18,ウィンターカップ予選②
ついに運命のウィンターカップ予選決勝の日。これで勝った方が全国である。
第1シードである東高と第2シードである成宮高校が当たる。今年度負け無しの東高に対し、成宮高校は東高に負けっぱなしである。
今年も東高だろうと誰もが予選が始まる前まではそう思っていた。東高には1年生に圧倒的なエースが存在するからだ。
しかし、予選が始まってみると、成宮高校にもエース的な存在がいた。見た目は陰キャでヒョロヒョロとしているが、とんでもなく強かった。
これはどっちが勝つか分からない! と誰もが盛り上がり、平日にも関わらず、多くの人が訪れていた。
決勝前、成宮高校バスケ部は円陣を組んでいた。
「俺達はこの為に今まで汗水流してきた!」
「「「「「おう!」」」」」
「我らの新エース、今宮もいる!」
「「「「「おう!」」」」」
「お······て、え? エース?」
変な声が聞こえたが、誰も気にせず続ける。
「ここで雪辱を晴らし、全国に行くぞ!」
「「「「「おう!」」」」」
「え、ちょ、ま」
「行くぞ! 成宮高校!」
「「「「うおーーーー! うえぇぇい!」」」」
「え、ちょっとー!」
1人置いていかれる陽斗。
「いよ! 新エース!」
「期待のエース!」
「頑張れよ! エース!」
皆は何も気にせず、バンバンと陽斗の背中を叩く。
え、お、俺、エース!?そんなの聞いてないんだけど! あたふたと戸惑う陽斗。
しかし、試合はもう始まる。陽斗は仕方なくコートに入り、位置についた。
はあ、何なんだ、皆して。でもまあ、皆の為にもここで勝って全国行かないとだな!
陽斗は心を入れ替えて試合に集中する。
「なあ、お前、成宮高校のエースなんだ?」
横から突然声をかけられた。
声が聞こえてきた方に目をやると、そこには少しつり目の坊主が立っていた。身長は市原君よりも高めである。
「え、いや、」
「お前のプレイ見たけど、中々強いな」
陽斗は違うと訂正しようとしたが、坊主頭は言葉を続ける。
「ふん、倒しがいがある。ボッコボコにしてやる」
坊主頭はニヤッと笑う。
「え、あの、誰です?」
知らない人に勝つ宣言されてるけど、どちら様で?
「は!? 俺の事知らねーの!? 俺は東高のエース、剛力 新だ!」
坊主頭、いや、剛力が驚きつつ、そう力強く言う。
「あ、東高のエースって君か!」
陽斗はここにきて初めて噂されていた東高のエースを知る。試合が楽しみすぎて、その存在を忘れていた。
「今更かよ、はあ。でもまあ、お前みたいなもやしには負けねえ!」
剛力が陽斗をびしっと指差して言う。かなり強気な性格である。て、てか、もやしだって!? 俺はそんなやわじゃない!
陽斗の闘争心にも火がついた。
「俺も負けない!」
陽斗と剛力はバチバチと視線を交わす。早速エース同士の争いが始まる。
そして、ウィンターカップ予選、決勝が始まった────
ジャンプボールで東高が取り、剛力がドリブルで突破し、早速2点先制される。
ほほー、口だけじゃない。速いな。
陽斗は感心する。しかし、負けられない!
陽斗も果敢に攻め、キレのあるドリブルで相手をかく乱させ、突破するかと思いきやスリーポイントで決める。
「「「うおー! 今宮ぁー!!」」」
チームメイト、観客がわっと盛り上がる。早速エース同士のレベルが高い試合になり、体育館は熱狂する。
陽斗と剛力はお互いバチバチと睨み合う。
お互いを認め、そして倒すべき敵だと再確認したのだ。
そして、第1クォーターを22対19で東高のリードで終える。
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