20,新しい友達
番外編と20入れ替えました!
少し変わっているところあります!
·········え? 今、なんて言った······? "青羽 瞬"って言った!? え、何で!?
陽斗は焦る。初めてバレた。冴木 亮を含めないで。頭が真っ白になる。と、とりあえず、誤魔化さないと!
「え、ええと、なに言ってるの······? 俺が"青羽 瞬"なわけないよ」
陽斗はぎこちない笑顔で笑う。
芸能界で培った演技が全く役に立っていない。
「嘘つくな! 俺は知ってる! お前のバスケのプレー、小学校の時と面影あったからな」
剛力がつり目をもっと鋭くする。
「え? 小学校の時?」
陽斗はぽかんとする。小学校の時、どこかで会ったかな?
「ああ! バスケの全国で戦った! 俺はお前に滅多滅多にされたんだ! 今日みたいにな!」
剛力は凄く悔しそうに顔をしかめる。手にもすごく力が入っている。余程負けず嫌いなのだろう。
「えっと、人違いじゃない······?」
陽斗が剛力の様子を伺うように言う。だって、怒らせたら怖そうじゃん!
「いいや、絶対そうだ! だが安心しろ! 俺は命に誓って絶対にばらさない!」
剛力が自信満々に、俺の目を真っ直ぐ見る。
剛力くん、凄く正直な目をしている。この人ならバレても大丈夫かな。何言っても譲らなさそうだしな。
「そう、俺は"青羽 瞬"だったよ」
陽斗は眼鏡を外し、髪を手で巻き上げる。
そこにあるのは、小学校のバスケの試合で圧倒的な存在だった、嫌という程広告やテレビで見た顔。
綺麗な二重で吸い込まれるほどの純粋な目、整った鼻筋、薄ピンクの唇。外国人の風格を漂わせる顔。男でも見とれてしまうほどの美形。
生で見る顔は全く違った。
「お、や、やっぱりな! お、俺がばらさないであげようじゃないか!」
剛力が少し戸惑ったように、しかし上から目線で言う。
何だか、この人表情がコロコロ変わって面白い。猪みたいな、猛突進だけする怖そうな人だと思っていたけど。
陽斗はクスッと笑う。
「な、何笑ってんだ! だが、ばらさない代わりに1つ条件がある!」
「え、条件?」
え、な、まさか、ばらさない代わりに1億円くれとか!? 脅迫するのか!?
陽斗は恐ろしい想像をして怯える。何を言われるのか、剛力の口元を固唾をのんで見る。
「ああ! 俺とこれから1on1してくれ!」
「え······?」
俺は思っていたのと違いすぎて、驚いて目を見開く。
「え、本当にそれでいいの?」
「おお!」
「よ、良かった······」
陽斗は安心して言う。
「なんだよ、良かったって」
剛力が陽斗の反応に怪訝な顔をする。
「い、いや、なんでもないよ!」
陽斗は慌てて誤魔化す。変な条件を考えてたって言ったら、剛力くんは絶対怒るだろうな。
「じゃあ、部活終わった後、毎日柳公園な! そこコートあるから!」
「え、毎日!? それは無理!」
「え、何でだよ!」
「え、だって、お、お母さんと一緒に過ごしたいから、毎日は無理······」
陽斗が顔をそむけて恥ずかしそうにする。
「は、はあ!? お前、マザコンかよ!」
剛力が少し引く。
「ち、違う! ちょっと色々訳あって、その時間を大切にしたいんだよ」
陽斗はまたまた恥ずかしそうに言う。
「ま、まじか······、ガチのマザコンじゃん······」
剛力はさらに引いたように言う。
さすがにこの歳でそんな事を言えばそう思われるのは仕方の無いことである。
「違う! 俺、今まで忙しすぎて、お母さんと全然一緒に過ごせなくて、それで辛い思いさせたから今はその時間を作りたいの!」
陽斗は慌てて必死に言い訳をする。
「そ、そうなのか、そりゃしょうがないか。じゃあ週3は?」
剛力はすぐなるほどと頷いて言う。この人、物わかりがいいというか、単純である。
「まあ、それなら大丈夫!」
「じゃあ、よろしく! 来なかったらばらす! じゃあな!」
「え、ちょ! ばらすって······!」
既に剛力は走って行ってしまった。
はあ、なんか嵐みたいな人だ。まあ、たくさんバスケ出来るし! それはそれで最高だ!
「おい! 陽斗! もうバス出発するぞ!」
市原が大声で陽斗に言う。中々戻ってこない陽斗を呼びに来てくれたのだろう。
「あ、今行く!」
剛力くんと友達になってしまった。何だか面白い人だ。
それに、放課後暗い中外でバスケってなんか青春! 楽しみになってきたな!
陽斗は笑顔で皆の元へ走って行くのだった。
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