表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
芸能人、やめました。  作者: 風間いろは
高校1年生
14/138

12,かつての友人

放課後、陽斗を含めたバスケ部員は学校の敷地内で外周をしていた。陽斗は芸能人の頃は忙しくて走り回っていたため、体力はある。何とかついて行っていた。


校門付近を通る際、何やら人がたくさん集まっていて皆キャーキャーと盛り上がっている。


「これ、何?」


陽斗の近くを走っていた市原が輪の近くにいた男子の1人に聞く。


「それがさ! 冴木亮がいるんだよ!」


「はあ!? あの芸能人の!?」


市原は口をあんぐりと開けて驚く。陽斗も驚いて声が出ない。


冴木亮、それは誰もが知る名前だ。"青羽瞬"にも劣らないほどの超人気芸能人である。キリッとしたとても整った顔立ちで、スタイルもよい。


"青羽瞬"と冴木亮は同じ会社に所属しており、歌もダンスも出来たため、一時期ユニットを組んでいたこともある。


高三で歳も近いため、陽斗は兄のように慕っていた。


なぜ彼がこんな所にいるのか不思議でならない。何か撮影しているのだろうか。まさか、陽斗がその高校に通っているなんて事は知らないはずであろうし。


陽斗は戸惑う。会いたい。目の前にかつての友人がいる。でも、そんなことしてしまえば目立ってしまう。周りの皆に正体がバレてしまうかもしれない。


陽斗は無視を決めた。髪の色も長さも変わっているし、眼鏡も掛けているから絶対に気付かないはずだ。


そう思い、このままここを突っ切って走る事にした。


だが、せめて彼の姿を一目見たいと思ったのが凶と出た。走りながら彼のいる方向へ目をやった時、目が合ってしまったのだ。陽斗は慌てて目を逸らし、そのまま走り去ろうとする。


しかし、それは叶わなかった。


「あ! しゅ······陽斗!」


冴木はなんと陽斗に気付き、明らかにこっちを見て手を大きく振り出したのだ。


陽斗は慌てる。周りの皆も一気にこちら方に注目し始めたからだ。


なぜバレてしまったのだろう。自分の変装は完璧なはずなのに。それに、彼は今"瞬"と呼ぼうとしたのだ。


陽斗の頭は一気に混乱し、ただ"この場から逃げる"としか考えられなくなった。


陽斗は無意識に走るスピードを上げる。


「お、おい! 今宮! お前、呼ばれてんぞ!」


市原が陽斗の手をガシッと掴む。おかげで陽斗の足は止まってしまった。慌てて彼の手を振り払って陽斗はその場から逃げようとするが、時すでに遅し。


「ねえ、君、陽斗だよね? 今宮陽斗だよね?」


冴木が人をかぎわけながらこちらへ近付いてくる。


やばい、つんだ······。皆、こちらを好奇の目で見ている。何であんな陰キャっぽいひとが、あの冴木と知り合いなの!? とでも言いたげだ。


「そ、そうだけど······」


陽斗は顔を俯きながらぼそっと呟く。


「陽斗! 久しぶり! 会いたかった!」


冴木が陽斗に抱きつく。それに周りの皆がキャーと騒ぐ。


「ちょ! 亮くん!?」


陽斗は慌てる。そんな事をしたら目立つに決まっている。


「てか、なんでそんな格好してるの? 前は短髪黒────」

「あーーーーーー!!」


陽斗は慌てて冴木の口を塞ぐ。


危なかった。あと少しで彼の口からNGワードが飛び出すところだった。


ここは、学校の校門付近。こんな所にいると目立ってしょうがない。この男、すぐには帰らなさそうだし。


「ちょっと来て!」


陽斗は冴木の腕を掴んで一緒に校門の外へ出る。とりあえず、人気のない所に行くのが大優先である。陽斗は冴木の腕をぐいぐいと引っ張っていった。


読んで下さり、ありがとうございます!( *´﹀`* )

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ