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芸能人、やめました。  作者: 風間いろは
高校1年生
33/138

28,年越し

陽斗は地元の神社の前にいた。


「よ! 今宮!」


市原、高柳、西島が陽斗に手を振って呼びかける。


「今宮、あけましておめでとう!」


高柳が元気よく挨拶をする。


「いや、一応まだ12月31日だから」


市原が高柳の頭にチョップをしながら突っ込む。



今日は早いことに大晦日。地元の神社でお祭りがあるので、いつものメンバーで来ていた。



「神社でこんな事あるんだね~!」


陽斗は既に焼きそばを食べながら感動する。

お祭りは小学校以来である。学生で夜、しかも大晦日にこういうイベントは初めてなので、陽斗はウキウキしていた。


「そっか、今宮は初めてか。俺らは毎年行ってるからね」


西島がニコッと笑う。


「ひょうひょう! いみゃみや! 今日はたのひめ!」


高柳が口にホットドックを詰め込んでいる。既に首には仮面を掛け、手にはたこ焼きとクレープを持っていた。


「いや、お前すでに満喫し過ぎだろ! てか、食べてから話せ!」


市原がそんな高柳の頭をチョップする。


「いでぇ! もうお前なんかにやるもんか!」


「高柳様、失礼致しました。あ、手に持ってらっしゃる荷物を持って差し上げましょう」


市原は態度を一変させて急に律儀になり、率先して高柳が持っている食べ物を持つ。


「おお、助かる! そんなお前には奢ってあげようじゃないか!」


「ありがたき幸せ」


市原は胸に手を当て礼をする。まるで執事のようである。

多分金欠のため、お金を持っている高柳に奢らせるためにあんな事しているのだろう。


陽斗と西島は苦笑して主人と従者のようになっている2人を見る。



「あ! 高柳たちじゃん! やっほー!」


三浦がお祭りを楽しんでいた男衆に手を振って声をかける。隣には成美もいた。


「お! 三浦に成美ちゃん! 祭り来てたんだ」


高柳が2人に駆け寄る。


「そうだよー! せっかくだからさ一緒に回ろう!」



というわけで、6人で回ることになった。



「あー! 倒れねぇー!」


高柳と陽斗と成美は射的をして楽しんでいた。


「あ! おしい! あと少しだったのに~」


成美は狙っていたものが取れなかったらしく、悲しそうにしている。


「あ! 落ちた!」


陽斗は熊さんの可愛い人形を持って喜んでいた。


「え? 今宮くん、こういう趣味なの!?」


三浦が驚いて陽斗と熊さんを交互に見る。


「いやいや、違うよ!」


「今宮、友達だろ? 隠さなくていいんだぜ?」


市原が理解したような目で陽斗を見る。


「いや、だから違うってば! 林さん、これあげる!」


陽斗は成美に熊さんを渡す。


「え?」


「これ、狙ってたでしょ? たまたま取れたから!」


陽斗はたまたまを装っている。だけど、これはわざと取ってくれたのだと、成美は分かった。前、奢るのは申し訳ないって言ったからかな? せっかく今宮くんが取ってくれたのだから、もらわない訳にはいかないよね!


「ありがとう! じゃあ貰うね!」


成美は嬉しそうに熊さんに抱きつく。


陽斗はバレなかったと安心し、成美を暖かい目で見る。



「あ、おい! もうカウントダウン10秒前だぞ!」


市原が叫ぶ。


「え、嘘!?」

「マジか! 早くね?」


陽斗と高柳が沢山の食べ物を持って、色んなものをぶら下げながら急いでみんなの元へ走る。


「お前ら、買いすぎだろ!」


市原が2人をみて驚いて叫ぶ。


「もう5秒前だよ!」


西島がうるさい3人に注意する。


「え!?」


3人は慌ててカウントダウンに参加する。


「「「「3、2、1、0!」」」」


皆が0、と言った瞬間、神社の奥から花火が上がる。


「おおおー! 花火まであるのかー!」

「綺麗ー!」


6人嬉しそうに、感慨深そうに、それぞれの面持ちで花火を眺める。


この1年は色んな事があったと陽斗は振り返る。

芸能人をやめて、高校に入学して、皆とすごして、部活をして、毎日がキラキラとしていて本当に楽しかった。


次はどんな年になるんだろうか。陽斗はワクワクする。全力で青春を送ってやる!


「あけましておめでとう!」


陽斗は決意を込めて、そう叫んだ。

読んで下さり、ありがとうございます(ㆁᴗㆁ✿)

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