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芸能人、やめました。  作者: 風間いろは
高校1年生
36/138

31,寝坊

やばいやばいやばい! 寝坊したー!


陽斗は食パンを加えながら電車に乗るく駅へと猛ダッシュする。そして、扉が閉まる直前に駆け込み乗車する。


「ふぅー」


陽斗は一先ずほっとしてドッと席に座る。


時間を見ると、なんと8時08分。電車で10分、駅から学校まで走って1分。登校は8時20分までなので、ギリギリ間に合う。


高校入ってもう3ヶ月。気が緩んでしまったかなと陽斗は反省する。


すると、視界の端に激しく貧乏揺すりをしている人が目に入る。音もなかなかでかい。ちょっと目障りだなと思いつつ、そちらに目を向ける。


「え、い、市原くん!?」


電車という公共機関にもかかわらず、陽斗は叫ぶ。なんと、迷惑な貧乏揺すり野郎は市原であった。


「今宮!? 何でここにいんだよ!?」


「いや、それこっちのセリフ!」


2人は隣に座って話す。市原も寝坊したらしい。なんという偶然なのだろう。同じクラスの人が1人いるだけで謎の安心が生まれる。


「くそー、遅刻したらやばいなぁ」


市原が凄く神妙な顔でさらに貧乏揺すりを激しくする。


「え、そんなに!? というか、貧乏揺すり止めて! 目障り!」


「あ、ごめん。無意識だったわ」


無意識!? 何をそこまで市原を追い詰めているんだろうか。


「それがな、担任の葉山は遅刻に厳しいんだ。罰が与えられるんだ!」


「え!? 罰!? なに、怖いんだけど!」


「それはな、1週間、朝7時から朝掃除をしないといけないんだよ!」


「な、何だって!?」


陽斗は毎朝、バスケ漬けである。朝バスケをするのが半端なく気持ちいのである。朝練は欠かせなくなっていた。しかし、朝掃除となればその時間が減るのだ。それは避けなければ······!


電車は時間通りに目的地に着き、2人は猛ダッシュで降り、学校までの道を走る。


すると、2人の前に1人の少年が走っているのが見えた。成宮高校の制服を着ているので、彼も遅刻で急いでいるのだろう。しかし、その少年は豪快に転んでしまった。


目の前の出来事に、市原はブフッと笑い、陽斗は急いで駆け寄る。


「大丈夫?」


陽斗は心配そうに声をかける。そして、少年がその声に反応して顔を上げる。


「え!? 高柳くん!?」


「え!? 今宮に市原!?」


3人は驚く。3人が同じ日に、同じ時間に遅刻だなんて変な偶然もあるものだ。


「高柳、早く立て! ガチで遅刻する!」


市原が驚いた顔でまだ立ち上がっていない高柳を急かす。


「あ、そうだった! しかし、3人一緒に遅刻なんて珍しいな!」


高柳が走りながら笑う。この男、危機感がない。


「高柳くん、遅刻したら朝掃除って知ってる?」


「え!? 嘘だろ!?」


この男は何も知らなかった。



そして、学校が見えてきた。現在、8時18分。ギリギリを争う。


「おい、校門まで行ってたら間に合わねえから、ここの壁登るぞ!」


市原は身長を生かして学校の塀を易々と登る。


「了解!」


陽斗も身長と身体能力を生かして簡単に登る。不法侵入みたいだが、朝練が出来なくなるよりマシだ!


2人は塀を越え、玄関へと真っ直ぐ走る。


「ちょ、待ってー! の、登れねぇ!」


一方、高柳は苦戦していた。

高柳は陽斗と市原に比べると身長が低いのが仇となった。


「助けてー!」


そんな高柳の助けを求める声を無視して2人は上履きに履き替え、階段を登る。


ごめん、高柳くん! 朝練は何にも替えられないんだ!


陽斗は心の中で高柳に謝る。


現在、8時19分。


2人は廊下を猛ダッシュする。「廊下を走るな!」なんていう声が聞こえたが、無視して走り続ける。


そして、2人は教室のドアを思いっきり開ける。その直後、チャイムの音が鳴り響いた。


「おお、今宮と市原。ギリギリだったな~」


担任の葉山が少し残念そうに言う。

そんなに朝掃除させたかったのだろうか。


陽斗は席へと着く。


「今宮くん、おはよう。危なかったね」


隣の席の成美がニコッと笑いかける。


「林さん、おはよう! あと少しで朝練が出来なくなるとこだったよー」


陽斗は疲れてドっと席に着く。


本当にギリギリだった。良かった、朝練を死守出来た! 朝の青春を無くすところだった。


陽斗はほっと一息ついた。



「うおおおい、今宮と市原! 置いて行くなよ!」


8時22分、ようやく高柳が教室へたどり着いた。どうやら、塀を登ることを諦めて校門から入ったらしい。


「おはよう、高柳。お前は朝掃除な」


担任の葉山はにこにこと嬉しそうにする。


「そ、そんなあぁぁぁー!」


高柳の絶叫が教室中へと響き渡る。


陽斗はそんな高柳に心の中で謝るのだった。

読んで下さり、ありがとうございます(*Ü*)


私は遅刻常習犯だったなあ笑

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