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芸能人、やめました。  作者: 風間いろは
高校1年生

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32/138

27,打ち上げ

長くなりました( ՞ټ՞)


投稿してすぐ改稿致しました! 内容が少し変わっております!

「ウィンターカップお疲れ! 俺達は初出場にして準々決勝まで勝ち進んだ! これも新エース今宮のおかげだ! 今宮を称えて、かんぱーーい!」


「「「「かんぱーーい!」」」」

「え、ちょ、か、かんぱい!」


1つ遅れて声がしたが、皆は気にせずコップの音を鳴らす。


成宮高校バスケ部はウィンターカップのお祝いとお疲れを兼ねて、川田家が経営する飲食店で打ち上げ真っ只中である。


陽斗は部活で食事だなんて初めてなので、凄くワクワクしていた。青春だし!



「キャプテンの家がレストランって意外ですね!」


「それよく言われる。まあ、今日は存分に食べろ! 保護者様の奢りだ!」


「おおおお!」

「おっしゃー! 食うぞー!」

「ありがたやー!」


部員達は食事にがっつき、続々と注文する。


うわお、運動部すごいな。なんというか、勢いがすごい。男まさりだ。


陽斗はあまりの野生児のような有様に驚く。


だけど、部活でこういうの初めてだから最高! こんなのまさに青春じゃん! 俺もめっちゃ食べてやる!


陽斗も負けじと食べ漁る。



「川田家の食事美味しいから、皆遠慮したら駄目だよ!」


先輩のマネージャーの葵が部員の食べ様に笑いながら呼びかける。


「葵は小さい時からここで食べてるよな」


川田が懐かしむ。


「そうだね。私、ここの料理大好きだから! 将来はここで働きたい」


「あはは、それじゃあ料理教えてあげないとだな」


2人はお互い微笑み合う。まるで夫婦のようだ。


「くそう、羨ましい」

「もう結婚前提かよ」


部員達は桃色空間を作っている2人に羨望の目を向ける。



「よく俺達、ウィンターカップでベスト8までいったよな」


「それな! 全国で強い8校に入ってるんだぜ!?」


「やばいよな! こんな日が来るなんて思わなかったぜ」


2年の先輩達が涙ぐみながら語る。


「いや、お前ら試合に出てないだろ」


キャプテンの川田が感動している人達に突っ込む。


「ムッ! なんだその言い方は! 観客席にいましたけども!」

「偉そうに! 全国のムードに飲み込まれていたくせに! 俺はベンチだけども!」

「そうだよ! スリーポイントシュート52本中20本しか決めていなかったくせに! 俺はアップしたのに結局出なかったけども!」


「な、何で数えてんだよ!」


川田が少し焦ったようになる。


「まあ、キャプテン! 俺がリバウンドしましたから!」


市原が胸を張り、ドヤ顔をする。とても活躍しましたよと言わんばかりだ。


「ああ、すごい助かった」


川田は感謝する。

実際、チームの中で市原がリバウンドを得意としている。試合でもいい活躍をしていた。


「星野に負けていたけどな」

「それな、しかも転んでなかった?」


先輩達がこそこそと呟く。


「いや、あれと比べたらダメっすよ!」


市原は先輩にしょうがないとばかりに反論する。



「というか、1番活躍したといえば今宮くんだよね」


西島が優雅にローストビーフを食べながら言う。


「それな! 星野に負けてなかったよな!」

「お前にはまじ感謝しかない!」

「俺らのMVPだぜ!」


みんなが酔ったおっちゃんのようなノリで、陽斗の背中をバンバンと叩いたり、頭をくしゃくしゃとしたりする。


「ちょっとやめてくださいよー」


陽斗は困る。毎回こんな風にされる俺の身にもなってほしい。


「んじゃー、そんなお前に俺からコロッケを差し上げよう!」

「あ! じゃあ俺からはピッザ!」

「そんなら俺は唐揚げを!」


先輩や同級生が陽斗のお皿にどんどん食べ物をのせる。


「いや、もういいです!」


陽斗は叫ぶ。既に陽斗の前には10皿の料理がずらりと並んでいた。こんなに食べられないんだけど!


「遠慮すんなよ!」


皆は手を止めてくれない。

勘弁して! もうお腹いっぱいだってば!


結局、陽斗の前には色んな食べ物が乗ったお皿が合計15皿が並んだ。陽斗は残すのも悪いので、頑張って食べる。



「そういや、今宮の顔ちゃんと見たことないな」


先輩の1人が陽斗の顔をマジマジと見ながら呟く。


「確かに。今宮前髪長いし眼鏡もかけてるからよく顔分からないよな」


他の先輩も陽斗の顔をまじまじも見てくる。


「か、髪の毛切るのめんどくさいし、コンタクト高いじゃないですか」


陽斗は誤魔化して苦笑いをする。

そんな近くで見られるとバレるかもしれないから止めて、と心の中で祈る。


しかし、事態は悪い方向へと進む。


「せっかくだからさ、今宮くんよ、顔をさらけ出そう!」


それを聞いていた市原がニヤニヤしながら近寄ってくる。

これは無理やりにでも外して来そうだ!


陽斗はそう察してその場から逃げる。


「あ! 逃げんじゃねえ!」


市原が陽斗を追いかける。何故か先輩まで加わっている。


やばい! 眼鏡外されたらバレる!


陽斗は必死に逃げる。椅子を飛び越えたり、追いかけてくる人達の一瞬の隙をついて抜けたり。


「ちょ、ちょこまかと!」

「俺達、友達じゃないか!」


「友達なら追いかけないで!」


皆は中々諦めてくれない。

何でそんなに俺の顔見たいんだよ!


陽斗はウィンターカップの疲れもあって、もう体力が限界のため最終手段に出る事にした。


「林さん! 助けて!」


陽斗は成美の後ろに隠れる。


「え、今宮くん!?」


「おい! 女子の後ろに隠れるなんて卑怯だ!」

「男が情けないぞ!」


皆が口々に言ってくるがそんなの構わない。正体がばれれば自分の青春は崩れ落ちてしまう。それだけは死守せねば!


「成美さん! 今追いかけられてるんだ! 助けて!」


陽斗は必死の顔で成美に助けを求める。


「分かった! 私、いつも今宮くんに助けられてるから、今日は私が守るね!」


成美は覚悟を決めた顔をして、陽斗の前に立ち、守るように両手を横に広げる。


か、可愛い! 俺を守ってくれている! リスが大型犬を守ってくれているような、そんな感じだ!


「ちょ、林、申し訳ないががそこをどいて下さい!」

「嫌!」


「成美ちゃん、別に意地悪とかじゃないんだよ」

「駄目です!」


「ちょっと眼鏡を外して髪を上げてもらいたいだけなんだ!」

「え、そうなんですか?」

「ああ! 気にならない?」

「気になりますけど······、でも、無理矢理はいけません!」


アイドル的存在である成美に拒否られて、男達はダメージを受け、よろよろと席に戻る。


す、すごい! 巨人の男達をを追い払った!


「林さん、ごめんね、ありがとう! また貸しが出来てしまった」


陽斗は両手を顔の前で合わせて謝る。


「いやいや、大丈夫だよ! 今宮くんにはいつも世話になっているから!」


成美もなかなか全力で断る。


「林さんはウィンターカップの時、色々してくれたし! お礼がしたい!」


「今宮くんこそ凄い活躍だったよ! それにね、何でもかんでも奢りってなるのは、お金を使わせてしまうから申し訳ないの」


成美は顔を少し俯かせる。


陽斗はハッとした。良かれと思っていた事は、逆に気を使わせてしまっていたらしい。


「ごめん! 押し付けてばかりだった!」


「いいよ、今宮くんは優しいから。その代わり、今宮くんのバスケを見ていていたい」


「え? どういう事?」


「私、小学校から中学校までバスケをしていたの。でも怪我して出来なくなっちゃって。バスケを恨んだこともあったの。でもね、今宮くんのバスケを見ていて圧倒された。バスケは楽しいものなんだって改めて知った。それに、今宮くんみたいにバスケを魅せれる人、いないと思うの」


成美は真っ直ぐ陽斗を見る。本心でそう言ってくれている。


俺のバスケを見てそう思ってくれている人がいる。凄く嬉しい。

バスケを続けてきて良かったと思った。


陽斗はバスケを教えてくれた、あの大っ嫌いな人を今は許せる気持ちになった。


「分かった。俺はバスケを続ける。将来は細々とやることになると思うけど、それでもいいかな」


「うん、バスケをする時は呼んでね」


2人は微笑み合う。



「なあ、桃色空間が出来てんだけど」

「なに!? あいつだけいい思いしやがって!」

「ああ、懲らしめる必要があるようだ」


成美に追い払われた男達が再び陽斗を襲う。



何やかんやで、楽しい楽しい打ち上げは終わりを告げる。

陽斗は何とか成美のおかげで顔を死守することが出来たのだった。


食費はなんと10万越え。男の成長期は末恐ろしい。

保護者達は少しばかり後悔するのであった。

読んで下さり、ありがとうございます(๑´ㅂ`๑)

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