23,ウィンターカップ本選②
ウィンターカップ本選、男子1回戦は2日に分けて行われるが、成宮高校は初日にあった。
第1回戦、前半を33対40で成宮高校のリードで折り返す。
陽斗は凄まじい活躍をしていた。ほぼ半分の点数を決めた。
緩急のある早い動きは誰もついていけず、ダンクもするし、どこに目ついてんだ!? と思わす程のパスも見せる。
しかし、皆は初めての全国大会という事で緊張しているのか、動きがいつもより固い。ミスも連発し、勝っているとはいえ、みんなの表情は暗い。
陽斗はこの状況、どうにかしないとだ! と思い、ベンチから立ち上がる。
「皆さん! 念願の全国大会です! せっかくなので、楽しんでいきましょう!」
陽斗はキラッキラの笑顔でみんなを見る。
「うお、眩しっ」
「それもそうだな!」
「今宮ばかりに任せてられないな!」
皆は気持ちを切り替えてくれたようだ。成宮高校のエース。プレーで示してくれる圧倒的強さ。その背中は半端なく心強い。そんな奴が動きが悪い俺達を罵声することなく、励ましてくれた。このままじゃ今宮に悪い!
皆はそう思い、気を引き締め、凛々しい顔つきでコートへと入っていった。
そして、試合終了────
62対89で成宮高校、初戦突破。
その2日後の2回戦は苦しいながらも、陽斗に引っ張られ、なんとか突破する。
成宮高校は無名校、初全国にも関わらず、ベスト16まで辿り着いた。
そして、ウィンターカップ本選4日目、男子3回戦、成宮高校の相手は優勝とも謳われている強豪校。全国大会常連校である。しかも、U18代表の選手がいるらしい。
前半を40対29、相手チームのリードで終える。やはり強い。日本代表の人も半端ないし、チーム力も凄い。
強いチームと試合するのは楽しい! 真剣に競い合って、本気でプレーするのは最高だ。しかし、後半はどう動こう。どうすればいいだろうか。
陽斗はワクワクとした顔で、後半へと集中を高める。
そんな全くめげずにただ前に突き進むエースを見て、皆は苦笑する。
「俺らも諦める訳にはいかねえな!」
「そうだ! この試合勝つぞ!」
急に皆が立ち上がって自分の頬をペちペちと叩いたり、準備運動をしたりしている。
それを見て、陽斗も全力で楽しんで勝つ! と気を引き締める。
そして、後半へと突入。
皆の動きがよくなり、チームプレーも決まる事が多くなった。パスワークも早く正確になり、陽斗も攻めやすくなった。
ビーーーと試合終了の音がなる。
69対79で成宮高校の逆転勝利。観客やチームメイトは大歓声をあげる。第3回戦とは思えない、レベルの高い試合であった。
「うおーーーー!」
「やったー! 勝ったぁー!」
「今宮ぁーーー!」
皆が今宮の方へと走って突っ込み、背中をばんばんと叩いたり、髪をぐちゃぐちゃにしたり。
陽斗も一緒に大喜びする。バスケって、部活って、こんなに楽しいんだ! 全国大会の試合で熱い試合をして、仲間と喜びあって、最高だ。青春だ!
成宮高校、ウィンターカップ本選、第3回戦突破。ベスト8。
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