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芸能人、やめました。  作者: 風間いろは
高校1年生
18/138

16,寄り道

ごめんなさい!更新遅れました<(_ _)>

「あー、疲れたー!」


市原が手を上げ、背中を伸ばしながら言う。


「今日練習ハードだったもんね」

「試合近いしね」


陽斗と西島も頷いて言う。


三人は部活を終え、学校から駅までの道を歩いていた。陽斗は自転車登校のため、一人だけ自転車を引いて歩く。


日はすっかり沈み、街灯と家から漏れ出た光だけが道を照らしている。


「お腹空いたな」


市原がお腹に手を当てる。


「じゃあ、ワックにでも寄ってく?」


西島がそう提案する。


ワ······ワック!? 今から!? これって寄り道だよね? 青春じゃん! 行きたい! 絶対行きたい!


「行こう!」


陽斗は目を輝かせる。


「お、おう、今宮そんなにお腹すいてたのか?」


市原がそんな嬉しそうな陽斗に戸惑いながら言う。


「う、うん! すごく!」


陽斗は誤魔化す。実際はお腹なんて空いていない。ただ寄り道したいだけなのだ。



そうして、三人は駅のワックに着く。何やらワックの前に見覚えのある男子高校生が三人いる。そのうちの一人がこちらに気づいて手を振る。


「おお! 市原に西島に今宮じゃないか!」


「え、あ、キャプテン!?」


そう、ワックの前にいたのはバスケ部キャプテンの川田 大地であった。バスケは超上手く、部員の皆を気遣う広い心を持ちつつ、熱い面もあり、人望がある。先輩の鏡である。


その川田以外の二人もバスケの先輩であった。陽斗達と同じで寄り道をしているところだった。


「「「お疲れ様です!」」」


陽斗達、三人は声を揃えて先輩達に挨拶をする。


「お前らもワックか?」


川田が3人に聞く。


「そうです! お腹が空いて! 特に今宮が!」

「え、あ、はい! そうなんです!」


「そう、じゃあ、先輩として奢ってやろうか」


「おお! いいんですか!?」


市原が嬉しそうに言う。この男はいつも金欠であった。だから、チャンスがあれば奢らそうとするのだ。


でも、出してもらうのは申し訳ないな。そこまで高くないし、断ろう。


陽斗はそう思った。


「俺はいいです。自分で払います」


「いや、今宮、先輩が後輩に奢るというのは当たり前なんだ! 青春の一部なんだ!」


市原が熱く言う。自分だけ奢ってもらうというのが悪く見えてしまうからなのだが。


せ······青春!? 奢りというものが!? ならば、しない訳にはいかない!


「キャプテン! お願いします!」


陽斗がビシッと礼をして頼む。


「お、おう、いいけど、青春関係ないんだけどな」


キャプテンはそう苦笑しつつ了承してくれた。


そうして、バスケ部六人はワックの中へと入ろうとする。


「あ、バスケ部! 皆でワック?」


突然声を掛けてきたのは、バスケ部マネージャーで先輩である、田中 葵だ。明るく、しっかり者である。


葵の隣には成美もいた。


「あ、葵に林ちゃん!」


川田が二人に手を振る。


「葵、何か奢るよ。何食べたい?」


川田が葵に駆け寄って言う。


「え? いいの? じゃあ、遠慮なく頼んじゃうね」

「いいぞ」


二人は凄く親しげに話す。何やらふわふわとした空間が出来ている。


「あー、いいなー、カップルは」


市原がそんな先輩二人を見て小声で言う。


「え!? あの二人カップルなの!?」


陽斗は驚いて市原の方をばっと向く。


「はあ!? お前知らなかったの!? 雰囲気で分かるだろ!」


それに市原は驚く。


そうか、仲良いとは思ってたけどカップルだったんだ。わあー、いいなー、青春だなー。


陽斗は羨望の目で二人を見る。


「何だよ、今宮、彼女欲しいのか?」


市原はそんな陽斗を見てからかうようにニヤニヤとする。


「うん、欲しい」


さらっと陽斗が言う。恋人なんて今までいなかった。というか、忙しすぎてそんな暇はなかった。


しかし、陽斗は何故か小学生のバスケのユニフォームを着た可愛らしい女の子が頭に浮かんだ。手が荒れている。


あれ? この子誰だろう。亮くんが言ってた俺がハンドクリームあげた子? 思い出せない。てか、なんで今?



「ま、マジか!」

「今宮くん、そういうの興味ないと思ってた」


市原と西島が驚く。


「じゃあ、成美ちゃんとか気になってないの? 可愛いじゃん」


その会話を聞いていた先輩がニヤニヤと笑う。


陽斗は成美の方を見る。

あ、そういえば、林さんにまだ奢ってなかった。約束してたのに。今そのチャンスだ!


「林さん! 俺、奢るよ!」


陽斗は突然そう言って成美の方へ行く。


「え?」

「「「はあ!?」」」


成美の驚きの声とバスケ部員の驚きの声が重なる。


「だって、前のお礼返せてないから! 近くにイスタードーナツもあるからそっちでもいいよ!」


「え、いや、でも前、ハンドクリーム貰ったから、それでいいよ」


「いや、それは俺が使わないからあげたやつじゃん。ちゃんとお礼に奢らせて!」


陽斗は一歩も譲らない。約束をした事を破る訳にはいかない!



すると、成美のお腹がグーと音が鳴る。


「あ!」


成美は恥ずかしそうにお腹を抑える。


「あはは、お腹空いてるじゃん。何食べる?」


陽斗は赤い顔で俯く成美をのぞき込むように満面の笑顔で見る。


「あ、えっと、それじゃあドーナツ1ついい?」


成美は赤い顔を俯かせながら恥ずかしそうにする。


「うん!」


そうして、成美にドーナツを買い、やっとお礼が出来たと嬉しそうにしながらワックの外の席に座るバスケ部達と合流する。


皆がじーと陽斗を見る。ある人はニヤニヤとしながら、ある人は恨めしそうにしながら。


「なあ、今宮、お前女たらしなのか?」


市原がジト目で陽斗を見る。


「え!? なんでそうなるの!?」


陽斗は驚いて目を見開く。


はあ、また無自覚かよ······と呆れ、何も言えないバスケ部員達。


陽斗はそんな事も知らず、部活帰りの初寄り道でキャプテンに奢ってもらったバーガーを嬉しそうに食べる。


また1つ青春が出来た! 次はどんな事が待っているんだろう!


陽斗は更なる青春を待ち遠しく思うのだった。


読んで下さり、ありがとうございます!


これからもお暇があれば是非読んで下さい!

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