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芸能人、やめました。  作者: 風間いろは
高校1年生
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1,高校へ

「行ってきまーす!」


「行ってらっしゃい。お弁当は持った? お金持ってる? 学校までの道分かるよね?」


とある家の玄関前で40代くらいの女性が、制服を着た男の子に不安そうに話しかけている。


「お母さん、心配し過ぎだって! 大丈夫!」


「だって、今まであまり学校行けてなかったから心配だわ。それに、髪長すぎない? それに、なんで眼鏡しているの? いつもしてないのに」


「これはバレないためだから! それじゃあ、行ってきます!」



初々しい高校生────今宮陽斗(青羽瞬)は新品の制服を着て、電車に乗る為に駅へと向かう。


葉の色が移り変わる10月の秋、陽斗は今日から転校生として高校に入る。


今の彼は眼鏡をし、黒髪短髪だった髪を伸ばして茶色に染めている。前髪は眼鏡にかかるほど長い。超イケメンハーフだった彼は、今や見た目は陰キャのようになっている。


まあ、これは正体がバレためないためなので気にしないで欲しい。


それと、名前はもちろん変えている。"青羽 瞬"という名前は、日本全国に浸透しているから危険だ。



陽斗は今日から成宮高校(なるみやこうこう)に編入する。家から電車と徒歩で20分である。


なぜこの高校かというと、成宮高校は行事ごとが多いのだ。青春をしたい陽斗にはピッタリの学校である。


また、制服のデザインが好みでもある。


今日から高校生。体育祭に文化祭に楽しみだと、陽斗はいつもより早歩きになりながら駅へと向かう。


家から徒歩三分の駅に着き切符を買う。そして、電車がいる所へ向かおうとするが、色んな線があり、どこへ行けばいいか分からなくなってしまった。


朝ということで、通勤のためたくさんの人が行き通う中、陽斗は立ち止まってしまった。そんな陽斗を周りの人は邪魔そうな目を向ける。目の前の人が元超人気芸能人とは知らずに。


ど······どうすれば!! どこだよ! 線多すぎ!


陽斗はあまり電車を使ったことがないため、よく分からない。これまで超人気芸能人として多忙だったため、移動はほぼ車だったのだ。



ふと同じ高校の制服を着た女子生徒が視界に入った。


あ! 同じ制服! あの子に聞けばわかる!


そう思って、陽斗は何とか人混みをかき分けて女子生徒の元へ行く。


「あの、その制服、成宮学校ですよね? 本当に申し訳ないけど、学校まで着いていってもいいですか!?」


女子生徒は二つ結びの髪を揺らしながらこちらへ振り向いた。目がぱっちり二重で、肌は白い。芸能界にいても遜色がないほど可愛いかった。


「え? いいですけど······、もしかして、転校生ですか?」


女子生徒は薄ピンク色の口を動かす。


「あ、はい、そうなんです! 調べてきたんだけど、分からなくなって······」


「そうね、ここ色んな電車の線が込み合っているから最初は迷っちゃうよね」



彼女は笑顔でそう言うと親切に案内してくれ、陽斗は無事電車に乗ることが出来た。やや満員である。あまり電車に慣れていないため、少しの揺れでもつり革を持っていないと不安になる。


そして、憧れの電車通学に陽斗の気持ちは高ぶっていた。


自分が"青羽瞬"だとは誰一人として気付いてはいない。一般人として電車に乗っていることが何故だかとても新鮮に感じる。それが、すごく初めての景色のように見えた。


気づけばもう次が降りる駅だった。ここまで間違わずに来れてたのは女子生徒のお陰である。1人だったらきっと迷っていたに違いない。


「あの、名前なんて言うんですか? 今度お礼させてください!」


陽斗は隣に立っている、案内してくれた女子生徒に話し掛ける。


「そんな、いいよ。えっと、名前は林 成美(はやし なるみ)って言います。あなたは?」


「俺は今宮陽斗って言います。いやいや、なんかアイスでもいいから奢らして!」


笑顔で断る成美だが、陽斗は譲ろうとはしなかった。感謝しっぱなしはあまり好きじゃないのだ。何かお礼を返したかった。


「いや、いいよ! というか、今宮くんは高1?」


「あ、はい。え、林さんも?」


「うん、一緒だよ! 昨日ね、私のクラスに新しい机が運ばれてきたから、転校生かもって盛り上がってたの!」


「え、そうなの? というか同じクラス!? やった! よろしく!」


「よろしくね」


2人はにこっと笑い合う。


早速同じクラスの人と友達になれ、早くも最初にあった不安な気持ちはどこか消え去っていた。


駅からは徒歩三分。立地の良さも最高だ。



そうして、陽斗達は成宮高校の前へ着く。成宮高校の歴史はまだ浅いため、綺麗な校舎であった。デザイナーが設計したともあってかなりオシャレである。


校舎のデザインもまた最高だ。


陽斗は門の前で、今から約2年半を過ごす学校を見つめる。


これからの学校生活はどんなことが待っているのだろうか。


学校という名の青春が今、自分の目の前にある。


陽斗は期待を胸に1歩大きく踏み出し、初めての校門をくぐった。



読んで下さり、ありがとうございます(∗•ω•∗)

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