22,ウィンターカップ本選①
バスケのお話みたいなのが続きます。
県内の強敵である東高校を破り、成宮高校バスケ部は東京に来ていた。ウィンターカップ本選の開催場所は皆の憧れ、東京体育館である。
「うはー! 東京体育館だー!」
「デケーー!」
皆は東京体育館を見てはしゃぐ。夢に見ていた場所で試合ができるため、皆は凄く嬉しそうだ。
「おい! お前ら! 何のために東京来たんだ!? 観光の為か? 違うだろ!」
キャプテンの川田が浮かれている部員達に怒鳴る。
「「「「すみません!」」」」
部員達は反省してキャプテンに頭を下げて謝る。
「気持ちは分かるけどな、そんな心持ちじゃすぐ負けるぞ。俺達がここに来た意味をちゃんと考えろ」
川田は真剣な顔でそう言うと、体育館の方へ歩いて行った。部員達は先程の緩い顔つきを引き締め、川田の後について行く。
キャプテンかっけー! と陽斗はキラキラとした目でキャプテンを見る。だが、勝つ為に来たんだ! 皆の為にも頑張るぞ! と気持ちを固める。
東京体育館へ入ると、天井から眩しいほどの光で照らされた4面のバスケットコートが広がっていた。やはり本選。規模が予選とは全く違う。
陽斗は体育館に見とれる。
ここで試合をするのか。最高の舞台だ。楽しみだ。
陽斗は喉をゴクリといわせ、ワクワクが止まらない。
「きゃーーーーー!!」
突然、どこからか女性の歓声のような声がする。
声が聞こえた方に目を向けると、1人の男性が多くの女性に囲まれていた。
男性をよく見ると、どこかの高校のバスケウェアを着いる。身長は優に190は超えているだろう。さらに顔はどんでもなくイケメンであった。少しチャラそうな雰囲気だが。
「星野くん! サインお願いします!」
「写真撮ってくれませんか?」
女性達はイケメン男子に詰め寄っている。
「特別だからね」
イケメン男子はパチッとウインクをすると、その瞬間女性達は歓声し、顔を赤らめる。
うわあ、すごい光景だなあ······。
男性陣はやや引き気味である。羨ましいのか、妬んだ顔で見る男性もいる。
「ねえ、市原くん、あの人誰?」
陽斗はイケメン男子を指さす。
「え!? 今宮知んねえの!? あいつは、星野 桜雅っていって、2年生だけど、多分高校生の中で1番強い。ユースにも選ばれてるしな。有望な上にイケメンだから、雑誌にもたくさん載っててファンも多いんだよ」
市原は丁寧に教えてくれる。
「ほー、凄いなー」
陽斗は感心した目で星野を見る。高校生のトップクラスか。戦うのが楽しみだなとワクワクする。
だけど、剛力くんが言ってたような気がする。一個上にとんでもない化け物がいるって。この人の事かな。と陽斗は思った。
「だが、あんまり近づかない方がいい。あいつ、くそナルシストで性格あんまよくないから」
市原は嫌なものを見る目で星野を見る。よく見れば、男子達の多くは毛嫌いな目で彼を見ている。
男子にはあまり良く思われていないらしい。女子にはとんでもなくモテているが。
すると、星野がチラッとこちらを見て、何かを見つけたのか、周りの女子達をかき分けてこちらの方へ来る。
「ねえ、そこの子猫ちゃん。君可愛いね。連絡交換しない?」
星野が成美の手を握ってにこやかな笑顔を浮かべる。
「「「「「な!?」」」」」
成美の周りにいる成宮高校バスケ部の部員達が驚く。
成美はかなりの美少女である。成宮高校ではアイドル的存在だ。そんな彼女にチャラ男が声を掛けてきた。
皆は星野を鋭い目付きで睨み、近づくなという圧をかける。
が、星野はそんなのお構い無しで、成美を見つめる。
「え、ええと、ごめんなさい。そんな簡単に教えられないです······」
成美は戸惑いながら答える。
成宮高校の面々はよく言った! とばかりに成美を見る。
「俺のお誘いを断るなんて変な女もいたもんだよ。まあ、いい。諦めないから。じゃあ、またね」
星野はにこやかに成美に手を振って去っていく。
「成美ちゃん、大丈夫か!?」
「おい! 今すぐ消毒液持ってこい!」
「くそ! 星野め! 俺達が守ってやるから!」
皆が成美を心配する。
「だ、大丈夫です! 大袈裟すぎますよ!」
皆の反応に成美は困ったように笑う。
星野は諦めないと言っていたな。林さんを守らないとだな! と陽斗も心に誓うのだった。
そして、ウィンターカップ本選初日、ついに男子1回戦が始まる────
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