番外編 星野 桜雅
整った顔にスタイルの良さ、身体能力抜群、俺は完璧だ。
女にも凄くモテる。まあ、イケメンだし? 適当にニコニコしてれば、勝手にキャーキャーと言う。まじちょろ過ぎだろ。
そんな俺はバスケをしている。小学校5年から始めた。自分にはバスケの才能があった。あっという間にレギューラーを勝ち取り、気付けば県内でトッププレイヤーに。
適当にやってるのに。皆弱すぎだ。
正直つまらない。何をやっても要領がいいのか、センスがいいのかすぐ出来るのだ。
人生楽ちんだ。将来、バスケット選手になるのもいいな。楽そうだし。
そんなにイケメンなのに芸能界にはいかないのか、だって? そりゃ俺が芸能人になったら目立ってしょうがないだろ。自由を制約されるのはごめんだね。
だが、小学校6年の時、俺にライバルが表れる。名は"青羽 瞬"。バスケの全国大会で出会った。
そいつは俺と遜色がないほど美形だった。しかも、俺以上に女子にキャーキャー言われている。
まあ、芸能人として有名だしな。だが、気に食わねえ。俺より目立つなんてな。試合でぶっ倒してやる!
だが、そいつはバスケも強かった。ベスト4まで辿り着いた。相手に不足なしである。
次の準々決勝は俺たちのチームと当たる。ついにここで負かすことが出来る! 俺より目立った罰だ! 無様な姿をさらせ!
と思っていたが、試合にそいつの姿はなかった。
仕事があって来れないらしい。
はあ!? まじでありえねえ! ボッコボコにする予定だったのに! 勝負から逃げたのか!?
結局、俺達は優勝した。
俺は小学生最強選手として注目された。
だが、全然納得しねぇ。もやもやが残ったままだ。あいつとの勝負をしてねえ。中学校になったら次こそ!
俺はあいつに勝つために強くなると誓った。
しかし、あいつはバスケ界からいなくなった。超人気芸能人になっていた。
まじで意味わかんねえと思った。せっかくライバルを見つけたと思ったのに。少し人生が楽しくなると思ったのに。
やっぱりこの世界はつまらない。
それから俺は今までどおり、当たり障りのない生活を送った。適当にバスケして、適当にニコニコして。
すかしてる、ナルシスト、性格悪い、なんて一部で言われるが、まあ、実際自分でもそう思うから気にしてない。
逆に、ライバルがいて切磋琢磨して楽しそうにしているやつが羨ましい。俺もあんなに熱くなりたい。
だが、俺と渡り合えるやつはいない。皆俺より弱い。雑魚しかいない。
つまんない人生。ため息が出る。
高校2年生になった。気づいたら全国高校最強選手なんて言われるようになった。
露出も増え、さらにキャーキャー言われるようになった。
周りの男子には妬まれることが増えた。
別にそうなりたくてなってるわけじゃないのに。
めんどくせぇ。何もかも。しょうもない。
俺はもう諦めていた。この人生に。俺にはライバルなんて、熱くなることなんてこの先ないだろう。
だが、ウィンターカップ本選で俺は出会った。ライバルという存在に。名前は今宮陽斗。
そいつはウィンターカップ本選が始まって噂になっていた。あの剛力 新を破った、星野レベルの強さだと。
あのくそ生意気坊主頭は負けたんだ。熱すぎてうんざりしてたから、大会で会わなくて良かった。めんどくさいし。
しかし、今宮 陽斗か。見た目は地味でもやしのようなやつだが、面白そうだ。楽しませてくれよ。
俺は期待した。
そして、準々決勝で当たった。
俺は歓喜した。こいつは強い! 俺とあまり変わらないくらいに!
技術、速さ、ジャンプ力、視野の広さ、どれも半端ない。
俺は全力でプレーした。こんなに熱くなったのは初めてだった。楽しい、楽しすぎる。バスケってこんなにも面白かったけ?
結果、俺達は勝った。
しかし、俺は全く勝った気がしなかった。
あいつは最後まで諦めていなかった。最後まで、試合が終わるギリギリまでボールを追いかけていた。
それに俺はあいつに遅れを取った。スタミナ切れのはずだったのに。集中が半端じゃなかった。そして精神力も。
あいつに今より体力がつくとどうなるんだろうか。そう考えるだけ恐ろしい。
悔しい。
·········悔しい、だと?
こんな気持ちになるは初めてだ。
俺は今まで負けたことなんてなかった。
だが、今、俺は敗北を感じた。
そんな事を思う日がくるなんて。もう諦めていたのに。
こいつには負けたくない。
俺の方が強いのだと証明したい!
今初めて気持ちが高ぶっている。
人生、まだ捨てたもんじゃないのかもしれない。
俺はこれからの人生が少しだけ楽しみになった。
読んで下さり、ありがとうございます(•ө•)♡
だいぶ小説書くの慣れてきた! 表現は壊滅的だけども。




