127.遠足とバンド②
ごめんなさい、また書きかけで投稿していました。いっつもごめんなさい、本当にm(_ _)m
これからはちゃんと完成させて投稿します、反省します。
そうして、ついに遠足当日。
成宮高校一同は軽い登山をし、頂上付近の開けた芝生にいた。
ステージではすでに出し物が始まっており、陽斗らはステージ裏でバンドの準備をしていた。
「やばい、めちゃくちゃ緊張する・・・」
「な、まじゲロ吐きそう」
「なんで出ないお前らが1番緊張してんだよ」
サポートメンバーで裏方であるのに緊張でガチガチの三浦と高柳に、市原が呆れたようにそう言う。
「逆になんでお前ら緊張してないんだよ。特に陽斗!」
そう言う高柳が指さす向こうには、楽しそうに準備をしている陽斗の姿があった。1人だけニコニコとしていて、まるで緊張感がないように見えるのだ。
「え、俺だって緊張してるよ」
そんな高柳の言葉に、陽斗はそう返す。
「はあ!? どこがだよ。めちゃくちゃ楽しそうにしてるじゃん!」
「いやあ、それは楽しみすぎてつい顔が緩んじゃってるだけだよ」
陽斗はご機嫌な様子で、これから歌う曲を聞いていた。
「それが緊張してないって言うんだよ・・・・・・」
「まあ、陽斗はああいう奴だから気にするな」
呆れたような高柳の肩に手を置きながら、市原はそう言う。
そうして、ついに陽斗たちのバンドが次に迫る。
皆の顔は緊張と楽しみが入り交じった表情でだった。
そんな中、1人だけ浮かない顔をしている者が1人。1番楽器経験が短い市原だった。
「皆、もしミスしたら、その、ごめんな」
浮かない顔で笑う市原がそう言う。不安で思わず吐露してしまった一言だった。
そんな彼の背中を、陽斗が思いっきり叩いた。
「何をそんなしょげているんだよ! さては、さっきの練習でのミスを引きずってるな!?」
その陽斗の言葉のとおり、本番前の練習で市原はミスをしてしまっていた。皆に迷惑をかけるかもしれないと心配でいっぱいのようだった。
「そんなの気にしなくていいよ! そうなったら私たちがカバーするし」
「そうそう、こっちには歌唱力えげつない陽斗がいるし、心配することなんてないよ」
橋本と西島も市原の肩をポンポンと叩きながら、そう笑いかける。
そんな中、白石も口を開く。
「お前らの音楽が最強に最高なこと、俺が1番分かってるから。自信持て」
「し、白石ぃ〜〜!!」
「あの、塩の塩すぎる白石が、そんな褒め言葉を言うなんて!!?」
いつも辛口な白石の突然の褒め言葉に、市原だけでなく皆が思わず感動した。思わず白石に抱きつこうとした市原だったが、白石は既にいつもの塩対応に戻ったのかそれを避けるのだった。
「それじゃあ、今から最っ高に楽しんで最強の音楽を演奏するぞー!」
「「「「おーーー!!!」」」」
皆が笑顔で一致団結したところに、アナウンサーの声が会場中に響き渡った。
『では、次は校内人気No.1のkyappune-zya-の皆さんでーす!!』
会場中に歓声が響き渡る中、陽斗たちがステージ上に現れた。
「皆さん、こんにちは! kyappune-zya-です!」
陽斗がそう言うと、歓声はさらに大きくなる。今日一の歓声だった。
陽斗の歌声の凄さは皆が知っており、また、とあるスタジオで上手すぎる高校生バンドが噂になっていて、それが彼らということもあり、注目度がかなり高かった。
「それでは早速、1曲行きます! Official髭さんdismで、Pretender」
観客の歓声が上がると同時に、陽斗たちの音楽が響き渡る。
そんな中で、陽斗の気分は高揚していた。
こちらを見つめるたくさんの人がいて、向こうまで見渡せて、そんな光景がとても綺麗で懐かしくて。とても素敵な日々を送れていることに、陽斗は再び感謝した。
陽斗は目を閉じ、息を吐き、そして口を開けた。
会場中に陽斗の声が響き渡ると、その歌声に皆は圧倒された。
圧倒的な声量と綺麗でいて芯を感じさせる歌声に、皆は無意識のうちに魅了された。どうしてだか、彼から目が離せない。それほどまでに、皆は圧倒されていた。
陽斗が口元からマイクを離し、そして音楽が止まると、ワッと歓声が上がる。
「すげー! 上手すぎだろ!」
「やばい、かっこよすぎる!」
「凄すぎて、俺、鳥肌たったわ・・・」
笑顔で拍手する者、熱い視線を送る者、ただ呆然として見つめる者など、反応は様々だった。だが、彼の歌声に皆が魅了されたのは同じだった。
現に、彼の歌声に惹かれたのか、学校外の人達も集まってきていた。そして、あの歌声が高校生だったことに驚いているようだ。
陽斗たちは、その後も1曲披露したり、バンドメンバーの自己紹介したりして、ついに次がラストの曲になった。
「次が最後の曲になります。青羽瞬と冴木亮のユニット曲で、君となら」
kyapune-zya-として、最後の音楽が会場に響き渡る。
そして、懐かしい思い出に浸りながら、再び陽斗は歌う。
この曲は一時期ブームとなったもので、また、陽斗の思い出の曲でもある。
この曲は、きついとき、辛いときを共にすごし、喜びや幸せを一緒に共有してきた、冴木亮と一緒に作ったものだ。お互いがお互いに向けて書いていた。
その時のことを思い出し、懐かしみ、無意識のうちに歌詞に感情が乗る。
その圧倒的な歌声は、観客の心をも掴み、会場の雰囲気も呑み込み、会場中の全てを支配しているかのようだった。
無我夢中に歌い、気付けばもう終わりが近付いていた。
そうして、音楽が鳴りやむと、会場中から大きな歓声が巻き起こる。今日1番の盛り上がりだった。
自分たちの音楽で皆を巻き込み、観客とともにこの雰囲気を作り上げ、陽斗はとてつもない満足感を感じた。
またこういった経験をできたことに、陽斗はとても嬉しく思っていた。
陽斗たちは満足したような表情でステージを下りる。
「最高の時間だったねー・・・」
橋本は余韻が抜けないのか、ポーとした顔でいた。しかし、それは残りの皆もだった。
そんな彼らに、三浦、高柳、白石の3人が駆け寄ってきた。
「おつかれー!ほんと、言葉が出ないくらい凄かったよ!」
「お前ら、マジで凄すぎたわ!」
高柳と三浦は興奮したように5人を褒め称える。横にいる白石も、2人の言葉に大きく頷いていた。
「俺もそう思う。マジでやばかったよな、陽斗の歌声」
その言葉に、陽斗以外の皆も同意するように頷く。
「本当にね。陽斗くんがもう圧倒的だったね」
「まじでプロにいてもおかしくないレベルだよな」
「市原のミスも陽斗の歌声やばすぎてかき消されたよね」
「え、市原ミスってたの!? 全然分からなかった!」
まさかの西島の暴露に、三浦は驚いたように目を見開く。
「良かったな、市原。陽斗がいてよ!」
高柳はニヤニヤと笑いながら、市原の肩をポンと叩く。
「おい、なんでそれ言うんだよ! 言わなきゃバレなかったのにさ!」
肩を叩く高柳の手をうっとおしそうに払い除けながら、市原は暴露した西島を睨みつける。
「まあ、歴短いのにあれだけ弾けるのはすごいんじゃない?」
「し、白石ぃ〜〜!!」
いつも辛口な白石の急な褒め言葉に、市原は感動し、思わず白石に抱きつこうとした。だが、な白石は既にいつもの塩対応に戻ったのかそれを避けるのだった。
「本当に、皆ありがとうね。あんなに楽しく音楽できたのは、間違いなく皆のおかげだから!」
陽斗は満面の笑みで皆にそう伝える。
あんな素敵な時間を過ごせ、またあの経験をすることができ、陽斗はみんなに心から感謝していた。
その言葉を、皆は嬉しそうに受け取っていた。
「何言ってんだよ、ほんと、泣ける」
緊張もほぐれたのか、市原の目から涙がこぼれる。
「何泣いてんのー!」
「わははは! めっちゃ泣くじゃん、お前!」
そんな市原を皆はからかい、頭をぐしゃぐしゃにするが、暖かい目で見守っていた。
皆はそれぞれ、喜び、幸せ、達成感を感じ、楽しそうに笑い合う。
そして、彼らの音楽は多くの人を熱狂させ、また、楽しませた。彼らがこの瞬間を忘れられないほどに、陽斗たちは圧巻なステージを披露した。
その場にいた皆それぞれが、素敵な瞬間だったと思えるほど、忘がたい時となった。
そして、陽斗の歌声がSNSなどで再び話題となり、この後も陽斗は忙しない日々を送るのだった。
読んで下さり、本当にありがとうございます˙˚ʚ₍ ᐢ. ̫ .ᐢ ₎ɞ˚
ちなみに、陽斗たちのバンド名"kyappune-zya-"ですが、これ、バンドメンバー皆が部活のキャプテン、副キャプテン、マネージャーだったので、そこから派生させました笑
キャプテンとマネージャー、きゃぷねーじゃー、きゃっぷねーじゃーと変わり、きゃっぷねーじゃーと入力したらkyappune-zya-と変換が出たのでこれになりました笑
他にいい名前が思いつかなかったんですよねー・・・、ほんとネーミングセンスないです、私、笑




