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芸能人、やめました。  作者: 風間いろは
高校1年生
29/138

25,ウィンターカップ本選④

ウィンターカップのお話長くなっちゃった( ´⚰︎` )

新星、成宮高校VS王者、狼北高校の試合には多くの観客が詰めかけていた。


もちろん星野を見に来た人も多いが、無名校ながらベスト8までなった成宮高校、そしてその圧倒的エースである陽斗を見に来た人も多い。


ウィンターカップ本選が始まって5日間で、陽斗の噂は広まっていた。




試合を開始する音が会場に広がる。


ウィンターカップ本選、男子準々決勝、開幕────



狼北高校は開始早々、華麗なパスワークを魅せる。そして、ボールはゴールへと投げられる。


市原と星野が飛びつく。が、星野の圧倒的ジャンプ、パワーに市原は押され、豪快なダンクを決められる。


体育館が女子の歓声でいっぱいになる。


「貧弱だな」


星野がフンっと市原を鼻で笑う。


「く、くそ!」


成宮高校、随一のパワーを誇る市原でさえ、星野の前には塵となる。


成宮高校の顔は険しくなる。こんなにもレベルの差があるのか。覚悟はしていたが、もう無理なんじゃないか。


成宮高校に不穏な空気が纏う。



「おおおー! すごい! なんというパスにパワーにジャンプ! 全国はやっぱり違うなー!」


陽斗は子供がおもちゃを見つけた時のようなワクワクとした顔をする。


そんな陽斗を見て、成宮高校の空気が和む。


こいつは1ミリも負けるなんて思ってない。むしろこの厳しい状況を楽しんでいる。


なんて奴なんだ。


エースが諦めてないのに、俺らが諦める訳にはいかない!


皆はやる気を取り戻す。歓声もいっそう増す。


陽斗はキャプテンにパスされ、ボールを持つ。目の前には強敵たち。


本当に最高の舞台だな! 全力で楽しんでやる!


陽斗は緩急のあるドリブルで1人を抜かす。


「なっ!」


相手はあまりの鋭い動きに全くついていけていない。


そして、目の前に立ちはだかる敵の隙間をかいくぐり、ゴール下へと辿り着き、ジャンプをしてダンクをしようとする。


「させねえ!」


星野が圧倒的なジャンプとパワーで陽斗を襲う。


陽斗の前にある高い手。


だが、陽斗はジャンプをしたままリングに伸ばしていたボールを一旦自分に寄せ、星野を空中でかわし、右手でシュートを打つ。


ドリブル、半端なく高いジャンプ、空中での動きに歓声が湧き立つ。



「······ハッ、お前は俺を楽しませてくれそうだ」


星野は獲物を狙うような鋭い目で陽斗を見る。まるで狼のようである。


「負けないよ」


陽斗はにこりと笑う。しかし、その笑みに何か嫌なものを感じる。


狼北高校のメンバーはつい身構える。



圧倒的エース擁するワンマンチームの成宮高校と個々としても強く、チーム力も固い狼北高校の試合は接戦になる。


エース同士も激しくぶつかり合う。


東京体育館は大会一の盛り上がりを見せる。


高校生とは思えないプレーが続く。誰もがこれは本当に準々決勝なのだろうかと思った。



星野が1人を鋭いドリブルで抜かしシュートしようとしたところを、陽斗がボールを奪い、もの凄い速さで逆側のリングへと走る。そして、ダンクしようとしたところを星野がボールをはたく。


2人は睨みながらも笑い合う。



そして、ついに第3クオーターへ突入。53対48で狼北高校のリード。


キャプテンの川田がスリーポイントしようとしたところを狼北高校が奪い、そのままレイアップシュートで決める。


成宮高校がパスワークを展開する。が、狼北高校にパスカットされ、そのまま運ばれ決められる。


「お前らエース以外なら止められるんだよ」


狼北高校のキャプテンが陽斗以外の成宮高校のメンバーに余裕の笑みを見せる。


ここで、チーム力の差が顕著になった。


今まで縦横無尽にコートを駆け巡っていた陽斗のスタミナも限界がきていた。


部活に入ってまだ3ヶ月程。スタミナはほかの部員にも劣っていた。それが、今ここで差となり表れる。


成宮高校の地力は到底王者の狼北高校には及ばない。陽斗がいて成り立っていた均衡は崩れつつあった。


今宮がいないだけでこんなになるのか。俺らはどれだけエースに頼りすぎていたんだ。


成宮高校のメンバーは悲惨な現実に悔しくなる。



皆が困っているのに俺は何も出来ないのか!? スタミナ切れだなんて、なにがエースだ!


陽斗は最後の力をふりしぼる。


第3クオーターは既に1/3が過ぎていた。


読んで下さり、ありがとうございます!


あー、私も身長が高かったらなあーなんて。

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