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芸能人、やめました。  作者: 風間いろは
高校1年生
25/138

21,お出かけ

すみません、遅れましたー(T_T)

ウィンターカップ予選が終わり、なんと部活が休みになり、遊びに行くことになった。優勝祝いと陽斗の転校祝いを兼ねてである。


陽斗、市原、高柳、西島の4人は駅前にいた。


「え、なんで冴木 亮がいんの!?」


高柳が陽斗の隣にいる冴木に驚く。


「えっと、さっきたまたま会って······」


陽斗が苦笑する。

本当に偶然冴木とばったり会ってしまったのだ。彼は今日暇だからと、無理やりついてきたのだ。


「どうも、陽斗の親友、冴木 亮です。今日は1日よろしく!」


冴木はサングラスをひょいと上げる。正真正銘の本人である。


「し、親友!?」

「てか、一緒に来んの!?」


3人は目を見開いて驚く。


「今日はオフだし、迷惑じゃないなら」


「いえいえ! 迷惑だなんてとんでもありません!」

「そうです! ぜひぜひ!」


3人は畏まった態度で、そしてとても嬉しそうにしている。そりゃあ、相手は超人気芸能人。普通は会えない、まして遊ぶなどありえない。そんな人と一緒に遊びに行くのである。


一応、毎日一緒にいる俺も芸能人だったんだけどね······。


「握手お願いします! あと、写真もいいですか!?」


3人、特に高柳と市原がグイグイと冴木に詰め寄る。


「いいよ」


「「ありがとうございます!」」


3人は冴木と写真がとれてはしゃいでいる。


陽斗も高校入って初めてのお出かけで、1人ウキウキしていたのだった。



そして、陽斗達はボーリング場へと来ていた。


「スーパーサンダークラッシュ!」


高柳が大声でボールを投げる。そして、鮮やかにボールは端の溝に落ちる。勢いよく投げたのが仇となった。


「くっ! なんてこった!」


高柳は悔しそうに皆の元へと戻る。


「ブッ······、名前ださ!」

「しかも、ガター······ブフッ」


市原と西島が堪えられず笑う。


「なっ······! 冴木さんはかっこいいと思いますよね!?」


高柳はムキになって言い、冴木の方を見る。


「いや、かなり······」


なんと、冴木も笑っていた。


しかし、陽斗はというと、「かっけー!」と1人キラキラしていた。


「んじゃ、俺、行っきまーす!」


陽斗も勢いよく投げる。ボールは真ん中へと行き、見事にピンは全て倒れる。


「よっしゃーーーー!」

「また!?」

「7連続じゃん!」


皆が驚く。



というわけで、結果1位陽斗、2位冴木、3位西島、4位市原、5位高柳となった。


「じゃあ最下位、支払いよろしくな!」


市原が高柳に言う。


「くそぉ!」


高柳は涙目になりながら財布からお金を出すのだった。



次に陽斗達が向かったのはカラオケ。


「っしゃー、夜まで歌うぜえー!」


高柳が的外れな歌声を響かせる。


「お前音痴すぎんだろ!」


皆がお腹を抱えて笑う。さすがにこれは酷い。殆ど音程が外れており、まるでジャイアンのようある。


「なっ······! お前らさっきから酷いぞ! もう歌わねえ!」


高柳はいじけてマイクを放り出す。


「じゃあ、次歌うな」


冴木がマイクを持つ。


曲が流れる。


なんか聞き覚えがある。確か亮くんとユニットを組んだ時の歌である。


「陽斗、一緒歌おう」


冴木が笑顔で陽斗にマイクを渡す。


そして、2人は一緒に歌う。本当に懐かしい。たくさんのお客さんの前で歌ったな。亮くんにもたくさんお世話になった。


陽斗は昔の気持ちが溢れる。きつかったけど楽しい日々。多くの色んな人と関わった。きらきらとした世界。


もうあの世界には俺はいない。そう思うと少し寂しくなったが、今は今で凄く楽しい。爽やかな青春。


陽斗は冴木、市原、西島、高柳を見る。


俺は沢山の人に支えられている。一緒にいてくれる人、相談に乗ってくれる人。本当に幸せ者だ。


陽斗は感慨に浸りながら、冴木と2曲続けて歌った。


口元にあったマイクを下ろす。


「え、2人とも歌うまっ!」

「プロかと思ったわ!」


3人は2人の歌の上手さに驚く。


「そういえば、冴木さんは"青羽 瞬"とユニット組んでましたよね?」


西島が思い出したように言う。


「そうだな、組んでた」


冴木は懐かしそうに笑う。


「はー、だから冴木さんは上手なのか」

「てか、生歌聞いてたみたいだった~、まじ感動」


「いや、実際生歌だろ」


市原が涙する高柳にチョップを食らわす。


「そうなんだけどさ、今宮が"青羽 瞬"の声と全く遜色なかったくね?」

「確かに」


陽斗はぎくっとする。


「まあ、今宮も歌うますぎるってだけだろ」


冴木が関係ないとばかりにさりげなくフォローする。


「そうだな、そんな訳ないよな」

「今宮が本人だったら、驚きで死ぬわ!」


3人は馬鹿な事を考えていたとばかりに大きく頷く。


まあ、本人なんだけどね······。


冴木のおかけでバレなかったのは安心したが、なんか凄く悲しくなる陽斗だった。



こうして、陽斗達はギリギリの時間まで歌い、盛り上がり、楽しんだ。


日が沈んですっかり暗くなった中、5人は解散した。


こんなに遊んだのは初めてかもしれない。本当に楽しい時間だった。


陽斗はノリノリの足取りで帰るのだった。



そして次の日、高柳が冴木と遊んだ写真を自慢しまくったお陰で陽斗は多くの人に詰め寄られた。


もう友達の前で冴木を会わせないと、そう誓う陽斗であった。

読んで下さり、ありがとうございます!


引き続き読んで下さると嬉しいです(๑ ᴖ ᴑ ᴖ ๑)

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