3,授業
三組の皆とワイワイ話した後、授業が始まった。
一時間目は英語。英語ペラペラな陽斗には楽そうだが、割と文法問題とかは馬鹿にならない。細かい所をつついてくるため、陽斗でも間違える。
しっかし、六時間丸々授業受けるのは久しぶりだ! 今までの高校は通信制だったし、中学はよく仕事関係で早退してたし。嬉しい! 最高! これこそ青春だ!
陽斗はウキウキして久々の授業を耳を立てて聞く。
正直言うと、勉強は苦ではなかった。自分に知識が入り、問題が解けるようになっていくのは楽しかった。
そして、今まで仕事で勉強に費やす時間が無く、ちゃんと出来なかった。そのため、高校では勉強も頑張りたいのだ。目標は学年一位を獲ることだ。勉強も青春である!
陽斗は先生の重要な言葉を逃さないように、背筋をピンっとして、必死に耳を傾ける。
楽しいなあ! 楽しいなあ!
陽斗はキラキラとした目で授業受けていた。まるで初めて授業を受ける子供のようだ。
「はーい、それじゃあ、この英文訳してください。これは難しいよ? あ! 今宮くん! 帰国子女だったよね? これ答えてくれる?」
女性の英語の先生に突然当てられた。
「は、はい!」
陽斗は突然で驚いたが、当てられた嬉しさで思わず元気に返事をし、思いっきり椅子の音を鳴らしながら席を立った。
「うふふ、とても元気ね。じゃあ、黒板に書いてある英文訳して」
陽斗の行動にクラスや先生がクスクスと笑っている。隣の林さんまでもが笑っている。
しまった! 当てられた嬉しさで思わず! だって、授業で先生に当てられるなんて青春じゃないか!
そうして、陽斗は指定された黒板の英文を見る。
ふむ、複雑な文だけど、さっき習ったことも重ねれば分かる。
陽斗はスラスラと英訳を言う。
陽斗は祖父母の家に行った時たくさんの英語の本を読んでいたので、こんなのまだへのかっぱだ!
「今宮くん凄いわ! 完璧ね!」
陽斗の解答に先生もクラスの皆も陽斗を感心している。
先生に当てられて、完璧に答える、これしてやってみたかったんだ!
陽斗の一つ青春が叶ったのだった。
***
「今宮くん、凄いね! 私、さっきの例文全然分からなかったよ!」
授業後、隣の成美が陽斗を尊敬の眼差しで見てくる。
「いやあ、帰国子女だからね」
同学年の女の子に褒められ、照れる陽斗。
「ねえ、英語分からなかったら聞いてもいいかな?」
成美がキラキラとした目でこちらを見てくる。
俺が、林さんに英語を教える? 人に教えるなんて、これまさに学生っぽい!
「もちろん!」
陽斗はガッツポーズをしつつ答える。
「うおーい! 俺にも英語教えてくれよ!」
そう言ってこちらに来るのは、先程も陽斗を質問攻めにした市原 拓也。
明るい人で、見た目陰キャの陽斗にも話しかけてくれる。何よりも身長が高い。陽斗も180センチと高めだが、この男は190センチ近くあるのではないか。
「いいよ、英語なら教えるよ!」
「ありがとう! 助かるよ! これで赤点が回避できそうだ!」
市原はクラス中に聞こえるんじゃないかというくらい大きな声で言う。
「は!? なんだと!? ずるいぞ! 俺にも!」
「え、じゃあ私も習いたい!」
「俺も俺も!」
クラスの皆がそれを聞いて、陽斗に迫ってくる。陽斗は再びクラスのみんなに囲まれる。
皆が転校生の自分を頼ってくれる。暖かい三組の人達に陽斗は本当に感謝する。
陽斗の青春はまだ始まったばかりだ。
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