陽斗を指差してチラチラと見ながら隣の女子と話している。


ヤ、ヤバい······!


「でも、目撃した人は髪は茶色だって言ってたよ?」

「そうじゃん! なら違うか」


女子高校生はすぐに陽斗に興味をなくした。そして、再び2年の教室に目を移す。


おおお、危ない。昨日、黒に染めておいて良かったー!


陽斗はひとまず第1関門を無事突破した。



昼休み、また他学年の女子達が"青羽 瞬"を探しに大勢やって来た。


「落ち着かない······」


陽斗は廊下側に背を向けて市原と白石でご飯を食べていた。


「ほんとそれ。Tmitterで広まったガセじゃね? 写真とかないし」


市原も大勢の女子達に少々居心地が悪そうである。

高柳は絶対喜んでいるだろうが。


実際、"青羽 瞬"の写真は出回っていない。あの時、即座に逃げたため写真が撮れなかったそうだ。


その事に陽斗は安心する。写真が出るだけで信評性が一気に高まるからだ。


しかし、陽斗に必死な女子生徒により危機が訪れる。


「ねえ、あの人めっちゃ冴木 亮と仲いいよね?」

「確かに! いつも眼鏡で顔見えないし怪しいよね!?」

「バスケも上手だし、勉強もできるし、割とハイスペックだよね」


陽斗が在籍する4組の前で、数人の女子が話していた。


ヤバい! どっかに行ってくれ!


だが、陽斗の願いは叶わなかった。


「じゃあ、眼鏡取ってもらわない?」

「そうだね!」


他学年の女子生徒が教室に入って来て、目立たまいと小さくなっている陽斗の元へ向かう。


お、終わった······。


陽斗は1人青ざめる。


とりあえず、この場から逃げたい! トイレだっていって逃げる? でもその後はどうしよう! じゃあ、具合悪いって言って帰るか? いや、でも今はタイミングが悪すぎて怪しまれそう。ど、どうしよう!


陽斗はこの場から逃れる方法を必死に考えていた。しかし、いい改善策はひとつも出てこない。


「あの、今宮先輩、眼鏡を取って貰えませんか?」


女子生徒が陽斗に少し期待したような目で見てくる。


「あ、それ俺も気になるな!」


市原もそれに食いついて、興味津々に陽斗を見る。


市原くんは俺を追い回すほど気になっていたんだった······。


気づけば、クラス中の視線が陽斗に集まっていた。


実は、皆は陽斗の顔が気になっていたのだ。いつも大きめの眼鏡をして、前は前髪もあったせいで全く顔が分からなかった。


今は髪は短くなったものの、マスクのせいで変わらない。


割とハイスペックな陽斗、しかし肝心な顔が見えない。特に女子達は気になっていた。


だが、眼鏡を外すことを嫌がっていると聞き、何も聞けずにいた。


しかし、今それが見れるチャンスである。皆は逃さぬようにじっと陽斗を見ていた。



ああ、これで俺の学校生活も終わりか。


陽斗はこの場を乗り切る策が全く思い付かず、諦めかけていた。


このままバレて、海外の学校にでも通おうかな。


そんな事を思って、陽斗は眼鏡に手をかけた────




ᎢℋᎯℕ₭ ᎽᏫᏌ

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