35,冴木の卒業
1日で2話投稿しようと思ったけど、間に合わなかった!!(╯‵□′)╯
今日は3月1日。別れの季節である。
成宮高校では卒業式が執り行われた。
壁には紅白色の布がかけられ、ステージには金屏風が飾られ、華やかしい雰囲気になっている。
卒業生にとっては最後の晴れ晴れしい舞台。在校生にとってはただ長くて眠い式。
最後に皆で校歌を歌い、卒業生が退場する。卒業生の顔は様々であった。
泣く者、晴れ晴れとした顔、覚悟を決めた顔、色々であった。
あと2年後には卒業すると思えば、青春なんてあっという間だ。
1日1日を無駄には出来ないと陽斗は思った。もっと毎日を楽しまねば!
卒業式が終わり、午後から陽斗達バスケ部はいつも通りの練習があった。
お昼を食べ終わり、学校内で外周をしていた。
校門に差し掛かった時、たくさんの生徒が集まっており、キャーキャー言っている。
前にも似たような状況があった。冴木が陽斗に会いに来た時と同じような光景である。
「これ、なんの騒ぎ?」
近くを走っていた市原が帰宅部の男子に聞く。
「それがさ! 冴木 亮がまたいるんだよ!」
「はあ!? また!?」
市原が驚く。陽斗はため息をつく。
また来ているのだ。学校には来るなと言ったのに! お騒がせ野郎!
このまま無視する訳にはいかないので、陽斗は人の合間を何とか通って制服姿の冴木の前まで行く。
「亮くん! なんでまた来てるの!?」
陽斗は怒っている。こいつのせいで俺のまったり青春生活は崩れ去ったのだ! なのにまた来て!
「お! しゅ······陽斗じゃん! 陽斗の方から来てくれるなんて!」
冴木は陽斗に抱きつく。周りの皆がキャーと騒ぐ。
「ちょっと! 今日はなんでこっちに来たの!」
陽斗は冴木を何とか引き剥がす。
というか、さっきまた"瞬"って言おうとしたよね!? 本当にこの人は······
陽斗は怒りを通り過ぎて呆れる。
「近くで撮影があるから寄ってきた。俺、制服姿最後だから、陽斗に会いに来たんだよ」
冴木は高3のため、今日で高校を卒業なのだ。今着ている制服も今日で最後である。
「卒業おめでとう!」
「ありがとう」
冴木がニコッと微笑む。その瞬間周りの人達が盛り上がる。
よく見ると、見事に冴木の制服のボタンは全てなかった。流石である。本当にこんな事あるんだーと思い、陽斗は感動する。
「せっかくだから写真撮ろう」
冴木は陽斗の肩を組み、片手でスマホを持って写真を撮る。
周りの人達がキャーと騒ぐ。
「わっ、ちょっと!?」
陽斗はいきなりの事に驚いて、全く顔を作れなかった。
「じゃ、またな」
冴木は陽斗や周りの人をとり残して、風のような速さでいなくなった。
困った人だと陽斗は呆れる。そして、体育館へと戻ろうとした。
「ねえ! 冴木くんの連絡先教えてよ!」
「亮くんと会う約束、取り付けてくれないかな!?」
皆がわんさか寄ってきた。
もう! 毎回騒ぎだけ残していってー! 俺のまったり青春生活がぁー!
陽斗は1人嘆くのであった。
***
「もう! 亮くんめ! 許せん!」
部活が終わり、剛力との1on1も終わり、すっかり日が沈んで暗い道を陽斗は白石と共に歩いていた。
「冴木 亮とは幼なじみ?」
「そんな感じ。くそぉー!」
陽斗は怒りが収まらないまま、自宅へと着く。
「ただいまぁー」
「お邪魔します」
陽斗は気だるげにリビングへと入る。
「おかえり、遅かったな」
そこには冴木の姿があった。なんと、くつろいで料理を食べていた。
「なんで亮くんがいるの!?」
陽斗は驚く。後ろにいる白石も驚いていた。目の前に超人気芸能人がいるのだから。
「20時くらいに来たのよ」
台所にいる陽斗の母、ちづるがニコッと微笑む。
今は21時過ぎ。1時間人の家に居座っているらしい。
まあ、幼い頃からの付き合いだから親同士も仲良いし、いいのかなぁ。
「ちょうど撮影終わって、寄らせて貰ったんだ。話したいし」
冴木はニコニコとしている。
「あ、後ろのやつ、友達?」
冴木が白石に気づく。
「あ、はい。白石 廉と言います」
「君、かっこいいな」
冴木は白石に全く恐れず、逆にキラキラとした目で見る。
似たもの同士はやはり集まる傾向にあるようだ。
「あ、ども」
白石は戸惑いつつも少しばかり照れる。いつもあまり感情を出さない白石でも、有名人に褒められるのは嬉しいらしい。
そして、陽斗と白石はリビングのダイニングテーブルの席に座り、4人で食卓を囲む。
冴木は既に食べ終わり、アイスを食べている。
「亮くんはこれから仕事1本?」
「そう、仕事に専念する」
「わあー、引っ張りだこだもんねー」
「ほんと、休みはほぼなくて忙しいんだよ。楽しいんだけど」
冴木は少し疲れたようにアイスを食べる。超人気芸能人は多忙である。
「撮影近いところだったらいつでも休みに来ていいわよ」
ちづるがニコッと微笑む。
「本当ですか!? じゃあ遠慮なく来ます」
冴木は嬉しそうに笑う。この男、いつでも突然来そうである。
「家が賑やかになって嬉しいわ」
ちづるは嬉しそうにする。白石が来るようになって張り切って料理を作っているが、もっと豪華になりそうである。
4人はその後も談笑を続ける。大いに盛り上がった。
冴木と白石は仲良くなった。冴木が質問を浴びせまくって白石が困っていたが。
最後に制服の記念写真を撮って解散する。
冴木は明日も早速仕事らしいので、もっといたいらしいが帰ることに。
しかし、白石が泊まると聞いて、「次は俺も泊まる!」と少し悔しそうにしながら帰って行った。
そして、これから白石だけでなく冴木もよく今宮家に来るようになった。たまに仲間もひきつれて。
今宮家は随分と賑やかになった。
読んで下さり、ありがとうございます!
小説書くのは楽しいっぴねー(ง ื▿ ื)ว




